エクステンデッドドミナントを理解しよう!転調の予備知識についても解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今回は、ドミナントコードの連続によるコード進行、「エクステンデッドドミナント」について解説します
- エクステンデッドドミナントとは?
- エクステンデッドドミナントと転調の関係
- エクステンデッドドミナントの使い方
エクステンデッドドミナントを理解することで、コード進行のバリエーションが増えることはもちろん、上級編で学ぶ「転調」に対する理解も深まります。
しっかりとマスターしていきましょう!
エクステンデッドドミナントとは?
ドミナントコードは通常、トニックをはじめとしたなんらかの和音へと解決しようとする力が働きます。
これを無視してドミナントを連続させることを「エクステンデッドドミナント」といいます。
【参考】エクステンデッド(Extended)=拡張された、伸ばした、広げたの意
実際に例を挙げた方がわかりやすいと思いますので、以下のようなパターンをご用意しました。
このように、ドミナントモーションにおけるトニックに該当するコードを、ルートはそのままにドミナントコードに置き換えてしまうことで、延々とドミナントを連続させることができるという寸法です。
基本は完全四度上行(または完全五度下降)
前述の通り、エクステンデッドドミナントの原型はドミナントモーションとなります。
ドミナントからトニックへ解決しようとするエネルギーをあえて温存したまま連続使用することがキモというわけですね。
ですから、エクステンデッドドミナントにおいては、ドミナントモーション同様に常に完全四度上(または完全五度下)への進行となります。
五度圏を左回り(反時計回り)に延々循環しているようなイメージで考えていただければOKです。
エクステンデッドドミナントと転調の関係
前述の通り、エクステンデッドドミナントを延々と繰り返すことで、五度圏を循環し続けることになります。
カンの良い方ならすでにお気づきかと思いますが、これを利用することで楽曲を簡単に転調させることができます。
転調先の和音の前までエクステンデッドドミナントで進行し、最後にドミナントモーションで解決すればそこからは新たなキーでスタートさせることができるわけですね。
転調の詳細なテクニックは上級編で改めて解説しますが、今回は
エクステンデッドドミナントを使うと容易に転調できる
ということだけを覚えておいていただければと思います。
エクステンデッドドミナントの使い方
エクステンデッドドミナントの使い方は以下の3種類が基本となります。
- シンプルにドミナントを連続させる
- ツーファイブ化する
- ツーファイブを連続させる
さらに、それぞれをサブスティテュートドミナントに置き換えることもできますので、そちらも合わせてご紹介していきますね。
サブスティテュートドミナントに関する詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
1. シンプルにドミナントを連続させる
エクステンデッドドミナントの最もシンプルな使い方は、完全四度上のドミナントへ進行し続けることです。
トニックとして解決させたい和音に到達するまで、何個でもつなげることができます。
基本パターン
サブスティテュートドミナントに置き換え
2. ツーファイブ化する
エクステンデッドドミナントの間にIIm7やIIm7(b5)を挟み込むことで、ツーファイブ化することもできます。
基本パターン
サブスティテュートドミナントに置き換え
3. ツーファイブを連続させる
ツーファイブを休みなく連続させることも有効です。
ジャズなどの演奏では頻繁に登場するコード進行で、クラシックでは「反復進行」と言ったりします。
基本パターン
サブスティテュートドミナントに置き換え
まとめ
というわけで、エクステンデッドドミナントについて詳しく解説しました。
文中お伝えしたとおり、エクステンデッドドミナントの仕組みを理解すると、コードのバリエーションだけでなく転調に対する理解も深まります。
しっかりマスターして、上級編への布石として大いに活用しましょう!
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