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ストリングスのベロシティに関する基本的な考え方とテクニックを解説

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、打ち込みでリアルなストリングスサウンドを実現するモックアップテクニックのうち、ベロシティの取り扱いについて詳しく解説していきます。

  • ベロシティの基本
  • ベロシティの特徴
  • ベロシティの変更によってもたらされる効果
  • ストリングスモックアップにおけるベロシティの取り扱い

などなど、ベロシティを決定するために必要な考え方・テクニックについて学んでいきましょう。

【モックアップに使用する基本的なパラメータの解説はこちら】

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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ベロシティの基礎知識

ベロシティの基礎知識

ベロシティの基本

ベロシティとは、ノートの強さ(=打鍵の強さ)をコントロールするためのパラメータでしたね。

鍵盤を強く叩けば大きな音、弱く弾けば小さな音が出るようプログラムされた音源がたくさんありますが、その変化を司っているのがベロシティです。

ピアノのような鍵盤楽器はもちろん、ドラムのように1ストロークごとに音量を変えたい楽器の打ち込みには、絶対に欠かすことのできないパラメータです。

【より基本的なベロシティの解説についてはこちら】

ベロシティの特徴

ベロシティには、以下のような特徴があります。

  1. ノート1つ1つに強弱を設定可能
  2. 打鍵のタイミングで決定し、その後は変更することができない

1. ノート1つ1つに強弱を設定可能

ベロシティは「打鍵の強さ」を表すパラメータですから、当然ノート1つにつき1つのベロシティが設定可能です。

そのため、複数の音を同時に鳴らすことの多いパートでも、1音ごとにベロシティを設定することができます。

2. 打鍵のタイミングで決定し、その後は変更することができない

ベロシティの値は打鍵のタイミングで決定するため、一度値が決まってしまうとその後は変更することはできません。

したがって、ノートの再生中に音量を変更したい場合(クレッシェンドなど)はベロシティでは対応できないということになります。

その場合は、エクスプレッションを用いて音量をコントロールしましょう。

ベロシティの変更によってもたらされる効果

ベロシティのコントロールによって得られる効能は主に以下の2点です。

  1. 音量の変化
  2. 音色の変化

前者はすでにお伝えしたとおりですので、後者について詳しく解説します。

最近の音源は、よりリアルな演奏感を実現するために、ベロシティ値によって異なるサンプルが再生されるようプログラムされたものが多く存在します。(これをベロシティレイヤーと呼びます。)

強いベロシティが入力された場合には強い音色のサンプルを、弱いベロシティが入力された場合には弱い音色のサンプルを切り替えて演奏することができるため、実際の強弱にマッチしたサウンドが自動的に演奏できるようになっています。

実際に音色の変化を聞き比べてみましょう。

ベロシティが強くなるにつれて、音色もパワフルなものに切り替わっていくのがお分かりいただけると思います。

 

ストリングスのベロシティ設定方法

ストリングスのベロシティ設定方法

次に、ストリングスの打ち込みにおけるベロシティの取り扱いについて実践的なテクニックをお伝えしていきます。

ストリングスのベロシティは、以下のような考え方で設定していきます。

  1. レガートやトレモロなどのロングノート系 → ベロシティは一定
  2. スタッカートやピチカートなどのショートノート系 → 必要に応じてベロシティを調整

それぞれ解説していきます。

1.レガート、トレモロなどのロングノート系音色はベロシティ一定で打ち込む

レガートやトレモロなど、長く伸ばすタイプの演奏法の場合は、一定のベロシティで打ち込みましょう。

その理由は以下の2点です。

  1. ノートごとに音量が変わってしまうと、エクスプレッションが意図通りに効いてくれない
  2. レガートで演奏する場合、そもそもベロシティという概念が存在しない

1. ノートごとに音量がかわってしまうと、エクスプレッションが意図通りに効いてくれない

ストリングスを構成する擦弦楽器は、弓を用いて断続的な音を演奏しますが、より音楽的で表情豊かな演奏を実現するためには、個々のノートの強弱よりも、ノート発音中の抑揚こそが重要なカギになります。

それを再現するためには、前述のとおりエクスプレッションを駆使して抑揚をつけていくのがセオリーです。

しかしながら、いかにエクスプレッションで抑揚をつけようとも、その前段階でベロシティによる強弱がついてしまっていると、エクスプレッションで指定した抑揚が、意図通りに反映されません。

したがって、ベロシティは一定にした上で、音の強弱はエクスプレッションに委ねるのが得策です。

エクスプレッションで強弱をつけた場合、ベロシティで強弱をつけた場合

ベロシティで強弱をつけると、ベロシティレイヤーによって突如音色が変わってしまい唐突なイメージになるのがお分かりいただけたと思います。

【マメ知識:ロングトーンの重要性】

弦楽器や管楽器における最も基本的なトレーニングは、ロングトーンの習得。まっすぐブレずに音を出し続けるためのトレーニングをひたすら行います。音をぶれずに演奏できて初めて、自在に強弱をコントロールすることができるようになるからです。

打ち込みにおいても同じ。まずは一定のベロシティでまっすぐ演奏できる状態を作った上で、エクスプレッションで自由に強弱をつけた方がより自然な演奏になります。

参考:ロングノート系音色一覧

2.レガートで演奏する場合、そもそもベロシティという概念自体が存在しない

ストリングスにおいてレガートおよびスラーで演奏をする場合、原則としてひと弓で演奏します。(弓を返さず演奏するということ。)

つまり、音が切り替わるタイミングで行われる動作は指板を抑える指の変更のみであり、新たに音を弾き直すわけではないんです。

ということは、ベロシティが発生するような動作は一切行われないということ。当然ベロシティ自体が存在しないことになります。

そのような意味でも、ベロシティは一定にしておく方が自然な演奏になることがお分かりいただけると思います。

スタッカートやピチカートなどのショートノート系は必要に応じてベロシティを調整

スタッカートやピチカートといったショートノート系の音色ならば、ベロシティを変更しても問題ないでしょう。

ショートノート系の音色は全て「減衰系」の音色になりますので、ノートの発音中に音量を変更する必要がありません。

また、レガートやスラーのように複数の音をつなげて演奏することもありませんので、1音1音弾き直すことになります。

ですから、ショートノート系音色の強弱の変更はベロシティで行う方が自然といえます。

ショートノート系音色をベロシティとエクスプレッションでそれぞれ強弱をつけてみた例

参考:ショートノート系音色一覧

 

まとめ

というわけで、ストリングスのモックアップにおけるベロシティの取り扱いについて詳しく解説しました。

ロングノート系の音色を打ち込む場合とショートノート系の音色を打ち込む場合で、ベロシティの取り扱いが変わる点が最大のキモとなります。

今日の記事を参考に、実際の楽器がどのような原理で演奏されているかをよく考慮しながら、適切なベロシティ設定が行えるようトレーニングしていきましょう!

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