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コンパウンドコードとは?分数コードの構造と3種の用法を理解しよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

コード理論の学習もいよいよ大詰め!

今日からは、コンパウンドコード(Compound Chord)」について解説していきます。

  • コンパウンドコードとは?
  • アッパーストラクチャーとロウアーストラクチャー
  • 3種類のコンパウンドコード

コンパウンドコードを自在に扱えるようになることで、あえて調性感をぼかした現代的なコードワークを実現することができます。

ジャズはもちろん、印象派以降の近現代クラシック音楽でも多用される和声技法。

コード理論の締めくくりとして、しっかりマスターしていきましょう!

 

コンパウンドコードの基礎知識

コンパウンドコードの基礎知識

コンパウンドコードとは?

「コンパウンドコード(Compound Chord)」とは、「合成和音」の意味で、日本語では「分数コード」とも呼ばれます。

日本語での呼び名の通り、コード記号を「/(スラッシュ)」または「ー(括線・分数の分母と分子を区切る線)」で仕切って表記することが特徴で、どのような仕切り方をするかによっていくつかの種類があります。

コンパウンドコードの種類に関しては、記事後半でご説明します。

アッパーストラクチャーとロウアーストラクチャー

コンパウンドコードを構成するコードのうち、

  • 「/」で仕切られたコードの左側
  • 「ー」で仕切られたコードの上部

のことを「アッパーストラクチャー(上部構造)」といいます。

同様に、

  • 「ー」で仕切られたコードの下部

のことを「ロウアーストラクチャー(下部構造)」といいます。

これらのアッパーストラクチャーとロウアーストラクチャーの構造を機能的に記述したものが「コンパウンドコード」というわけです。

 

3種類のコンパウンドコード

3種類のコンパウンドコード

コンパウンドコードには、その性質から以下の3つの種類に分類されます。

  • コードの転回形
  • ハイブリッドコード
  • ポリコード(アッパーストラクチャートライアド)

それぞれ詳しく見ていきましょう!

【参考】セカンダリードミナント(V7/○)も「/」を用いたコード表記を行いますが、こちらは表記の便宜上そのような形になっているだけで、コンパウンドコードには含まれません。ご注意を!

1)コードの転回形

初級編でご紹介した「コードの転回形」も「/」で区切られたコンパウンドコードの一種です。

コードトーンのうち、ルート以外のいずれかを最低音(ベース音)とする場合には、この表記が用いられます。

C/G

Dm/F

2)ハイブリッドコード

ハイブリッドコードは、一見するとコードの転回形のように見えますが、厳密に違う点が1つあります。

それは、分母に相当するノート(コード記号の「/」右側)を必ず「ルート」として扱う点です。

中級編冒頭でご紹介した「IV/V」などのサブドミナント/V」の和音は、まさにこのハイブリッドコードの一種。

例えばCメジャーキーにおける「IV/V」のコード(F/G)では、ベース音となるGは、アッパーストラクチャーである「F」には含まれない音です。

「IV/V」のルートはあくまで「V(=G)」であり、G7の代わりにアッパーストラクチャーのみを置き換えたハイブリッドコードとみなすことができます。

このように、アッパーストラクチャーとベース音とで、異なる和音を組み合わせたものをハイブリッドコードといいます。

F/G

Dm/G

3)ポリコード(アッパーストラクチャートライアド)

ポリコードは、コード記号を「ー」で仕切るコードです。

アッパーストラクチャーとロウアーストラクチャーでそれぞれ別なコードを演奏するため、「ポリコード」と呼ばれます。

例えば、ピアノで演奏する場合には右手と左手で全く異なるコードを演奏することになるため、調性感のあいまいな、非常に複雑なサウンドを得ることができます。

D-C※

Gb-C7※

※テキスト上で「ー」を使った分数表記が難しいため、当サイトではポリコードを「○-○」と表記させていただきます。

一般的に、「アッパーストラクチャートライアド(UST)」と呼ばれる和声技法は、この「ポリコード」のことを指すことが多いですね。

冒頭でお伝えした通り、ジャズはもちろんのこと、近現代のクラシック音楽でも多用される極めてモダンなテクニック。

まさに、コード理論の集大成ともいえる上級テクニックとなっています。

 

まとめ

というわけで、コンパウンドコードの概要・基礎知識についてお届けしました。

コンパウンドコードのうち、「ハイブリッドコード」と「ポリコード」をマスターすることができれば、調性感にしばられない多種多様なサウンドを作りだすことができます。

いずれも、アヴェイラブルテンションとコードスケールをしっかり理解することで、比較的簡単に導き出すことができますので、これまでに学習した内容をしっかりと復習しながら、着実にマスターしていきましょう!

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