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オーケストラの楽譜制作②:フルスコア(総譜)に記載すべき各種情報・記号の書き方をマスターしよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日は、フルスコアに記載すべき情報・演奏指示などの書き方について解説していきます。

  • 楽曲情報の書き方
  • 演奏にまつわる各種情報の書き方

前回解説したフルスコアの基本をベースに、より完成度の高いスコアを仕上げるために必要な各種情報の書き方をまとめました。

指揮者・演奏者とのイメージ共有、意思疎通をスムーズに行う上で欠かせない要素が満載!

本格的なスコア作成を行うためのチェックシートとしてもご活用いただけるかと思いますので、楽しく学んでいきましょう!

 

オーケストラの楽譜制作②:フルスコア(総譜)に記載すべき各種情報・記号の書き方をマスターしよう!

オーケストラの楽譜制作②:フルスコア(総譜)に記載すべき各種情報・記号の書き方をマスターしよう!

楽曲情報の書き方

「楽曲情報」といってもその中身は非常にシンプルです。

  • タイトル
  • 作編曲者名
  • パート名

といった、当たり前のことを記載するだけです。

早速、それぞれの情報について解説していきます!

■ タイトル

いうまでもなく、楽曲のタイトルのことですね。

スコア1ページ目の上部中央に記載されます。

また、2ページ目以降にもフォントサイズを落として記載することがあります。

これにより、ページが変わってもどの曲のスコアなのかがわかりやすくなるのでオススメです。

■ 作編曲者名

楽譜には作曲者や編曲者(歌モノであれば作詞者も)の名前も記載されます。

記載場所はスコア1ページ目の上部右側に記載されることになります。

オーケストラ作品の場合は、以下の2名の名前が載ることが多いですね。

  • 作曲者
  • 編曲者(「オーケストレーション」or「オーケストレーター」と表記されることも)

OTOxNOMAで取り扱っている教材曲は、作曲・編曲ともに僕が担当していますので、そのように記載しています。

■ パート名

その楽曲で使われている楽器(パート)の名前もきちんと書き記す必要があります。

どの五線がどのパートを指しているのかを明記しておかないと譜読みもままなりませんからね。

基本的には、前回の記事で解説した並び順に書けば問題ありません。

この時のポイントは以下の2点です。

  • 2ページ目以降は楽器名を簡略化
  • 移調楽器はどのキーで記譜しているかを明記
■ 2ページ目以降は楽器名を簡略化

楽譜の視認性を高めるために、全てのページにパート名を記載する必要があります。

その際、2ページ目以降は楽器名を短縮して書くのが通例です。

例えばフルートパートであれば以下のような形になります。

1ページ目2ページ目以降
1st FluteFl.1
2nd FluteFl.2

各楽器の略記については、教材曲の2ページ目以降にあたるスコアを用意しましたのでご覧ください。

※楽器名の略記には複数の書き方が存在します。例えばホルンの場合「Hr.」と書くこともあれば「Hrn.」と書かれている楽譜もあります。通常は2文字で記載するか、3文字で記載するかのいずれかになることがほとんどです。

ちなみに、持ち替えが発生するパートは以下の2種類の方法で記載されることが多くなります。

  • 常に2つの楽器名を記載し続ける
  • その時に持っている楽器名を記載する

■ 移調楽器はどのキーで記譜しているかを明記

クラリネットトランペットホルンといった移調楽器は、パート名に移調しているキーを記載します。

例えばBb管のクラリネットならば以下のような書き方になります。

  • Bb Clarinet 1
  • 1st Clarinet in Bb

ただし、ピッコロコントラバスなどオクターブ低く(高く)記譜することが慣例となっているパートでは、そのことをいちいち明記しなくても問題ありません。

演奏にまつわる各種情報の書き方

ここからは、より音楽的な情報を記譜する際のルールをお話していきます。

主に以下の情報が必要になります。

  • テンポ指定(メトロノーム記号・速度記号)
  • リハーサルマーク(練習番号)
  • 演奏法の指示
  • 強弱記号
  • アーティキュレーション
  • 発想記号

■ テンポ指定(メトロノーム記号・速度記号)

BPMや速度記号など、楽曲のテンポに関する情報です。

この情報がなければどんな速度で演奏すべきか伝わりませんので必須の項目といえます。

テンポの書き方には以下の3種の方法があります。

  • メトロノーム記号のみを記載
  • 速度記号のみを記載
  • メトロノーム記号と速度記号の両方を記載
■ メトロノーム記号のみを記載

いわゆるBPMをそのまま表記する方法です。

BPMの基準となる音価(四分音符など)と、実際のBPMの数値を記譜します。

音価と数値を「=」でつなぐことで、そのテンポを厳密に指定することができます。

一方で「≒(ニアリーイコール)」を用いることで「だいたいそれくらいの速さで」というような意味合いにすることもできます。

■ 速度記号のみを記載

速度記号とは、楽曲の速さを表す標語のこと。

「Allegro(「速く」という意味)」や「Moderato(「中庸な速さで」という意味)」などが有名ですね。

厳密なBPMではなく大まかな速さのみを指定するため、楽曲のテンポ感は指揮者や演奏者にある程度委ねられます。

したがって、DAWを用いた現代の楽曲制作には不向きな記譜法ともいえます。

特に意図がない限りは、メトロノーム記号を書いた方が無難でしょう。

■ 速度記号とメトロノーム記号の両方を記載

上記2つの情報を両方書くこともできます。

速度記号は、後述する発想記号と組み合わせて記載する場合もあり、これは非常に有用です。

例えば「Allegro con brio(イキイキとした演奏で、速く)」という指定があります。

これは「Allegro(「速く」という意味の速度記号)」と、「con brio(イキイキとした演奏でという意味の発想記号)」を組み合わせたもの。

これにより、速度とニュアンスどちらも伝えることができるわけですね。

ただし、速度記号のみでは正確なBPMまで伝えることができませんので、メトロノーム記号も併用するというわけです。

これにより、演奏のニュアンスと正確なテンポの両方を正しく伝えることができます。

■ リハーサルマーク(練習番号)

リハーサルマークとは、楽曲の区切りごとに設けられた目印のようなもの。

以下の資料のような四角で囲まれた英数字がリハーサルマークです。

別名「練習番号」ともいい、文字通りリハーサル(練習)をスムーズに進めるため用いられるものです。

リハーサルマークには主に以下のような効能があります。

  • 練習やレコーディングをスムーズにする
  • 曲の区切り(構造)をわかりやすくする
  • 譜読みしやすくする(演奏を落としにくくなる)

楽譜を見ている人全員が今どの部分を演奏しているのかを認識しやすくなるため、レコーディングにおいても非常に重宝します。

リハーサルマークがなくても楽譜は成立しますが、演奏やレコーディングをスムーズに進める上で重要な役割を持っていますので、よほどの意図がない限りは必ず記載するようにしましょう。

■ リハーサルマークの書き方

リハーサルマークには以下の2種類の書き方があります。

  • アルファベット表記
  • 節目となる小節番号

アルファベット表記の場合は、「A,B,C…Z」とアルファベット順に書いていきます。

長い曲では「Z」まで使い切ってなお足りない場合はあります。

その時は、「AA,AB,AC…AZ」、さらに足りなければ「BA,BB,BC…BZ」という形で用います。

小節番号で記載する場合は、単純にリハーサルマークを置く小節の小節番号を四角い枠で囲んで記載すればOKです。

■ リハーサルマークのつけ方(つける位置)

リハーサルマークは、楽曲の区切りとなる小節に記載します。

歌ものを例に考えるのが非常にわかりやすいですね。

  • イントロ
  • Aメロ
  • Bメロ
  • サビ
  • 間奏

といった、楽曲の節目となる最初の小節に置いていきましょう。

■ 演奏法の指示

いわゆる奏法の指定です。

その楽器における最もスタンダードな奏法を用いる場合にはこの表記は必要ありませんが、ピチカート奏法やミュート奏法など特殊な奏法を用いる場合はこの指定が必要になります。

各楽器の演奏法およびその記譜については、本カリキュラム前半部分、楽器法の記事にて解説しています。

そちらも合わせてご確認ください。

■ 強弱記号

強弱記号とは、演奏の強さを指定する記号です。

「f(フォルテ)」や「p(ピアノ)」などそのシーンの音量を指定するものや、クレッシェンド、デクレッシェンドのような音量の変化を指定するものがこれに該当します。

こちらも書き方に厳密なルールはなく、イメージに合う記号を指定をすればOKです。

とはいえ、最初はどの程度を目安に書いていけばいいのかイメージがつきにくいと思います。

その場合は、最低限リハーサルマークごとに強弱記号を書くことを意識するとよいでしょう。

■ アーティキュレーション

スタッカートやテヌート、スラーなどといったアーティキュレーションも忘れてはいけない大切な要素です。

演奏のニュアンスを楽譜を通して伝えるためには、しっかりとアーティキュレーションを書き込む必要があります。

まずは、基本となる以下の4つのアーティキュレーションを楽譜に反映させていきましょう。

  • スタッカート
  • テヌート
  • スラー
  • アクセント

どのようにつけていいのかわからない場合は、モックアップ同様フレーズを歌いながら考えるのが有効です。

実際にフレーズを歌ってみて、イメージに近いアーティキュレーションを書き込んでいきましょう。

なお、イメージすらわかない場合は、クラシック曲をスコアを見ながら鑑賞してみてください。

実際に聞こえてくる音と楽譜上のアーティキュレーションの関係がどうなっているのかを観察することで、徐々にイメージが湧くようになっていくはずです。

■ 「Simile(シミーレ)」を有効活用しよう

「Simile(シミーレ)」とは、「前の小節と同じように」という意味の音楽用語です。

特定のリズムや音形を繰り返すようなフレーズにおいて、毎度律儀にアーティキュレーションを書き込んでいると楽譜の情報量が増えて読みにくくなってしまいます。

そんな時は「Simile」と書き添えることで、以後も同様のアーティキュレーションで演奏してもらえることを覚えておきましょう。

楽譜の見た目もスッキリするので、非常に読みやすくなります。

■ 発想記号

発想記号とは、音楽の表現・表情づけにまつわる記号です。

「Sonore(ソノーレ・朗々と響かせてという意味)」や、「Pesante(ペザンテ・重々しくという意味)」といった、より音楽的なニュアンスを伝えるために使用します。

作者に明確なイメージがある部分や、曲中の重要な部分などで指定されることが多いです。

これまでにお伝えしてきた様々な情報とちがって、必ずしも記譜しなければならないものではありません。

しかしながら、音符やアーティキュレーションだけでは伝えることが難しい演奏ニュアンスの方向性を指示できることもあり、イメージを明確に奏者に伝えたい場合には非常に重宝します。

なお、楽典に掲載されているような一般的な発想記号の中にイメージ通りのものがない場合は、日本語で指示するのも全然OKです。

要は、どんなニュアンス・イメージで演奏して欲しいのかが伝わればいいだけですからね。

まとめ

というわけで、より充実したスコアを作るために必要な各種要素について解説しました。

今日ご紹介した情報をしっかりと書き込むことで、指揮者や演奏者などに楽曲のイメージを的確に伝えることができます。

全てを書くのはなかなか骨が折れる作業ですが、頑張った分だけ演奏やレコーディングをスムーズに進められるようになるでしょう。

ぜひ繰り返しトレーニングしながら、本格的なスコア制作をマスターしてくださいね!

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