クラシカルで厳かな楽曲にぴったり!ホモフォニー型ストリングスアレンジを解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ストリングスアレンジの基本となる5つの型のうち、「ホモフォニー型」について、詳細なアレンジ方法を解説していきます。
- ホモフォニー型の特徴
- ホモフォニー型アレンジのポイント
- 実際のアレンジ手順
- ホモフォニー型とポリフォニー型の使い分け
などなど、ホモフォニー型アレンジを完成させるために必要な情報を網羅していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホモフォニー型はこんなアレンジです。
【ストリングスアレンジの基本となる5つの型についての解説はコチラ】
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ストリングスアレンジの基本形2:ホモフォニー型の特徴
ホモフォニー型の基本
ホモフォニー型は、1stがメロディ、それ以外が伴奏を演奏するアレンジ形態のことでしたね。
古典派時代に確立された手法で、モーツァルトやベートヴェンなど名だたる巨匠たちがこの手法を用いて名曲を残しています。
楽譜でみると以下のような形になります。
ホモフォニー型アレンジのポイント
ホモフォニー型のアレンジでは、ストリングス単体で
・メロディ
・コード
・ベースライン
・リズム
すべての要素を演奏することが可能なため、他の楽器との組み合わせなしでもストリングスだけで十分アレンジを成立させることができます。
したがって、無理にほかの楽器と組み合わせる必要はありませんし、仮に組み合わせるとしても、ストリングスパートを補強する形で足してあげるのが良いかと思います。
ストリングスだけで構成されたホモフォニー型の例:『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』第1楽章
有名なモーツァルトの名曲ですが、完全なユニゾンからなるイントロの後に始まる第1主題は典型的なホモフォニー型で書かれています。
【ホモフォニー型アレンジの楽器組み合わせ例】
- メロディ → 1st Violin
- コード → ストリングス下三声、コード楽器を入れる場合は軽めに
- ベース → Cello、Contrabass、その他補強程度
- リズム → ストリングス下三声刻み、パーカッションなど
実際のサウンドは以下のような感じになります。
ストリングスのみ
ピアノ追加(ベースの補強)
ベース追加(こちらもベースの補強)
パーカッション追加(リズム楽器)
ストリングスアレンジの基本形2:ホモフォニー型のアレンジ手順
ホモフォニー型のアレンジ手順は以下の通りです。
- メロディを1st Violinで打ち込む
- ベース(各コードのルート)をCelloで打ち込む
- 2nd、Violaを使ってコードを補完する
- 必要に応じて内声に動きをつける
これだけ!またまたシンプルですね!
1. メロディを1st Violinで打ち込む
まずは主旋律を1st Violinに打ち込んでいきましょう。
<ホモフォニー型は、オーケストラのようなインスト曲で使われることがほとんどで、歌モノなどで使われることはあまりないため、1st Violinは主旋律を演奏するものと考えてオッケーかと思います。
ブロックコード型などと違い、2nd以下とユニゾンさせることもありませんので、メロディの音域もViolinの音域内に収まっていれば問題ないでしょう。
2. ベース(各コードのルート)をCelloで打ち込む
次に、Celloパートにベースを打ち込んでいきましょう。
基本は、各コードのルートの音を演奏すれば問題ありません。オンコードの場合はベース音となる分母の音を打ち込んであげればオッケーです。
例)「Dm→G7→C」というコード進行なら、そのままルートの「D→G→C」を、「F/G→G7→C」といった具合に音コードを含む場合は、分母の音がベース音になるので「G→G→C」と打ち込めばよいですね。
ベースのリズムについて
ホモフォニー型においては、ベース+内声の伴奏部分には何かしらリズム要素をプラスしてあげた方がサマになります。(ルートを8分音符で刻んでいるだけでも十分それっぽくなります。)
もちろん白玉で打ち込んでもなんら問題はないのですが、下三声はあくまで伴奏という位置付けのため、単なる白玉の伸ばしだと味気ないアレンジになりがちです。
白玉系でしっとり聞かせたい場合はポリフォニー型を採用した方が良い結果になりますので、ホモフォニー型を使うの場合は積極的にリズム要素をプラスしていった方が良いでしょう。
【ホモフォニー型とポリフォニー型の使い分け】
・ホモフォニー型 → 刻みを入れてリズム要素をプラス
・ポリフォニー型 → 白玉や旋律を中心にしっとりと
3. 2nd、Violaでコードを補完する
つづいて、内声(2ndとViola)を使ってコードを補完していきましょう。
ボイシングは、和声学の記事でお伝えした「密集配置」か「解離配置」のいずれかを採用すればよいかと思います。
残りの「オクターヴ配置」はどのような場合に使うかというと、ベースが第3音(3rd)を演奏している場合だと考えればオッケーです。
和声学では、4つのパートのうち2パートが3rdの音を演奏してしまうと、和音のバランスが崩れ美しくないとされています。
それを避けるために、ベースが3rdを演奏している場合は、上三声がルートと5thだけで構成されたオクターヴ配置にしてあげるのが良い結果になります。
オクターヴ配置の用法 → ベースが3rdを演奏している場合に有効。第3音の重複を避けることで、バランスの良い響きを実現できる。
基本は和声学のルール通りに配置
ボイシングも理解できたところで、どのように音を配置すれば良いかをご説明しましょう。
こちらも基本的に和声学のルール通りに音を配置していけばオッケーです。
原則としてコードトーンはすべて鳴らすこと
すでにメロディとベースの音が確定しているわけですから、2ndとViolaは残りのコードトーンを鳴らせばオッケーです。
【注意点】ホモフォニー型の場合1st Violinはメロディとして動きまくりますので、コードの途中でノートが変わってしまうこともあります。ブロックコード型のようにメロディに追随してあげれば解決できますが、伴奏が動きすぎて不自然になることも。それを避けるためには、可能な限り2nd以下の伴奏を担当する3声でコードトーンが補完できていると安心かと思います。(その場合、必然的に4和音は1音省略することになります。)
省略しても良い音
こちらも和声学通りの解釈で問題ありません。
内声のリズムについて
内声もベース同様に刻みを入れてあげるとホモフォニー型の特色をしっかり活かせると思います。
刻むリズムは、ベースと同様8分音符でも良いと思いますし、ベースよりさらに細かい16分音符での刻みでも勢いが出てよいでしょう。
こちらの楽曲では、ベースは8分音符、内声は16分音符で刻んでいます。
4. 必要に応じて内声に動きをつける
2ndとViolinで和音を演奏することで楽曲ぽくはなるのですが、いくつか不都合が起きる場合があります。
- 和音を刻むだけでは単調すぎる
- 1st Violinのメロディが盛り上がるほど、内声と音域が乖離してしまう
- メロディとの間に禁則が生じてしまう
例えば、先ほど打ち込んだ内声では以下のような問題が起きています。
そのような場合には、内声に動きをつけることで解決を図ることができます。
和音のトップノートを変えて転回してあげるだけでも動きが出て単調さがなくなります、声部同士の不必要な乖離や禁則を自然に避けることができます。
どう動きを出すかは厳密な決まりはありませんので、和声学上おかしくなければ様々なパターンを試してみると良いでしょう!
これでホモフォニー型の基本的なアレンジは完了です。
まとめ
というわけで、ホモフォニー型アレンジについて、詳細な解説をお届けしました。
古典派音楽で多用されていたこともあって、非常にクラシックで厳かな雰囲気の漂うアレンジ形態。
ポップスで多用することはあまりないと思いますが、クラシック的なアプローチにはぴったりですので、そのような楽曲制作の場合はぜひ取り入れてみてください!
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