ジャンル別ビートメイク②:エレクトロのビートをマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、電子音楽の基本「エレクトロ」のビートについて解説していきます。
- エレクトロとは?
- エレクトロの特徴
- エレクトロのリズムパターン
- エレクトロの音選び
- エレクトロ打込みのポイント
現代において「エレクトロ」という音楽ジャンルは多岐に渡ります。
電子音を用いたダンスミュージックなら、ほぼ全て「エレクトロ」に括られてしまうこともありますからね。
そこで今回は、その起源にあたる「エレクトロ・ファンク」を中心にまとめていきます。
その定義や特徴、ビート作りのテクニックについてしっかりと理解を深めていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
エレクトロ・ファンクの例:Afrika Bambaataa & The Soul Sonic Force『Planet Rock』
エレクトロの基本
エレクトロとは?
エレクトロとは、ヨーロッパの電子音楽とアメリカのファンクが融合してできた音楽ジャンル。
そのことから、初期のエレクトロは「エレクトロ・ファンク」とも呼ばれ、その根底にはブラックミュージックの要素が多分に含まれています。
いうなれば「電子音で奏でるファンクテイストのダンスミュージック」ということになりますね。
したがって、現代における「広義でのエレクトロ」とは少し意味合いが異なることを覚えておきましょう。
Roland「TR-808」を用いたビートづくりがエレクトロの象徴であり、現代においてもリズムマシンを積極的に使ったサウンドこそがエレクトロの定番となっています。
エレクトロの特徴
前述の通り、エレクトロの最大の特徴は「TR-808」を使った電子音ベースのビート。
とにかく「TR-808」をはじめとするリズムマシンを使って”機械的にビート奏でる”ことこそがエレクトロのキモとなります。
また、ファンク由来の16ビートである点も考慮しましょう。
- リズムマシンを用いた電子音サウンド
- 極めて機械的な16ビート
- 特徴的なカウベルの音色
エレクトロ・ビートの例
リズムマシンを用いた電子音サウンド
エレクトロをエレクトロたらしめている最大のポイントは、リズムマシンによる電子音的なサウンド。
なかでも、TR-808を用いたビートメイクはエレクトロの定番テクニック。
本来ならば実機を用いてビートを作るのが理想的ですが、ハウス・ミュージックにおけるTR-909同様、TR-808の音をサンプリングしたドラム音源を使う形でも良いかと思います。
ステップシーケンサー使って打ち込むことで、よりエレクトロらしいアプローチが可能になるので、ステップシーケンサーつきの音源をお持ちの方はぜひチャレンジしてみてください。
electribeのiPadアプリなんかも販売されていますので、そちらを使ってみるのも面白いかもしれません。
極めて機械的な16ビート
前述の通り、初期のエレクトロは「エレクトロ・ファンク」とも呼ばれたほどに、ファンクの影響を受けています。
したがって、そのリズムの主体は16ビートとなります。
一方で、グルーヴそのものは非常に機械的。
ファンクらしいスウィング感やレイドバック感などはなく、あくまで機械で打込んだ正確なビートこそがエレクトロの特徴となっています。
ウワモノでファンク感を出しつつ、ビートはあくまで機械的に打込みましょう。
特徴的なカウベルの音色
TR-808サウンドのなかでとりわけ特徴的なのが、そのカウベルの音色。
このサウンドこそが、エレクトロらしさを醸し出す一つのポイントだったりもします。
往年のエレクトロサウンドを再現したい場合は、カウベルの音色を積極的に入れてみると良いでしょう。
(もちろん、必ずしも必要というわけではありませんが。)
エレクトロのリズムパターン
エレクトロ自体に決まり切ったリズムパターンがあるわけではなく、16ビート系のリズムパターンならばおおよそどんなビートでもハマると考えていただいてOKです。
ここでは、定番パターンを中心にご紹介します。
パターン①
キック、スネア、ハイハットのみのシンプルなパターンです。
とにかく機械的に淡々と打込むのがミソ。
パターン②
パターン①にカウベルを加えたバージョンです。
往年のエレクトロ・ビート感がアップしますね!
パターン③
ハイハットやキック、カウベルのパターンは比較的自由です。
16ビートのリズムパターンを参考に、楽曲に合わせて適宜選択しましょう。
パターン④
こちらもキックとカウベルのリズムを変えたバリエーションです。
エレクトロの打込み
エレクトロの音色選び
エレクトロにおける王道の音色は、やはりTR-808系サウンドです。
とはいえ、ドラムシンセ系の音色ならば何を使ってもOK。
楽曲に最もマッチしたドラムシンセ系サウンドを選んであげると良いでしょう。
- 基本はTR-808の音色
- ドラムシンセ系音源ならどれでもOK
今回は、Native Instruments社「Battery」に収録されている「808 Multiple Kit」というプリセットを選んでみました。
「808 Multiple Kit」にはカウベルの音色が含まれていないため、マラカスの音を一部カウベルに変更しています。
キック
スネアドラム
クラップ
タムタム
ハイハット
カウベル&マラカス
クラッシュシンバル
エレクトロ打込みのコツ
エレクトロのベロシティ
エレクトロのビートは、機械的なサウンドこそがポイントになります。
したがって、キック、スネア、ハイハットのベロシティはあえて一定に保つ方がそれらしくなります。
ただし、リズムによっては全て一定だとあまりにも平坦になりすぎる場合には、16ビートのベロシティ設定方法に倣って抑揚をつけると良いでしょう。
それ以外のカウベルやマラカスなどのパーカッション系についても、16ビートのベロシティの基本に則って設定すればOKです。
エレクトロのクオンタイズ
エレクトロのクオンタイズにおいても、機械的な演奏を心がけましょう。
したがって、全てのノートがグリッドジャスト!スウィングもなし!という具合に、かなり割り切ったクオンタイズ設定の方がそれらしくなります。
まとめ
というわけで、エレクトロのビートメイクについて詳しく解説しました。
エレクトロにおいては、やはりいかにして「電子音的」「機械的」なビートに仕上げるかがポイントになります。
元来のエレクトロのみならず、機械的なドラムサウンドを実現したい場合には同様の考え方が使えると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください!
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