これぞストリングスの真骨頂!ポリフォニー型アレンジ解説①:外声編
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ストリングスアレンジの基本となる5つの型のうち、「ポリフォニー型」について、詳細なアレンジ方法を解説していきます。
- ポリフォニー型の特徴
- ポリフォニー型アレンジのポイント
- 実際のアレンジ手順
- ベースの効果的な動かし方
について詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。
ポリフォニー型はこんなアレンジです。
【ストリングスアレンジの基本となる5つの型についての解説はコチラ】
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ストリングスアレンジの基本形3:ポリフォニー型の特徴
ポリフォニー型の基本
ポリフォニー型は、1stからCelloまでの4声部が、それぞれ独立した旋律を演奏するパターンでした。
いわゆる「対位法」をベースとした型で、バロック時代に確立された多声音楽がベースとなっています。(バッハ先生があまりにも有名ですね。)
楽譜でみると以下のような形になります。
ポリフォニー型アレンジのポイント
ポリフォニー型アレンジは、ホモフォニー型同様にストリングス単体で
・メロディ
・コード
・ベースライン
・リズム
すべての要素を演奏することが可能ですから、当然、ストリングスだけで十分アレンジを成立させることもできます。
ホモフォニー型との違いとしては、全パートがメロディ要素を含むという点から、比較的ゆったりした楽曲に適したアレンジ形態であるため、ホモフォニー型に比べてリズム要素は弱めになる傾向があります。
それゆえ、歌モノなんかではバラードでよく多用されるアレンジですね!
ストリングスだけで演奏されるポリフォニー型の例:『G線上のアリア』
このようにストリングス単体でも成立するポリフォニー型ですが、バラード曲でも聞かれるように、ピアノなどのコード楽器との相性も非常に良いです。
ストリングスとピアノだけで聞かせるアレンジは切なくて上品でぼくも大好きなサウンドです
【ホモフォニー型アレンジの楽器組み合わせ例】
- メロディ → 1st Violin
- コード → ストリングス下三声※、ピアノやギターとの相性も良し
- ベース → Cello、Contrabass、その他補強程度
- リズム → ストリングス下三声の動きから感じるリズム感、ドラム・パーカッションなど
※実際には、ストリングスはコードを形成しながらそれぞれがオブリガートの役目も果たす
実際のサウンドは以下のような感じになります。
ストリングスのみ
ピアノ追加(コードの補強)
シンセ追加(にぎやかし程度)
パーカッション追加(リズム楽器)
ストリングスアレンジの基本形2:ポリフォニー型のアレンジ手順①「外声編」
さて、ここからはポリフォニー型アレンジの手順をご説明していきましょう!
ポリフォニー型アレンジは少々手順が煩雑なため記事を2回に分けて解説していきますが、先に完成形をお聞きいただいた方がイメージがわきやすいと思いますので、今日明日で作っていくポリフォニー型アレンジの最終形態をお聞かせします。
【完成形はこんなかんじ】
今日はこのうち、「外声」、すなわち主旋律を担当する1st Violinと、ベースを担当するCelloの2本の絡みについてしっかりと解説していきますね。
手順は以下の通りです。
- メロディを1st Violinで打ち込む
- ベース(各コードのルート)をCelloで打ち込む
- 必要に応じてベースに動きをつける
いつも以上にシンプルに見えますが、3の動きをつける部分は後ほどより詳しく解説していきます。
1. メロディを1st Violinで打ち込む
まずはホモフォニー同様メロディを1st Violinに打ち込んでいきましょう。
先ほどお話したとおり、ポリフォニー型は歌やソロ楽器の裏でもよく使われるアレンジなので、ストリングス以外に主旋律をとるパートがある場合は、1st Violinは必然的にオブリガートを演奏することになります。
メロディの音域はそこまで気にする必要はありませんが、あまりにも高すぎるとストリングス全体が腰高になって和音の充足感が薄れるので、現実的にはG5くらいを目処に考えるといいでしょう。
※G5を超える高い音を使う場合はDivisiを用いた方が良いのですが、そちらについては後日別記事でお届けしようと思っています。
2. ベース(各コードのルート)をCelloで打ち込む
次に、Celloパートにベースを打ち込んでいきます。
ホモフォニー型同様、基本は各コードのルートの音(オンコードの場合は分母の音)を演奏すればオッケーです。
ポリフォニー型の場合、ベースはまず白玉で打ち込んでしまって全く問題ありません。
動きが必要な場合は次の手順で説明しますので、ここはただただ機械的に、ベース音を白玉で入力しましょう
3. 必要に応じてベースに動きをつける
必要な場合は、ベースに動きをつけていきましょう。
ベースに動きをつけることで、チェロパートが単なるベースからより旋律的なパートへと進化していきます。
ベースに動きが出ると、ストリングス全体に躍動感も生まれてきますので、そのようなアレンジにしたい場合はベースを積極的に動かすとよいと思います。
ここでは、ベースの動かし方のお作法についてご紹介していきます。
ベースの動かし方①:初級編
メロディの間の手をとる
ベースの動きは、メロディ(ソプラノ)の間の手を取るように動かすと、互いに干渉し合うことなく美しい関係を保てます。
基本は順次進行
ベースは基本的にルートを演奏することになりますが、それだけでは旋律的とは言えません。
<より旋律的なベースに仕上げて行くために、各コードのルート(ベース音)同士をスケールに沿って順次進行で滑らかにつなげてみましょう。
ベースを動かす際の基本的なルール:中級編
各小節の4拍目なら動かしてOK
仮にメロディのフレーズが途中であったとしても、各小節の4拍目(最終拍)ならば動かしても邪魔にならないことが多いです。
4拍目に動きを入れることで次の小節へ向かう進行力も増すので、積極的に動きを出していきましょう!(ここでも順次進行が基本)
アプローチノートを活用する
アプローチノートとは、各コードのコードトーンに対して半音や全音上(または下)からアプローチする音のこと。
とくにベース音が長2度(全音)下行する場合のダブルクロマチックアプローチが相性抜群。一気にオシャレな印象になります。
アプローチノートは以前ご紹介した非和声音と非常に似てますが、あくまでスケール上のノートだけを使用する非和声音に対して、アプローチノートはスケール上に限らずあらゆるノートからのアプローチが可能な点が特徴です。詳しくは楽譜作成.comさんの記事で解説してくれてます!
ベースを動かす際の基本的なルール:上級編
各コードの5度の音を活用する
比較的地味な運動の前に各コードの5度の音程を挟んであげることによって、より躍動感のあるラインに仕上げることができます。
順次進行の前に5度を1つ挟んでやるだけでも、かなり生き生きとしたラインになるのでオススメ!
5度からのダブルクロマチックアプローチも有効
各コードの5度の音が、次のコードのルートに対して長2度上の音程関係にあるならば、そこからダブルクロマチックアプローチにつなげるのもアリ。
さらにオシャレなベースラインになること間違い無し!
【ルートのみの場合】
【合間に5度を併用】
【5度からのダブルクロマチックアプローチ】
5度の挿入で禁則が生まれた場合の対処法
ベースに5度の音を挟むことによって、メロディとの間に禁則が起こりやすくなります
その場合は、逆方向からのアプローチノートを用いることでメロディと反行関係を作れば禁則を回避することができます。
適度な跳躍を盛り込む
ベースラインの基本はルート(ベース音)の演奏ですが、ときどき適度な跳躍を組み込むとドラマチックなラインを作れます。
魅力的なベースラインの形成には書かせないテクニックです!
ベースの動きと楽曲の躍動感の関係
ここまで、ポリフォニー型におけるベースラインの作り方について詳しくまとめてきましたが、先ほどもお伝えしたとおり、ベースは必ずしも無理に動かす必要はありません。
ベースに動きが出ると、それだけ楽興に躍動感が生まれ全体の進行力が増しますが、しっとりと聴かせたい場合はベースが動きすぎるのは逆効果。
楽曲の雰囲気にマッチした、適度な動きを選びましょう!
まとめ
というわけで、ポリフォニー型アレンジのうち、外声のアレンジ方法について詳細な解説をお届けしました。
ベースひとつとっても、簡単な動きでずいぶんとメロディらしさが出ることがおわかりいただけたと思います。
じつは、今日ご紹介したベースの動かし方はポップスにおけるエレキベースの動かし方にもそっくりそのまま応用できますのでぜひご活用ください!
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