ストリングスのミキシング①:オフマイクのミキシングをマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ストリングスのMix、中でもオフマイクのミキシングについて解説していきます。
- ストリングスを構成するトラックの内訳
- ストリングスのMixに使用するエフェクト
- オフマイクのエフェクトセッティング
ドラム同様、ストリングスも複数のマイクで収録されます。
中でもオフマイクは、ストリングスサウンド全体の根幹を担う重要なトラック。
今日の記事を参考にそのミキシング方法をしっかりとマスターしていきましょう!
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
ストリングスのミキシング①:オフマイクのミキシングをマスターしよう!
ストリングスを構成するトラックの内訳
まずは、ストリングスを構成するトラックについてみていきましょう。
レコーディングしたストリングスは、以下のトラックで構成されています。
【オンマイク(モノラル)】
- 1st Violin
- 2nd Violin
- Viola
- Cello
- Double Bass※
【オフマイク(ステレオ)】
- アンビエンス
※バンドものではDouble Bassの代わりにウッドベースやエレキベースが最低音域を担当します。
オンマイク
オンマイクは、各パートごとに1本(編成によっては2本以上)ずつ立てられたモノラルのマイクです。
各パートのサウンドがくっきりと収録されており、サウンドの輪郭や定位感を作るのに役立ちます。
1st Violinのオンマイク
2nd Violinのオンマイク
Violaのオンマイク
Celloのオンマイク
オフマイク(Amb)
一方オフマイクは、ストリングス全体ステレオで収録したマイクです。
広がりのあるリッチなサウンドで収録されており、ストリングスサウンド全体の根幹を成すトラックとなります。
ストリングスのミックスでは、まずはオフマイクで全体の音質・音像を決めてから、そちらに合わせてオンマイクを追加していくのが良いでしょう。
今回は2種類のオフマイクが用意されており、Amb1をストリングスのメインとして、Amb2を一般的なアンビエンスとして空間を表現するために使用していきます。
Amb1
Amb2
ストリングスの音作りに必要なエフェクト
例によって、ストリングスの音作りに使うエフェクトをご紹介します。
それぞれの役割は以下の通りです。
1. コンプレッサー
主にダイナミックレンジの調整に使用します。
全体的な音量差を抑え聴きやすいサウンドに調整するほか、バスコンプではストリングス全体の一体感を出すためにも使用します。
2. イコライザー
周波数バランスの調整に使用します。
中低域の不要な膨らみを抑えるほか、耳につく高域のピークをカットする目的でも使用していきます。
3. リミッター
突発的なピークの抑制に使用します。
4. リバーブ
ルームリバーブとホールリバーブの2種類を使用します。
他の楽器同様、前者は他の楽器との一体感のため、後者は残響をプラスする目的で使います。
実際のセッティング
各エフェクトのセッティングを見ていきましょう!
ストリングスでは、以下の順番で各トラックのエフェクト処理を行っていきます。
チャンネルストリップ(コンプレッサーとイコライザー)→ ダイナミックEQ → 追加のコンプレッサー
それぞれ詳しく解説していきます。
チャンネルストリップのセッティング
Amb1、Amb2ともに、コンプレッサーでダイナミックレンジを抑え、EQで周波数バランスの調整を行うという流れになります。
Amb1のセッティング
Amb1は、ストリングスサウンドの根幹として使用していきますので、コンプをかけすぎて輪郭がなくなってしまわないよう留意しながらダイナミクスを調整していきます。
(後ほどコンプを重ねがけしますので、この段階では軽めにかける程度でOKです。)
今回は、レシオ「4:1」、スレッショルド「-20dB」、リリースタイム「0.4sec」で設定。
音量が強い部分を軽めに抑る程度、コンプがかかりすぎないよう調整しています。
EQに関しては、「843」Hzにあるふくらみを軽く除去、さらに「9.0kHz」以上をシェルフでブーストして倍音の伸びをプラスしていきます。
また、低域から高域までをまんべんなく使用する目的で、ローカットは「80Hz」と控えめに設定しています。
チャンネルストリップ適用前
チャンネルストリップ適用後
Amb2のセッティング
前述の通り、Amb2は純粋なアンビエンスとして使用していきます。
ストリングスサウンド全体に空気感をプラスする役割ですね。
コンプは、レシオ「5:1」、スレッショルド「-20dB」、リリースタイム「0.4sec」という形で、Amb1よりはしっかり目にコンプがかかるよう設定しました。
EQは、「832」Hzにあるふくらみと、「3.8KHz」にあるキンキンしたピークを除去。
さらに「178Hz」でしっかり目にローカットを入れて、Amb1と重なった時に低音がダブつかないよう調整しています。
チャンネルストリップ適用前
チャンネルストリップ適用後
ダイナミックEQのセッティング
ダイナミックEQでは、チャンネルストリップだけでは調整が難しい細かい周波数の問題を解決していきます。
Amb1のセッティング
Amb1では、まず「171Hz」付近と「593Hz」付近に現れる中低域の膨らみをリダクション。
さらに、「2197Hz」「3773Hz」「4588Hz」に、キンキンした高音のピークが発生していましたのでピンポイントでリダクションしています。
ダイナミックEQ適用前
ダイナミックEQ適用後
Amb2のセッティング
Amb2では、まず「190Hz」以下を緩めのローカットで除去。
さらに、「171Hz」「419Hz」「628Hz」「2150Hz」「3773Hz」「4723Hz」の各所に発生しているピークをでリダクションしていきます。
ダイナミックEQ適用前
ダイナミックEQ適用後
追加のコンプレッサーのセッティング
ダイナミックレンジは狭めたいけど、サウンドに大きな変化を与えたくない。
そんなときは、コンプレッサーを2度がけするのが良いでしょう。
1つのコンプでガッツリとリダクションするよりもより自然な仕上がりになります。
Amb1のセッティング
こちらは、レシオ「2:1」、スレッショルドは「-18dB」で、音量の大きなところが軽めにリダクションされるように設定しています。
ストリングス全体のコアとなるメインのトラックですので、アタックも「16.0msec」と遅めに設定して、輪郭が失われないように設定しました。
コンプレッサー適用前
コンプレッサー適用後
Amb2のセッティング
Amb2に関しては、しっかりとコンプをかけてダイナミックレンジを抑えていきます。
レシオは「2:1」とAmb1と同じですが、スレッショルドは「-21dB」と若干深めに。
さらに、アタックタイムは「0.5msec」にして輪郭よりもサウンドの安定感を重視したセッティングにしました。
コンプレッサー適用前
コンプレッサー適用後
まとめ
というわけで、ストリングスのオフマイクについてミキシングテクニックをお伝えしました。
次回は、今回作ったオフマイクに輪郭や定位をプラスするためのオンマイクのミキシングについてお伝えしていきます。
ぜひそちらもお楽しみに!
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