ミキシングで使用するリバーブ&ディレイの基本テクニック
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ミキシングにおけるリバーブとディレイの基本的な用法を解説していきます。
「空間系」と呼ばれるこれらのエフェクトは、音の響き、広がり、奥行きなど、音像をコントロールする上で欠かすことのできないエフェクト。
上手に使いこなすことで、リッチな響きをプラスしたり、全体のまとまりをよくしたりとポジティブな効果が得られます。
通常の用法はもちろん、少しテクニカルな使い方まで解説していきますのでぜひお役立てください!
ミキシングで使用するリバーブ&ディレイの基本テクニック
リバーブ&ディレイの基本
冒頭でもお伝えしたとおり、リバーブやディレイは「空間系」と呼ばれるカテゴリに属するエフェクトです。
左右の広がりや奥行きなど、サウンドに空間の要素を付加するエフェクトで、作編曲においてもMixにおいても欠かすことのできないエフェクト。
その用法は、音に残響を付加したり、距離感を調整したり、ステレオ感を出したり、他のトラックとなじませたりと多岐にわたります。
リバーブ
サウンドに残響を付加するエフェクトです。
ルームリバーブやホールリバーブなど特定の空間を再現するものや、プレートリバーブなどのように機械的な仕組みで残響を発生させるものもあります。
現代では、「サンプリングリバーブ(コンボリューションリバーブ)」と呼ばれる、実在するホールやガレージなどの残響をサンプリングし、忠実に再現するリバーブも多数リリースされていますね。
いずれも、トラックの目的に応じて種類やかけ具合を調整しながら、自然で美しい残響をプラスしていくのが主な用途となりますが、そのほかにも様々な用途があります。
詳しくは後述しますね!
元のサウンド
リバーブ適用後
ディレイ
サウンドを遅延させることで、やまびこのような効果を付加するエフェクト。
その仕組みの根幹は音を「遅延」させることですので、いわゆる「やまびこ」のような効果はもちろんのこと、音にステレオ感を出したり、リバーブのように余韻を作ったりと、その使い道は多岐にわたります。
こちらも詳しくは後述します。
元のサウンド
ディレイ適用後
リバーブの用法
Mixにおけるリバーブの具体的な用法は以下の3種類です。
- サウンドに自然な残響を付加する
- 音の距離感をコントロールする
- エフェクティブな長い余韻を作る
サウンドに自然な残響を付加する
リバーブの最も基本的な使い方です。
任意のトラックに、リッチな響きをプラスすることができます。
この場合、リバーブ専用のAUXトラックを作った上で各トラックからセンドで送るのが一般的です。
センドを用いることで複数のトラックに同じ種類のリバーブを簡単に適用することができます。
これにより、全体をなじませる効果もあります。
元のサウンド
リバーブ適用後
音の距離感をコントロールする
リバーブは音の距離感もコントロールすることができます。
音というのは、音源の距離が近いほどリバーブ成分が弱まり、遠い音ほど強まる性質を持っています。
遠くから聞こえてくる音をイメージしていただくとわかりやすいですね。
リバーブを深くかけることで、奥まった位置から聞こえてくるよう距離感を調整することができます。
特定のパートのみ距離感を調整したい場合はインサートでリバーブを適用してしまうのも良いでしょう。
元のサウンド
リバーブ通常
リバーブ深め
エフェクティブな長い余韻を作る
リバーブを積極的に音作りに活用することもできます。
リバーブタイムが長い(余韻の長い)リバーブを使用して、よりエフェクティブなサウンドを実現していきます。
現実世界における自然な響きとは異なる、攻めた音作りが可能です。
こちらも、特定のパートのみに適用することが多いと思いますので、インサートで処理していきます。
元のサウンド
リバーブ適用後
ディレイの用法
次にディレイについてみていきましょう。
Mixにおけるディレイの具体的な用法は以下の3種類です。
- やまびこ効果を得る
- ステレオ感を出す
- リバーブのような余韻を作る
やまびこ効果を得る
こちらはディレイの最も基本的な使用法です。
ディレイによって遅延したサウンドを原音と混ぜ合わせることで、やまびこのようなエコー効果を得ることができます。
元のサウンド
ディレイ適用後
通常のディレイでは原音とディレイ音が同じ位置から再生されますが、ディレイ音が左右から交互に再生される「ピンポンディレイ」という手法もあります。
ピンポンディレイ
ステレオ感を出す
ディレイを使って、音源にステレオ感をプラスすることもできます。
ステレオディレオを使用し、左右のうち片方は原音をそのまま、もう片方はほんの少しだけ遅延させることで、1つの音が左右に広がって聞こえるようになります。
ごくわずかな時間差で左右の発音タイミングを変えることで、ステレオ感のあるサウンドを作ることができます。
元のサウンド
ディレイでステレオ感を出したもの
ちなみに、このテクニックを利用する際に気をつけたいのが「ハース効果」と呼ばれる現象。
人間の耳(or脳)は、単一の音が瞬間的に連続して聞こえた場合、先に聞こえた方を強く感じるようにできています。
例えば、右側は原音ママ、左側は20ミリ秒遅れて聞こえた場合、仮にそれぞれの音量が全く同じで合ったとしても右側の方が強く聞こえてしまうということなんです。
これを避けるために、ディレイを使ってステレオ音像を作る場合には、原音の音量を若干下げておくと良いでしょう。
これにより、左右の偏りがなくなり均一に聞こえます。
音量調整後
リバーブのような余韻を作る
ディレイタイムの短いディレイ(ショートディレイ)を利用して、リバーブのような残響を作ることもできます。
本来残響を作るだけならリバーブの方が向いているのですが、リバーブにはかければかけるほど音が遠くなってしまうというジレンマがあります。
このような効果は、ヴォーカルなど前面に出したいトラックでは不利です。
そこで登場するのが、ディレイを使った残響作り。
残響成分の一部をディレイにゆだねつつリバーブはうっすらとかけることで、奥まることなく音が響いてくれるという寸法です。
リバーブのみで残響を付加
ディレイのみで残響を付加
ディレイ+うっすらリバーブ
まとめ
というわけで、リバーブ&ディレイの基本テクニックについて解説しました。
今日ご紹介した手法も、あらゆるジャンルのMixを行う上で役立つ基本テクニックとなります。
とくに、各トラックの音像を上手にコントロールする上で空間系エフェクトの習得は欠かせません。
今日の記事を参考にリバーブやディレイの基本をしっかりマスターしてください!
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