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ギターのミキシング①:アコギバッキングのミキシングをマスターしよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、アコースティックギターによるバッキングのMixについて解説していきます。

  • アコギの音作りに使用するエフェクト
  • 各エフェクトのセッティング
  • アコギのパンニング
  • アコギの音量バランス

今回はスチールギターのカッティングを題材に、Mix時に起こりがちな様々な問題への対処法をご紹介していきます。

アルペジオなど他の奏法でも同じ考え方でMixできますので、しっかりマスターしていきましょう!

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』

 

ギターのミキシング①:アコギバッキングのミキシングをマスターしよう!

ギターのミキシング①:アコギバッキングのミキシングをマスターしよう!

アコギの音作りに必要なエフェクト

まずは、アコギの音作りに使うエフェクトをご紹介します。

  1. コンプレッサー
  2. イコライザー
  3. リミッター
  4. リバーブ

それぞれの役割は以下の通りです。

1. コンプレッサー

ダイナミックレンジの調整、アタック感のコントロールに使用します。

また、コンプをかけることで音の密度を上げ、太く体格の良い音に仕上げる目的でも使用しました。

2. イコライザー

周波数バランスの調整に使用します。

中域の不要な膨らみを抑えるほか、ピッキングノイズやフレットノイズなどの金属音を軽減させるためにも使用していきます。

3. リミッター

突発的なピークの抑制に使用します。

4. リバーブ

ルームリバーブとプレートリバーブの2種類を使用します。

前者は他の楽器との一体感のため、後者は残響をプラスする目的で使います。

実際のセッティング

各エフェクトのセッティングを見ていきましょう!

まずは、チャンネルストリップを使ってコンプレッサーとEQを設定していきます。

コンプレッサーのセッティング

強すぎるアタックを抑えつつ、ボディの鳴りを持ち上げることで音の太さ(密度)をあげていきます。

今回は、レシオ「5:1」、スレッショルドは「-14.5dB」としっかりめにかけて、輪郭はそのままに音の太さをプラスしています。

後続のストロークにコンプの影響が出ないようリリースタイムは「0.2sec」と早めに設定しました。

コンプレッサー適用前

コンプレッサー適用後

イコライザーのセッティング

今回のアコギは、Rec時のマイキング調整不足でピッキングノイズをはじめとした金属的なノイズが必要以上に入り込んでしまいました。

したがって、EQやダイナミックEQを使ってそれらを補正していきます。

※ 本来は録音の段階でベストな状態に持っていくのが理想ですがあえなく・・・!

まずは「4.0kHz」付近のキンキンした金属音をにカット、さらに「9.4kHz」以上をシェルフでカットして耳につく高音を抑えています。

逆に、もう少しボディの鳴りが欲しかったので「282.4Hz」以下をシェルフでブースト。

さらに「1.4kHz」付近をブーストしてグッと前にせり出してくるサウンドに調整しました。

ローカットは「109Hz」で入れて、ベースとのバッティングを避けています。

EQ適用前

EQ適用後

ダイナミックEQのセッティング

ダイナミックEQでは、チャンネルストリップだけでは調整が難しい細かい周波数の問題を解決していきます。

まず、「197Hz」付近と「355Hz」付近にときおり現れる中低域の膨らみをリダクション。

さらに、「3866Hz」「4029Hz」「4458Hz」にはピッキングによる耳につくピークが発生していましたのでピンポイントでリダクションしています。

また、「3084Hz」以上をシェルフでリダクションして、強すぎる高域成分を抑えこみました。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

リミッターのセッティング

コンプ、EQでの調整が完了したらリミッターで突発的なピークを抑えこみます。

リミッター適用前

リミッター適用後

アコギのリバーブセッティング

アコギではルームリバーブとプレートリバーブを使用します。

  • ルームリバーブ = 自然な部屋鳴りをプラスしてその他の楽器と馴染ませる
  • プレートリバーブ = 豊かな残響をプラス

プレートリバーブには「プリディレイ」の概念がありませんので、ドラムやアコギのカッティングをはじめとしたリズム要素の強いパートでもグルーヴがボケず重宝します。

まずはルームリバーブへ送って他の楽器との一体感を出しましょう。

次にプレートリバーブへ送って、リッチな響きを追加していきます。

ドライな音

ルームリバーブ追加

プレートリバーブ追加

アコギのパンニング

同じくコードパートを担当するピアノとぶつからないよう、アコギはピアノのちょうど反対側に定位させると良いでしょう。

ポイントとしては、左右の重心が均等に聞こえるようバランスよく配置することです。

※2本のギターがいる場合は、ピアノをセンターに、ギターを左右に振り分けるのもアリです。

今回はピアノと対極に来るよう、左に「40」ほど振ってみました。

パンニング前

パンニング後

パンニングの基本的なテクニックについては、以下の記事をご覧ください。

アコギの音量バランス

最後に、その他のパートとのバランスをとっていきましょう。

ギターは、ピアノ同様「コード系」に該当します。

すでにピアノのバランスが取れていますので、ちょうどピアノと同じくらいの距離感で聞こえるように調整していきましょう。

アコギの音量:中(自然なバランス)

アコギの音量:弱(小さすぎ)

アコギの音量:強(大きすぎ)

 

まとめ

というわけで、アコギバッキングのMixについて詳しく解説してきました。

エレキギターよりも倍音が多く、その分高域の問題が発生しやすいアコギ。

問題を正しく把握して適切な処理を行うことが何よりも重要になります。

今日ご紹介したテクニックを参考に、繰り返し練習しながらしっかりとマスターしていきましょう!

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