ジャンル別ビートメイク11:ラテン&レゲエ のビートを理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、主にキューバやジャマイカなど、カリブ海周辺の国々が発祥の「ラテン」と「レゲエ 」のリズムについて解説していきます。
- ラテンの特徴
- ラテンのリズムパターン
- ラテンの打込みのポイント
- レゲエの特徴
- レゲエのリズムパターン
- レゲエの打込みのポイント
ラテン音楽は、広義では「ラテン・アメリカ」と呼ばれる中南米全域の音楽を表す総称としても用いられますが、ここではより狭い意味で、音楽ジャンルとしての「ラテン」に絞って取り扱います。
ラテンには、それ特有のさまざまな技法&リズムが盛りだくさん。
ラテン以外の民族音楽を理解するのにも役立つと思いますので、今日の記事を参考にしっかり学習していきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ラテン(サルサ)の例:Yuri Buenaventura『Salsa』
レゲエの例:Bob Marley『One Love』
ラテンの解説
ラテンの特徴
冒頭でもお伝えした通り、「ラテン」は主にキューバを元とするカリブ海発祥の音楽ジャンルです。
ラテンには「サルサ」「ソン」「ルンバ」「マンボ」などさまざまなジャンルが存在しますが、そのいずれも陽気でダンサブルなものばかり。
そんなラテン音楽には以下のような特徴があります。
- 2拍目ウラ&4拍目で演奏される特徴的なキック
- クラーベと呼ばれる独自のアクセント
- パーカッシブな音遣い
それぞれ詳しく解説します。
2拍目ウラ&4拍目で演奏される特徴的なキック
ラテン音楽では、キックは2拍目ウラと4拍目でのみ演奏されるのが基本。
この特徴的なキックがもたらすグルーヴがこのジャンルにおける最大の特徴といっても過言ではありません。
同じリズムで演奏されるベースとの絡みも相まって、延々とシンコペーション続く面白いビートになっています。
キックの例
クラーベと呼ばれる独自のアクセント
クラーベとは、ラテン音楽で用いられる拍子木のようなパーカッション。
これにより固有のアクセントを演奏するのもラテン音楽の特徴です。
クラーベにはいくつか種類があり、それぞれアクセントの取り方に微妙な違いがあります。
【参考】ルンバで使用されるクラーベを「ルンバ・クラーベ」、ソンで使用されるクラーベを「ソン・クラーベ」などと呼びます。
また、クラーベはリズムの前半部分と後半部分を入れ替えて使用することができるという面白い特徴があります。
たとえば、「ッッカッカッッッ / カッッカッッカッ」といった、前半2つ&後半3つの組み合わせか、「カッッカッッカッ / ッッカッカッッ」という、前半3つ、後半2つの組み合わせかを組み替えることができ、前者を「2ー3」のクラーベ、後者を「3ー2」のクラーベといいます。
2ー3のクラーベ
3ー2のクラーベ
パーカッシブな音遣い
ラテンのビートは、本来カリブ海周辺の民族楽器で演奏されるもの。
それをドラムセットに置き換えて演奏する形になりますので、以下のようなパーカッシブなサウンドを積極的に取り入れながら演奏されます。
- サイドスティック
- タム
- ライドカップ
- カウベル
パーカッシブなドラム演奏
ラテンのリズムパターン
それでは、早速ラテンのリズムパターンをみていきましょう!
パターン①
2拍目ウラ&4拍目の特徴的なキックの上で、2ー3のソン・クラーベを演奏する基本パターンです。
パターン②
パターン①のソン・クラーベを3ー2に入れ替えたバリエーションです。
パターン③
パターン①のライドを、フロアタムのサイドスティックに置き換えたバージョンです。
ティンバレスというラテンパーカッションの銅を叩いて演奏する「カスカラ」というビートを模倣しています。
また、ソン・クラーベにおける最後のアクセントを半拍遅らせたこのパターンを「ルンバ・クラーベ」といいます。
パターン④
ラテンの中でも比較的新しい、「ソンゴ」というリズムパターンです。
2拍目のアクセントと、ウラ打ちで構成されたスネアが独特のビートを作り出していますね。
ライドのカップを1拍目3拍目で演奏する点もこのビートの特徴です。
パターン⑤
パターン④のライドカップを、カウベルに置き換えたバリエーションです。
より、本来のラテンの形に近くなります。
パターン⑥
「アフロ・キューバン・ジャズ」と呼ばれる、ラテンの要素を取り入れたジャズで演奏されるパターンです。
前述の「カスカラ」のリズムをライドで演奏しながら、サイドスティックとタムでパーカッシブに演奏します。
パターン⑦
パターン⑥をベースにタムの手数を増やした「アフロ・キューバン」のバリエーションです。
ラテンの打込みのコツ
ラテンのベロシティ
ラテン特有のキックのリズムによるシンコペーション感を強調するために、8分ウラのキックにはしっかりとアクセントをつけてあげると良いでしょう。
その他のベロシティに関しては、8ビートや16ビートの基本に忠実に打ち込んであげればOKです。
ラテンのクオンタイズ
こちらも、象徴的なキックに着目してエディットしていきましょう。
キックは全体的にプッシュ気味、とくに2拍目ウラのシンコペーションはかなり食い気味に演奏すると気持ちよくグルーヴします。
ライドのスウィングなどは、8ビート&16ビートの基本に則ればOKです。
レゲエの解説
レゲエの特徴
レゲエは、ジャマイカ発祥の音楽。
ゆったりのんびりしたビートが特徴の、これまた南国らしい雰囲気満載のジャンルです。
そんなレゲエの特徴は以下の通り。
- ワン・ドロップ・フィールと呼ばれる独自のキック
- 3連符のフィールを基調とするゆったりとしたビート
ワン・ドロップ・フィールと呼ばれる独自のキック
1小節に1回のみキックを演奏する「ワン・ドロップ・フィール」という独特のビート感が最大の特徴。
ラテン同様、キックの入れ方こそがこのジャンルのキモといえるでしょう。
3連符のフィールを基調とするゆったりとしたビート
ハイハットによる3連の刻みは(または実際には刻んでおらずとも)、常に3連符のフィールを感じながらゆったりと演奏するのがポイント。
ストレートなリズムよりもほのぼのした雰囲気がアップします。
ワン・ドロップ・フィールと3連ハイハットによるレゲエ
レゲエのリズムパターン
それでは、レゲエのリズムパターンをみていきましょう!
パターン①
3連ハイハットとワン・ドロップ・フィールのキックを用いた、レゲエの基本パターンです。
パターン②
比較的テンポの速いレゲエでは、ハイハットを3連で刻まず8分音符で演奏する場合も多く見られます。
この場合も、3連符のフィールを感じながら演奏することがポイントです。
パターン③
こちらは少し特殊な派生系。
ファンクの要素を取り入れて、ダンサブルな楽曲で使用されます。
パターン④
レゲエの原型となった「スカ」と呼ばれるジャンルの基本パターンです。
「スカ」は、アメリカのブラックミュージック(とくにR&B)の影響を受けてジャマイカで誕生した音楽ジャンル。
レゲエの特徴である「ワン・ドロップ・フィール」はそのままに、オープンハイハットを中心としたアップテンポなビートで演奏されます。
レゲエの打込みのコツ
レゲエのベロシティ
レゲエでは、やはり象徴的な「ワン・ドロップ・フィール」にしっかりとアクセントをつけて入力するのがポイントです。
ハイハットの刻みは、ラテン同様8ビート&16ビートの基本に忠実に則りつつ、3連ウラを控えめのベロシティでさりげなく添えてあげるくらいが程よいバランスになります。
レゲエのクオンタイズ
ハイハットの刻みは、3連ジャストよりもややルーズ目(3連ジャストよりプッシュ気味)に入力するとよいでしょう。
また、「ワン・ドロップ・フィール」は、ジャストよりもかなりレイドバックさせることで、独特のおだやかな雰囲気を作ることができます。
まとめ
というわけで、ラテン&レゲエについて詳しく解説しました。
今日ご紹介したビートは、ラテンの中でも最も基本となるリズムパターンです。
とくに、クラーベやカスカラなどラテン特有のリズムパターンを理解しておくことで、その他のラテン系ビートの理解もしやすくなると思います。
ぜひお役立ていただければ幸いです。
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