モーダルインターチェンジ③:借用和音の使い方と代表的なモーダルインターチェンジコードを解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日はいよいよ、「モーダルインターチェンジ」を使ったコードワークのテクニックを解説していきます。
これまでにご紹介したモードを使って、どのようなコード進行が作れるのか?その考え方と実践テクニックが満載です。
- モーダルインターチェンジの基本的な用法
- マイナーキーからの借用
- 借用和音の使い方
- 代表的なモーダルインターチェンジコード
モーダルインターチェンジの概念が理解できるようになると、あなたが扱えるコードは無限に等しいほど爆増します!
しっかりマスターして、ご自身のものにしてくださいね!
モーダルインターチェンジの基本的な用法
モーダルインターチェンジとは「モード交換」のことでしたね。
すなわち、ほかのモードの上に成り立つダイアトニックコードを一時的に借りてきて使うことができるということです。
日本語で「借用和音」と呼ぶ理由はそこにあるわけですね。
ここからは、最も基本的なモーダルインターチェンジである「ナチュラルマイナー(=エオリアン)」からの借用について解説していきます。
ナチュラルマイナーのダイアトニックコード
まずは、ナチュラルマイナーのダイアトニックコードをおさらいしてみましょう。
ナチュラルマイナーのダイアトニックコードが持つ機能は、それぞれ以下の通りでした。
【参考】短調の和音についての解説記事
マイナーキーからの借用
モーダルインターチェンジの考え方に則れば、ナチュラルマイナーキーのダイアトニックコードは全て、同主長調(同じ主音を持つメジャーキー)の中でも使うことができるという寸法です。
例えば、以下のようなコード進行を作ることができます。
メジャーダイアトニックのみを使った進行
ナチュラルマイナーからの借用を取り入れた進行
メジャーキーの楽曲であっても、一部マイナーキーの和音を取り入れることで、マイナーキーの持つ影のある雰囲気を楽曲に取り入れることができます。
これこそがモーダルインターチェンジであり、ナチュラルマイナー以外にもあらゆるパラレルモードの上に成り立つダイアトニックコードを借用して使うことができます。
借用和音の使い方
モーダルインターチェンジの概念が理解できたところで、ナチュラルマイナーからの借用を例に借用和音の具体的な使い方を解説していきます。
借用和音の基本的な使い方は以下の3つです。
- ダイアトニックコードを置き換える
- 同じ度数をもつコードを後続させる
- 一時的に転調する
それぞれ詳しくみていきましょう。
ダイアトニックコードを置き換える
譜例1:置き換え前
譜例1:置き換え後
譜例2:置き換え前
譜例2:置き換え後
同じ度数をもつコードを後続させる
置き換え前
置き換え後
一時的に転調する
こちらは先ほどもご紹介した例ですが、最初と最後のIに挟まれた部分は一時的にナチュラルマイナーキーに転調していると考えることができます。
このような一時的な転調の場合は、調合は元のキーのまま運用するのが一般的です。
代表的なモーダルインターチェンジコード
ここからは、各モードから生成されるモーダルインターチェンジコードの中から代表的なものをご紹介していきます。
※以後は、モーダルインターチェンジの略称である「M.I.C」という表記を使用していきます。
トニックマイナー機能をもつM.I.Cコード
トニックの代理として使用できる「トニックマイナー」の機能をもったM.I.Cコードです。
Im7
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
Im△7
メロディックマイナーからのM.I.Cコードです。
I7
ミクソリディアンからのM.I.Cコードです。
一見するとセカンダリードミナントである「V7/IV」と同じコードに見えますが、こちらはIVに進行することはなく「トニックマイナー」として取り扱います。
bIIImaj7
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
ドミナントマイナー機能をもつM.I.Cコード
ドミナントの代理として使用できる「ドミナントマイナー」の機能をもったM.I.Cコードです。
Vm7
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
サブドミナントマイナー機能をもつM.I.Cコード
サブドミナントの代理として使用できる「サブドミナントマイナー」の機能をもったM.I.Cコードです。
まずは、メジャーキーのサブドミナントであるIIとIVの置き換えから。
IIm7(b5)
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
マイナーキーのIIに相当するため、ツーファイブの際にIImの代わりに使うこともできます。
IVm7
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
IVm△7
ミクソリディアンb13からのM.I.Cコードです。
IV7
ドリアンからのM.I.Cコードです。
こちらもセカンダリードミナントに見えますが、前述のI7同様ドミナント機能は持たず、単体のサブドミナントマイナーとして使用します。
ブルース進行でよく使われるのが特徴ですね!
次に、メジャーキーではサブドミナントではなかったが、他のモードではサブドミナントマイナーとして取り扱われるVIとVIIをご紹介。
bVImaj7
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
bVI7
ロクリアンからのM.I.Cコードです。
こちらもドミナント機能を持たないため、ドミナントモーションせず単体で機能します。
bVII7
エオリアン(=ナチュラルマイナー)からのM.I.Cコードです。
こちらもドミナント機能を持たない和音ではありますが、トニックであるIへの進行はめちゃめちゃよく使います!
bVIImaj7
ミクソリディアンからのM.I.Cコードです。
まとめ
というわけで、モーダルインターチェンジを用いた借用和音の使い方をご紹介しました!
異なるモードとその上に成り立つダイアトニックコードは、曲中いつでも切り替えて使用することができます。
モーダルインターチェンジを理解することで、使えるコード進行は無限大!
今日ご紹介した概念をしっかり理解して、存分に使いこなせるようにマスターしていきましょう!
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