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キックの音作りに必要なエフェクト処理をマスターしよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、ドラムMixにおけるキックのエフェクト処理について解説していきます。

  • キックの音作りに必要なエフェクトの種類
  • 各エフェクトの役割
  • 実際の処理方法

キックは楽曲の土台を支える大事なパート。

スッキリとヌケがよく、かつ十分な太さを持つキックを作るためにはどのような処理が必要なのか?

その詳細を解説していきますので、ぜひご活用ください!

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』

 

キックの音作りに必要なエフェクト処理をマスターしよう!

キックの音作りに必要なエフェクト処理をマスターしよう!

キックの音作りに必要なエフェクト

キックの音作りでは、以下のエフェクトを使用します。

  1. エクスパンダー
  2. コンプレッサー
  3. イコライザー
  4. ベースエンハンサー
  5. リミッター

上記1〜5の順番で処理を行なっていきますが、サウンドが抱える問題や目指す方向性によっては順番が前後する場合もあります。

早速それぞれの役割を見ていきましょう!

■ 1. エクスパンダー

カブリ(ブリーディング)の除去に使用します。

生録音したドラムに使用するもので、打込み音源のようにカブリの量をあらかじめ調整できる場合は必須ではありません

また、あえてカブリを残すことでライブ感(その場で演奏しているような空気感)を残す音作りも可能です。

エクスパンダーの用法は以下の記事をご覧ください。

■ 2. コンプレッサー

ダイナミックレンジの調整、および打音と胴鳴りのバランスをコントロールする目的で使用します。

とくに、ダイナミックレンジの調整は重要。

キックは低音を支える土台となりますので音量のバラツキを抑えて安定感のあるキックを作ります。

コンプレッサーの用法は以下の記事をご覧ください。

■ 3. イコライザー

不要な中低域のダブつきをカット、およびアタック感を強調する目的で使用します。

キックには不必要な中域の膨らみや低音のダブつきをカットすることで聴きやすいサウンドに調整。

さらに、打音(ビーターがヘッドにあたる音)をブーストしてアタック感を強調していくのが常套手段ですね。

イコライザーの用法は以下の記事をご覧ください。

■ 4. ベースエンハンサー

こちらは必須ではありませんが、キックの重低音を補強しどっしりとしたサウンドを作るために使用します。

オリジナルの素材に含まれる低音成分は、輪郭がぼやけていたり不要な成分が含まれていたりと、必ずしも理想的なサウンドではない場合があります。

そんなときは、オリジナルの低音をカットし、代わりにベースエンハンサーで低音を作るのもひとつの手段となります。

■ 5. リミッター

強すぎるアタックや、時折発生する突発的なピークを抑え込むために使用します。

マスタートラックにインサートするリミッターとは違いマキシマイズは行いません。

あくまでピークのリダクションだけが目的です。

実際のセッティング

ここからは実際のセッティングをみていきましょう。

今回は、エクスパンダーコンプレッサーイコライザーチャンネルストリップでまとめて設定していますので、そちらの例をご紹介します。

■ エクスパンダーのセッティング

最も小さいキックの音を基準に、スレッショルドを「-24.5dB」に設定。

キック本体にはエクスパンダーがかからず、カブリのみリダクションされるよう調整しています。

リダクションのレンジは「-21.4dB」、リリースは緩やかに「0.24sec」に設定しています。

元のサウンド

エクスパンダー適用後

■ コンプレッサーのセッティング

レシオは「2:1」と浅めに設定し、スレッショルドはガッツリ深くに設定することでダイナミックレンジを狭めています。

レシオ浅め、スレッショルド深めのセッティングは、小さな音を持ち上げるのにぴったり。

音色に大きな影響を与えずにダイナミックレンジだけを適度に狭めてくれます。

リリースは、キックを連打した際後続の音にコンプの影響が出ないよう「0.16sec」で短めに設定しました。

コンプレッサー適用前

コンプレッサー適用後

■ イコライザーのセッティング

1kHz付近の不要なピークと100Hz付近の低域の膨らみを抑えて音をスッキリと。

また、4kHz付近をブーストすることで、ビーターの音(=打音)もしっかり強調しています。

同時に、低音はベースエンハンサーを使って増強する予定なので、80Hz付近で緩めのローカットを入れています。

EQ適用前

EQ適用後

■ ダイナミックEQのセッティング

チャンネルストリップEQだけでは処理しきれない細かい問題はダイナミックEQで解決していきます。

まず、400Hz付近と720Hz付近にある中域のピークをガッツリカット。

キックにとっては不要かつ他のパートとバッティングしがちな帯域ですので思い切ってカットしています。

また、70Hzと180Hz付近にモヤモヤした中低域の膨らみが時折現れていましたので、こちらはピンポイントでコンプレッションしました。

加えて、4kHzのアタックをもう少しだけ強調。

さらに、10kHz以上のハイエンド成分はカブリ要素しか入っていませんのでカットしてしまいました。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

■ ベースエンハンサーのセッティング

迫力のある低音を作りつつもローエンドがボケてしまわないよう、Brainworxの「bx_subsynth」を使って低音を補強しています。

詳細な設定が可能な分扱いが難しいプラグインなので、慣れない方は、Wavesの「Renaissance Bass」など、シンプルなベースエンハンサーを使うと良いでしょう。

チャンネルストリップでカットした80Hz以下の低音成分を補強しています。

細かいセッティングは画像をご覧ください。

ベースエンハンサー適用前

ベースエンハンサー適用後

■ リミッター

最後に、リミッターでピークを抑えて完成です。

突発的なピークのみがリダクションされるよう、スレッショルドを調整していきます。

アウトシーリングとスレッショルドの値を同じに設定することで、音量を変えずに(マキシマイズされることなく)リミッティングを行うことができるので覚えておきましょう。

リミッター適用前

リミッター適用後

 

まとめ

というわけで、キックの音作りに必要なエフェクト処理について詳しく解説しました。

キックの音作りは、ドラムのミキシングの中でもとりわけ難しいものです。

その分、キックの処理が上達すると楽曲全体の聴き映えも大幅にアップしますので、上手に処理できるようになるまで繰り返し訓練していきましょう!

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