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ジャンル別アコギアレンジ③:ボサノバのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。

今日は、「ボサノバ」におけるアコースティックギターのアレンジと打込みテクニックについて解説していきます。

  • ボサノバとは?
  • ボサノバのアレンジスタイル
  • 各種打込みテクニック

数あるワールドミュージックの中でもポピュラーな存在であるボサノバ。

純粋なワールドミュージックとしてだけでなく、現代のポピュラー音楽にも幅広く取り入れられている人気のジャンルです。

今日の記事を参考に、その特徴と各種テクニックをマスターしていきましょう!

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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ジャンル別アコギアレンジ③:ボサノバのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

ジャンル別アコギアレンジ③:ボサノバのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

ボサノバとは?

ボサノバは1950年代後半、ボサノバ・ギターの創始者といわれるジョアン・ジルベルトを始め、ブラジルのミュージシャンの間で新しいスタイルの音楽として発祥しました。

1964年、ジョアン・ジルベルトとサックス奏者のスタン・ゲッツ2人の名義で発表した『イパネマの娘』(作曲はアントニオ・カルロス・ジョビン、後半のボーカルにはジョアンの妻アストラッド・ジルベルトも参加)が米国で大ヒット、ボサノバが大衆に浸透することになります。

その後世界的に流行し、ボサノバを模した亜流のポップスもたくさん作られました。

日本では2000年代以降も「カフェミュージック」としてコンピレーションCDが一定の売上をあげているなどいまだにファンが多く、ボサノバのマーケットとして本国ブラジルよりも人気が高いようです。

『イパネマの娘』ジョアン・ジルベルト & スタン・ゲッツ



ボサノバのアレンジ

ここからは、ボサノバのギターアレンジ例を3パターン解説していきます。

ボサノバではほぼガットギターを使って演奏を行います。

お手持ちの音源にガットギター の音色があればそちらを選ぶとよいでしょう。

  • ①王道系ボサノバ楽曲
  • ②マイナー系ボサノバ楽曲
  • ③サンバ寄りボサノバ楽曲

① 王道系ボサノバ楽曲

音源

音源(ギターのみ)

イパネマの娘』のような王道のボサノバ 曲を想定しました。

基本的なボサノバギターでは、ベース音を2分音符で鳴らしながら、それに絡むようなリズムで高音部を弾きます

ベースはルートのみの場合と、5度でベースランニングする場合の2種類がメジャーです。

高音部はベース音に絡むように和音を弾き、ボサノバらしいリズムを構築します。

以下の譜例の「パターン1」が最も基本的なパターンとなりますが、パターン2のように2小節単位のパターンで弾かれることも多く、今回のデモ曲でも採用しています。

パターン1

パターン2

コードについて

ボサノバのコードではテンションコードが使われることが多く、今回も「maj9」や「m9」「b13」などを使っています。

5小節目の「G7(b13)は、サブスティテュートドミナント(通称「裏コード」)である「Db9」を使う場合も多いです。

「Db9」と「G7(b13)」ではルートこそ違いますが、構成音はほとんど同じ。

したがって、サブスティテュートドミナントに近いニュアンスとしてドミナントでの「b13」が使われるケースも多いです。

7小節目では、サブスティテュートドミナントである「Db9」を使いました。

打込みのポイント

打込みの際には、ベース音はやや弱めに、コード部分は下図の四角で囲ったところをデュレーションを短くしてスタッカート気味に打込むとそれらしくなります。

また、丸で囲った部分には軽くアクセントがつくようなイメージです。

ポップス、ロックに比べると比較的淡々と均一に弾く傾向がありますが、ベロシティ、タイミング、デュレーションはこれまで同様ランダムにズラしておきましょう。

② マイナー系ボサノバ楽曲

音源

音源(ギターのみ)

パターンの特徴と打込みのポイント

日本の歌謡曲~ニューミュージックにも見られる、マイナーのボサノバをベースにしたポップス曲を想定しています。

パターン自体は①とほぼ同じですが、2小節目の最後の和音の位置だけ異なります。

パターン①に比べてシンコペーション感が強く、よりポップな印象です。

音遣いに特徴があり、「クリシェ」という音が半音ずつ変化する進行が使われています。

1〜2小節目は、和音のトップノートが「E → D# → D → C#」、3〜4小節目は和音のボトムノートが「A → G# → G → F#」と、半音ずつ下降するクリシェになっています。

6〜7小節目にかけて、「#9 → b9」とオルタードテンションを使っていますが、ドミナントでのこの進行もマイナーボッサではよく使われますので覚えておきましょう。

7小節目4拍目ウラ~8小節目にかけてはキメとなりますが、このように半拍食う形でのキメはボサノバでよく使われます。

基本パターンはほとんど①と同じですので、打込みも同様にベロシティ、タイミング、デュレーションをランダムにズラしつつ打込みましょう。

③ サンバ寄りボサノバ楽曲

音源

音源(ギターのみ)

ボサノバ の名曲『ワン・ノート・サンバ』のように、コード進行に関わらず同じ音のメロディが続く楽曲を想定しています。

このデモ曲では”ワンノート”ではないものの、Bのオクターブ違いの2音を中心にメロディを構築しました。

『ワン・ノート・サンバ』は、サンバというよりはテンポの速いボサノバですが、コードが変わってもメロディがワンノートで歌われるのが特徴的な曲です。

『ワン・ノート・サンバ』アントニオ・カルロス・ジョビン


パターンの特徴と打込みのポイント

ルートがEから半音ずつ上昇しますが、IとIImの間、IImとIVmの間はそれぞれディミニッシュコードで繋いであります。

この用法を「パッシング・ディミニッシュ」といって、ボサノバ に限らずさまざまなジャンルで用いられます。

一方、5小節目からの下降パターンではディミニッシュを使わず、「G13」「F7(#11)」というテンション感の強いコードを使って前半とは違う緊張感を出しました。

こういった進行はボサノバやジャズでもよく見られ、複雑な音遣いながら独特なオシャレな雰囲気が出せますので覚えておくと良いでしょう。

7小節目のキメは60年代後半のボサノバやジャズで流行ったリズムです。

ブルースやジャズなら「E7-A7-E7」と進行しそうな所ですが、「Emaj7-A9-Emaj7」と進行するところがボサノバ感を感じさせます。

ボサノバのトニックでは「maj7」「maj9」「6」などがよく使われます。

打込みについては、とくに①②と違うところはありません。

これまで同様ベロシティ、タイミング、デュレーションなど気をつけて打込んでみてください。

まとめ

というわけで、今回はボサノバの代表的なスタイルでのアレンジ&打込みを解説しましたがいかがだったでしょうか?

ポップスの楽曲にも、ボサノバのニュアンスを加えることでオシャレな雰囲気をプラスすることができます。

楽曲の一部にピンポイントで取り入れるなどしても良いでしょう。

ぜひしっかり習得していただきアレンジに活用していただければと思います。

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