ジャンル別ビートメイク②:メタル・ビートを理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、へヴィメタルで使われる「メタル・ビート」について解説していきます。
- メタル・ビートの特徴
- ツーバス(ダブル・ベース・ドラム)
- ダブル・ビート(通称:倍テン)
- メタル・ビートのリズムパターン
- メタル・ビートの音色選び
- メタル・ビート打込みのポイント
ヘヴィメタルは「様式美」の音楽。
その「型」と「特徴」を理解することで、一気にヘヴィメタルらしいドラムサウンドを実現することができます。
しっかりとマスターしていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
メタル・ビートの基本
メタル・ビートの特徴
ヘヴィメタルとは、ロックに大別されるジャンルのひとつ。
「ロック(岩)」よりも重い、「ヘヴィメタル(重金属)」という意味で名付けられたことからもわかるように、そのサウンドはロックの中でもひときわ重厚。
音色面もさることながら、メタル独特の激しいビートもその特徴のひとつです。
メタル・ビートには、ロック・ビートでご紹介した特徴に加えて、さらに以下のような特徴があります。
- ツーバスを用いたキックの高速連打
- ダブル・タイムによる疾走感あるビート
- 重厚かつ鋭いアタックの音色
それぞれ詳しく解説します。
ツーバスを用いたキックの高速連打
「ツーバス」とは、ドラムセットの中に2つのバスドラムを組み込んだセッティングのこと。※1
別名「ダブル・ベース・ドラム」ともいいます。
両足をつかってキックを連打しながら演奏するのが特徴で、重厚かつ疾走感のあるビートを奏でることができます。
その一方で、本来ハイハットの開閉に使用するための左足がふさがってしまうため、ツーバス連打中はハイハットをクローズできないという特徴もあります。
そのため、原則として、ツーバス連打中は常にオープンハイハットの音色になることを覚えておきましょう。
例:ツーバスによるバスドラムの連打
【補足】
※1:1台のバスドラムでツーバスと同じ演奏を可能にするための「ツインペダル」という装置も存在します。
※2:ツーバス連打中でもハイハットをクローズできる特殊な装置も存在します。
ダブル・タイムによる疾走感のあるビート
メタル・ビートの大きな特徴のひとつとして、「ダブル・タイム」による疾走感のあるビートが挙げられます。
「ダブル・タイム」とは、通称「倍テン」ともよばれ、通常の8ビートを倍のテンポで演奏したようなリズムパターン。
ダブル・タイムのビートを用いることで、同じテンポでも一気に疾走感を増すことができます。
通常の8ビート
ダブル・タイム(倍テン)
【補足】「ダブル・タイム」の逆、すなわち通常の半分のテンポで演奏しているようなビート感を持つパターンを、「ハーフ・タイム(通称:半テン)」と呼びます。
重厚かつ鋭いアタックの音色
こちらは、のちほど「メタル・ビートの音色選び」の項目で解説します。
メタル・ビートのリズムパターン
それでは、メタル・ビートのリズムパターンを見ていきましょう!
メタル・ビートには以下のような独特のリズムパターンがあります。
メタル・ビート
パターン①
ダブル・タイムを用いた定番のリズムパターンです。
2拍目&4拍目アタマで演奏される16分音符のキック連打はツーバスを用いずとも演奏可能なため、クローズドハイハットの使用もOKです。
パターン②
こちらはキックをシンコペーションで配置した、よりドライヴ感の強い定番パターンとなります。
こちらもワンバスで演奏可能ですので、クローズドハイハットが使用できます。
パターン③
ツーバスをフルに使った、ド派手な定番ビート。
両足がキックの演奏にかかりきりですので、クローズドハイハットは使用できません。
オープンハイハットの代わりに、ライドやクラッシュシンバルを用いるパターンもあります。
パターン④
スネアをアタマ拍で叩くリズムパターン。
アタマ拍のアクセントが強くなるため、「表ノリ」のニュアンスが強くなります。
ややプッシュ気味に演奏するとかっこいい!
3連系メタル・ビート
メタル・ビートでは、ダブルタイムによるスピーディーなビートとは別に、3連符のフィールを基調としたビートも定番となっています。
パターン①
ツーバスで三連符を連打した定番パターンで、どっしりとした貫禄ある印象が魅力です。
例によってクローズドハイハットの使用はできません。
パターン②
キックの3連のうち、真ん中のノートをオミットしたパターン。
シャッフルビートに近い印象になりますが、あくまでそこはメタル。
表ノリを忘れないようにしましょう!
メタル・ビートの打込み
メタル・ビートの音色選び
先ほどもお伝えしたとおり、メタル・ビートでは「重厚かつ鋭いアタックの音色」が求められます。
まさに「ヘヴィメタル」という名にふさわしい、どっしりとした低い音程感と金属感のある打音が最大の特徴です。
具体的には、
- ロックよりもさらに低いピッチ(音程)
- バチバチした金属的なアタック(打音)
- ザクザクしたルーズ目のハイハット
あたりを意識すると良いですね。
キット選びとしては、可能ならメタル専用音色を用いるのが良いと思います。
もちろん、「ロック・キット」を加工して作るのもオッケーです。
今回は、以下のような音色を選んでみました。
キック
スネアドラム
タムタム
ハイハット
ライドシンバル
クラッシュシンバル
メタル・ビート打込みのコツ
メタル・ビートのベロシティ
メタル・ビートのベロシティもロック・ビート同様、基本ビートにおけるベロシティの原則に則りつつ比較的強めのベロシティで打込みましょう。
とくにスネアは、常時全力で叩いているような荒々しいニュアンスが出ると良いですね。
ハイハットは、スネアと同じタイミングでアクセントをつけてあげましょう。
スネアが裏打ちのときはウラ拍に、スネアが頭打ちのときはアタマ拍にといった具合です。
メタル・ビートのクオンタイズ
メタル・ビートでは、ロック・ビートよりさらに強い「プッシュ感」を演出しましょう。
- スネアは常時プッシュ
- キックもアタマ拍はプッシュ気味に
してあげると、疾走感がマシマシになります!
まとめ
というわけで、メタル・ビートについて詳しく解説しました。
冒頭でもお伝えしたとおり、ヘヴィメタルは「様式美」の音楽です。
メタル独特のビート&サウンド感を理解することが習得のポイントとなりますので、今日の記事を参考に様々なメタル・ビートを研究してみてください!
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