オーケストラのモックアップ実践⑥:金管楽器の打込みテクニック・ショートノート編
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、金管楽器のショートノート系フレーズの打込みについて解説していきます。
- ショートノート系フレーズのモックアップ5ステップ
- モックアップ5ステップのポイント
金管らしい歯切れのあるフレーズを表現するには、今回ご紹介するショートノート系フレーズのモックアップテクニックが不可欠。
前回ご紹介したロングノート系フレーズのモックアップテクニックと合わせてご活用いただくことで、幅広い表現が可能となります。
ぜひご活用いただければ幸いです!
オーケストラのモックアップ実践⑥:金管楽器の打込みテクニック・ショートノート編
ショートノート系フレーズのモックアップ5ステップ
ロングノート同様、ショートノート系フレーズにおいても打込みステップ自体は木管と変わりません。
以下のように取り組んでいきましょう。
- フレーズをベタ打ちする
- 必要に応じてショートノート専用音色に置き換える
- 発音タイミングをバラつかせる
- ベロシティで音量とアタック感を調整
- 必要に応じてエクスプレッションを調整
まずは恒例のベタ打ち音源からお聞きください。
そして5ステップを踏んだ完成音源がこちら。
金管らしい切れ味を感じられる仕上がりになっているのではないでしょうか。
それでは、それぞれのステップを詳細に解説していきます。
ステップ1:フレーズをベタ打ちする
もはや説明不要とは思いますが、モックアップの第一歩としてフレーズを一通りベタ打ちしてしまいましょう。
ステップ2:必要に応じてショートノート専用音色に置き換える
次に、必要に応じてショートノート専用音色に置き換えていきましょう。
金管のフレーズには歯切れの良さを求められる機会が多く、スタッカートなどの各種奏法をサンプリングした専用音色で打込んだほうが自然な仕上がりになります。
とくに金管では「f(フォルテ)」以上の音量でショートノートのサウンドを求められる機会も多く、その使用頻度の高さから木管以上に重要な作業といっても過言ではありません。
例によって、ロングノート系音色を短く切って打込んだものと、スタッカート専用音色を使って打込んだものをご用意しましたので聴き比べてみましょう。
より自然なスタッカートが再現できていることがお分かりいただけると思います。
ロングノート系音色を短く切って打込んだ例
スタッカート専用音色を使って打込んだ例
ステップ3:発音タイミングをバラつかせる
次に、発音タイミングにバラつきを出していきましょう。
これまでご説明してきた通り、ヒューマナイズ機能などを用いて発音タイミングをランダマイズしていきます。
毎度おなじみの手順ではありますが、このような細かい作業を丁寧に詰めていくことがクオリティの高いサウンドへの1番の近道です。
生演奏で起きている現象を1つ1つMIDIデータへ落とし込んでいく。
その結果としてリアルなモックアップが実現できるわけですね。
ステップ4:ベロシティで音量とアタック感を調整
金管はダイナミックレンジが広く、それに伴う音色の変化も大きいセクション。
音の強さによってサウンドの質感が大幅に変わるので、その点を踏まえてしっかりとベロシティを吟味していきましょう。
とくに、ショートノート系フレーズの強弱表現はその多くがベロシティに委ねられます。
鋭いアタック表現したいのか?それとも軽くつつくようなソフトなサウンドが欲しいのか?
ベロシティの加減によってフレーズの印象もまるで変わってきますので、1つ1つ丁寧に調整しながらイメージを具現化していきましょう。
ステップ5:必要に応じてエクスプレッションを調整
アクセントやマルカートなど適度な長さが必要なショートノートの場合は、木管同様「ロングノート系音色+エクスプレッション」で表現していきましょう。
この時、木管よりも大げさにエクスプレッションを書いた方が金管らしいサウンドに仕上がります。
ダイナミックレンジが広い分、アクセントやマルカートによる音量の変化も大きくなるからです。
例によって、歌いながらニュアンスを確かめ、イメージ通りのニュアンスになる下げ幅を見つけていくのが良いでしょう。
エクスプレッション処理前
エクスプレッション処理後
エクスプレッションを書くことで音の長さが変わって聞こえる場合は、デュレーションの見直しも含めて微調整して完成となります。
まとめ
というわけで、金管楽器のショートノート系フレーズの打込みテクニックについて解説しました。
ショートノート系フレーズのモックアップをマスターすることができれば、金管セクションで使えるフレーズの幅が驚くほど広がります。
木管楽器のショートノート系モックアップと合わせてご活用いただくことでより深く理解できると思いますので、ぜひ双方をしっかりマスターしてリアルなサウンドを実現してください!
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