滑らかでシルキーなレガートを実現!ストリングスのデュレーションに関する考え方とテクニック
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、リアルなストリングスサウンドを実現するモックアップテクニックのうち、デュレーションの取り扱いについて詳しく解説していきます。
- デュレーションの基本
- デュレーションがもたらす効果
- レガートとインターバル
など、デュレーションを決定するために必要な考え方・テクニックについて学んでいきましょう。
【モックアップに使用する基本的なパラメータの解説はこちら】
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
デュレーションの基礎知識
デュレーションの基本
デュレーションとは、音の長さを表すパラメータのことでしたね。
ピアノロールに表示される各ノートの長さこそがデュレーションそのもの。
楽譜で書き表すことのできる「音価」と違って、「ティック」と呼ばれる細かい単位でコントロール可能なことが最大の特徴です。
ティック = DAW内で音の長さやタイミングを表す単位。四分音符を480ティック(または960ティック)として取り扱うのが基本。
【より基本的なデュレーションの解説についてはこちら】
デュレーションがもたらす効果
デュレーションを単なる音の長さと侮るなかれ。
デュレーションは、
- レガート感(滑らかさ)
- 歯切れの良さ
- グルーヴ感
など、さまざまな要素を司どる大事なパラメータ。丁寧にエディットして、リアルでかっこいいサウンドを作り込んでいきましょう。
ひとつひとつ、例を交えて解説していきます。
レガート感(滑らかさ)
レガート感は、ストリングスのデュレーションコントロールで最も重要な要素です。
フレーズを滑らかにつなげて演奏する、レガートやスラーといった奏法の実現には、デュレーションのコントロールが欠かせません。
レガート処理していない音
レガート処理した音
後者の方が、フレーズが滑らかにつながって聞こえるのがお分かりいただけると思います。
歯切れの良さ
デュレーションのコントロールは演奏の歯切れの良さにも影響します。
特にピアノのスタッカートなどでは顕著に現れる部分ですので、丁寧にエディットしていきましょう。
音価どおりに打ち込んだ音
デュレーションを調整して歯切れよく演奏した音
明らかに歯切れよく、気持ちの良い演奏になったことがお分かりいただけると思います。
グルーヴ感
グルーヴ感というと、グルーヴクォンタイズなどの「発音タイミング」にばかり目が向きがちですが、デュレーションもグルーヴを司る大事な要素です。
とくにベースのデュレーションは楽曲全体のグルーヴに大きく作用しますので、丁寧にエディットしていきましょう。
グルーヴの悪いベース
グルーヴの良いベース
ストリングスのデュレーション設定方法
レガート処理の重要性
先ほどもお伝えしたとおり、ストリングスにおけるデュレーションのエディットは「いかにして自然なレガートを実現するか?」これに尽きます。
一般的なストリングス音源ではロングノート系の音色は立ち上がりが遅く、グリッドジャストでノートオフしてしまうと、先行するノートと後続のノートの間にわずかな隙間が空いて聞こえるため、音が切れ切れに聞こえてしまいます。
それを解決するためには、先行するノートのデュレーションを伸ばし、次の音にかぶせてあげましょう。(これをレガート処理と言います。)
先行するノートのお尻と、次の音の頭がちょうどよくかぶさることで、滑らかにつながった演奏に聞こえます。
ノートやフレーズごとにデュレーションを設定することはもちろん、トラック全体を一括でレガート処理することもできます。
非常に便利な機能ですので、ぜひ活用しましょう。
レガート専用音色も積極的に利用しよう
比較的高価なストリングス音源では、リアルなレガートを再現してくれる専用の音色が用意されているものも多数リリースされています。
そのような音色は、音と音の切り替わりを丁寧にサンプリングしてくれているので、ただ単に音の末端を重ね合わせるだけよりもリアルなレガート感を得ることができます。
もし本格的なストリングスサウンドを実現したいならば、導入をオススメします。
通常の音源
レガート専用音源
【レガート専用音色を持つ代表的な音源】
- Vienna Symphonic Library(通称VSL)
- EastWest Hollywood Strings
- Spitfire Audioの各種ストリングス音源
- Cinematic Studio Strings(通称CSS)
- Cinestrings
- 8dioの各種ストリングス音源
グリッドジャストでノートオフする場合、インターバルをとる場合
ストリングスにおいては、原則として常にレガート状態を維持すると考えていただいて問題ないのですが、必要に応じてグリッドジャストでノートオフしたり、インターバル(ノート同士のスキマを開けること)を取ることもあります。
グリッドジャストでノートオフする場合
フレーズの切れ目等では、あえてグリッドジャストでノートオフさせることでフレーズの終了感を演出するのもアリです。
どういった場合にそのような処理をすれば良いかというと、楽譜上でフレーズの最後に休符が入るような場合です。
最後が休符で終わるようなフレーズの場合、MIDI上では休符を設けず、あえて最後まで伸ばした上でグリッドジャストでノートオフ。エクスプレッションで音を切ってあげることで、自然な休符感を演出できます。
休符でフレーズを終わらせた場合
グリッドジャストでノートオフし、エクスプレッションで休符を表現した場合
後者の方が自然なニュアンスになったことがお分かりいただけると思います。
インターバルをとる場合
連続するノート間でスキマを設けることをインターバルといいます。
ストリングスアレンジにおいては、アップテンポな歯切れの良いパッセージを演奏させる際には、インターバルを取りながら演奏してあげると自然な演奏になります。
まとめ
というわけで、ストリングスのモックアップにおけるデュレーションの取り扱いについて詳しく解説しました。
やはりキモとなるのは自然なレガート感。デュレーションを調整しながら、滑らかでシルキーなレガートを実現してあげることが、リアルなストリングスサウンドを実現する上での最大のポイントとなります。
ほどよいレガート加減は音源によってまちまちですので、お手持ちの音源をよく研究しながら自然なレガートを実現できるようデュレーションを調整してみてください。
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