ギターのサウンドメイク基礎④:空間系エフェクターを理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。
今日は、ギターサウンドに広がりを与える「空間系」エフェクターについて解説していきます。
- 空間系エフェクターとは?
- 各種空間系エフェクターの特徴
- ディレイを取り入れた奏法・サウンド
空間系エフェクト(とくに「ディレイ」)は、サウンドに変化を与えることはもちろん、フレーズに取り入れてアレンジの一部として活用することもできます。
これらの用法を知ることで、より華やかで個性的なサウンド&フレーズを作るのに役立つはずです。
その特徴を理解して、一歩進んだサウンドメイクをマスターしていきましょう!
なお、ギター用に限らずあらゆるエフェクターに関する知識を包括的に学びたい方は以下のカリキュラムも合わせてご活用いただければ幸いです。
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ギターのサウンドメイク基礎④:空間系エフェクターを理解しよう!
空間系エフェクターとは?
サウンドに、ホールやスタジオ、トンネルや洞窟などの残響をプラスしたり、やまびこ効果を追加したりするエフェクターが「空間系」エフェクターです。
主に「ディレイ」と「リバーブ」の2種類が用いられ、いずれも音の広がりや奥行きなどの空間を演出するのが主な役割です。
- ディレイ:音を遅延させてやまびこ効果を得るエフェクター
- リバーブ:音に残響を付与するエフェクター
「ディレイ」「リバーブ」の原理や使い方、サウンドの調整方法は以下の記事でも詳しく解説しています。
ぜひお役立てください。
各種空間系エフェクターの特徴
ここからは、「ディレイ」や「リバーブ」の特徴について解説していきます。
例によって、具体的な用法・セッティングについてはジャンル別ギターアレンジ記事などで解説していきますが、ここではそれぞれの特徴とサウンドの傾向を掴んでいきましょう。
ディレイの特徴
原音に対して遅れた音を混ぜることで、やまびこのような反射音を作り出すエフェクトが「ディレイ」です。
別名「エコー」と呼ぶこともあり、テープを使った「テープエコー」、コーラスやフランジャー同様にBBD素子を使った「アナログディレイ」、デジタル方式の「デジタルディレイ」などがあります。
テープエコーはその名の通り、演奏した音を一時的にテープに録音し遅らせて発音する装置で、その仕組み上筐体が大きく初期のものは価格も高価で一般人には手の届かないシロモノでした。
その後、BBD素子を用いた小型のアナログディレイが開発され多くのギタリストが使うように、やがて時代の流れとともにデジタルディレイが主流となりました。
コーラス同様アナログディレイはBBD素子により音が劣化することから暖かいサウンドが得られます。
一方、デジタルディレイはクリアなサウンドが特徴。
昨今ではデジタルアルゴリズムでアナログ感をシミュレートしたモデルもたくさん登場しています。
アナログディレイ サウンド
デジタルディレイ サウンド
リバーブ の特徴
サウンドに、ホールや洞窟のような残響を付与するエフェクトが「リバーブ」です。
じつは、「リバーブ」がギタリスト向けのエフェクターとして発売されるようになったのは比較的新しい時代(70年代末)になってからのこと。
とはいえ、60年代ごろからFenderのアンプにはスプリングリバーブが内蔵されていましたので、ギタリストには馴染みの深いものでした。
スプリングリバーブは文字通り残響を作るためにバネ(=スプリング)が使われており、独特の金属的な響きが特徴。
シングルコイル系の高域が強いギターと合わせることで、鋭いエレキサウンドを作り出したべンチャーズの楽曲は当時一世を風靡しました。
このようなスプリングリバーブをはじめとした機械式リバーブは、構造上どうしても筐体が大きくなってしまうことから、エフェクトペダルのような小型化は困難。
そのような理由から、アンプ内臓ではない小型のリバーブはデジタルリバーブが開発されて以降の登場となったわけです。
その後、80年代以降はコンパクトなペダルタイプのリバーブも数多く発売されました。
とはいえ、リバーブはPA側でかけてもらうことも多く、ペダルとしてのリバーブは他のエフェクトほどメジャーにはなりませんでした。
むしろスプリングリバーブをデジタルでシミュレートした製品の方がギタリストには好まれたと言えます。
ベンチャーズ ライブ映像
スプリングリバーブ サウンド
デジタルリバーブ サウンド
ディレイを取り入れた奏法・サウンド
ディレイが作り出すやまびこ効果をフレーズに取り入れることで、複雑で特徴的なアレンジを施すこともできます。
その場合、楽曲のテンポに合わせてディレイタイムを設定する「テンポディレイ」という使い方が用いられます。
例えば、bpm=120の楽曲の場合、各音符の長さは以下のようになります。
- 4分音符:500ms
- 8分音符:250ms
- 16分音符:125ms
※「ms」=「ミリ秒(1000分の1秒)」
とはいえ、最近のディレイではディレイタイムを音符で直接設定できるものも多いため、上記の数字は覚える必要はありません。
なお、ディレイ音をフレーズに組み込む場合は付点8分音符に設定することが多いです。
この設定の状態で8分音符のフレーズを演奏することで、2音目のウラにディレイ音が発音され、結果的に16分音符で弾いているような複雑なサウンドに聴かせることができます。
このようなディレイを上手く取り入れた名演をいくつか紹介していきます。
①『Walking on the Moon』Police(ギター:アンディ・サマーズ)
70年代の終わり、スティングが在籍した3人組ロックバンドPoliceがリリースしたヒット曲。
この曲のギターは4小節の中で1箇所(1小節目2拍目)だけ和音を弾くというシンプルな演奏ながら、そのサウンドは大変インパクトのあるものでした。
マイナー11thという当時のロックでは滅多に聴かれなかったお洒落なコードを一発鳴らすと、シャッフルのタイミングでディレイ音が返ってくるそのサウンドは、曲名の通りまるで地球上の物ではないような斬新なサウンドでした。
パンク~ハードロックが全盛だった当時のギターサウンドの中ではひときわ異彩を放っていたといえるでしょう。
余談ですが、ドラムのリムショットなど他の楽器にもディレイがかかっており、より幻想的な雰囲気を演出しています。
②『Where The Streets Have No Name』U2(ギター:ジ・エッジ)
キャッチーなサウンドが全盛の80年代後半、アイルランド出身の4人組バンド「U2」が演奏したこの骨太な楽曲は世界中で大ヒットしました。
特筆すべきは、テクニカルなロックギター全盛の時流に逆らうかのごとく、ひたすらカッティングだけに終始するギタースタイル。(ギターソロすらなし。)
時折織りまぜられるミュートプレイでの8分音符に付点8分音符のディレイが重なり、非常に疾走感のあるフレーズに仕上がっています。
この個性的なスタイルは、当時多くのギタリストに影響を与えました。
③『春夏秋冬』泉谷しげる&LOSER(ギター:下山淳)
フォークシンガーで俳優の泉谷しげる氏が70年代に発表したフォークの名曲を、80年代後半にセルフカバーしたバージョンです。
バックバンドのギタリスト下山淳氏は、前述の洋楽アーティストたちの影響を受けたと思しき付点8分のディレイを用いたプレイを披露。
8分音符のフレーズがディレイによって16分音符に聞こえるカラクリをうまく活用した名演となっています。
ディレイ音を想定したフレーズ選びが非常に音楽的でハイセンス。
とてもカッコいいフレーズに昇華されています。
④ ブライアン・メイ(クイーン)ディレイ奏法解説
テープエコー黎明期にいち早くそれを取り入れ、個性的なサウンドを聴かせた一人としてクイーンのギタリスト、ブライアンメイが挙げられます。
テープならではのロングディレイをフレーズに活かして、一台のギターでハーモニーを奏でるその奏法は当時大変独創的なものでした。
こちらの動画ではその奏法を本人が解説しています。
まとめ
というわけで、空間系エフェクターについてその特徴や活用法をご紹介しました。
特定の空間を演出することはもちろん、アレンジ面での活用も効果的なこれらのエフェクト。
代表的な用法をしっかりマスターしつつ、あなたなりの特徴的なサウンドを研究してみるのも面白いかと思います。
ぜひお役立ていただければ幸いです。
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