オーケストラのモックアップ実践⑦:金管楽器の打込みテクニック・応用編
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
3回に渡ってお届けした金管楽器のモックアップ実践テクニックもいよいよ最後。
今回は金管楽器のユニゾン音源の使い方について解説していきます。
- ユニゾン音源の使い所
- ユニゾン音源を使った打ち込みのポイント
これまで解説してきた基礎的な内容をベースに、ユニゾン音源を加えたハイレベルな打ち込み方法をご紹介。
より充実した金管サウンドを打込むためのヒントをまとめました。
リアルに打込むのが難しいとされる金管楽器ですが、ここまでの記事を一通り実践していただくことで見違えるようにサウンドがブラッシュアップされるはずです。
ぜひご活用ください!
オーケストラのモックアップ実践⑦:金管楽器の打込みテクニック・応用編
ユニゾン音源の使い所
木管楽器の場合(とくに2管編成では)ユニゾン音源の使い所はないとお伝えしました。
では、金管はどうでしょうか?
じつは、金管のユニゾン音源使用機会はとても多いのです。
曲調によってはむしろユニゾン音源しか使わない場面も珍しくはありません。
とくにホルンは厚みのあるサウンドを出すために、ユニゾン音源が欠かせないものとなっています。
なお、2管編成では原則としてチューバは1本しか使わないためユニゾン音源は使用しません。
ユニゾン音源が活躍する場面
金管のユニゾン音源が活躍する最大の場面は、なんといっても壮大でパワフルなメロディ(オブリガート含む)を演奏するときでしょう。
とくにホルンやトロンボーンは奏者の人数も多く、同一楽器によるユニゾンでメロディを演奏する機会も多いパート。
このようなフレーズを演奏する際、ソロ音源を重ねてユニゾンさせるよりも、元からユニゾンでサンプリングされた音源を用いた方がそれらしいサウンドに仕上がります。
ユニゾン音源ならではの一体感のあるサウンドを得ることができるので、このようなシーンでは積極的に活用していきましょう!
ソロ音源を重ねてユニゾンを作った例
ユニゾン音源を使って作った例
なお、金管の場合、木管のユニゾン音源の解説でご紹介したような奏法・フレーズを収録した特殊な音源はあまり存在しません。
したがって、シンプルにフレーズの演奏用として用いる形で考えれば問題ないでしょう。
ユニゾン音源を使用する際の注意点
ユニゾン音源を用いる場合に気をつけたいポイントあります。
それは「アレンジに矛盾が出ないよう注意する」ということ。
ユニゾン音源は単体で複数人の奏者の音が収録されているので、それを考慮したアレンジ(パートの人数配分)を考える必要があります。
例えば、ユニゾン音源でメロディを演奏させている状態にも関わらず、同じ楽器のソロ音源で伴奏を打込むといったことは、各編成における奏者の人数に齟齬が出てしまうわけです。
このようなミスを避けるためには、ユニゾン音源でフレーズを演奏している時には、同じ楽器に別な役割を任せるようなアレンジはしないなどの工夫が必要です。
※なお、ユニゾン音源にさらにソロ音源をユニゾンさせるといった使い方ならば、アレンジが大きく破綻することはありませんのでOKです。これについては後述します。
ユニゾン音源を使った打ち込みのポイント
ここからは、ユニゾン音源を使った効果的な打込み方法について解説していきます。
以下の2つの用法が考えられますので順に解説していきます。
- ユニゾン音源をそのまま使う
- 別の音源とレイヤーして使う
ユニゾン音源をそのまま使う
ユニゾン音源を使ってユニゾンのフレーズを演奏するという極めてシンプルな方法です。
ユニゾン音源の持つ音の厚みを利用して、複数人で演奏しているようなパワフルな演奏を再現することが目的です。
この場合、打込み方法やその手順はソロ音源と同じように考えて差し支えありません。
前回、前々回とご紹介した各種テクニックを用いて打込んでいきましょう。
ただし、1点だけ気をつけてほしいことがあります。
それは、発音タイミングはバラつかせず、グリッドジャストで打込む方が無難であるということ。
ユニゾン音源には複数人の音が収録されている関係で、下手に発音タイミングをずらすと不自然になってしまいます。
複数の奏者が一様に同じズレ方をするというのは、現実的に考えておかしな話ですからね。
この点、気をつけておきましょう。
別の音源とレイヤーして使う
ユニゾン音源を単体で使うのではなく、別の音源とレイヤーして(重ねて)使う方法です。
重ね方には様々な可能性がありますが、とくに効果的な組み合わせとしてソロ音源とユニゾン音源のレイヤリングが考えられます。
ソロ音源とユニゾン音源には、それぞれ以下のような長所があります。
- ソロ音源:細やかな演奏表現、明瞭な音像
- ユニゾン音源:ゴージャスなサウンド、サウンドの一体感
ユニゾン音源は厚みのあるサウンドが魅力ですが、一方で演奏の小回りが効きにくかったり、音像がぼやけがちだったりとマイナスの面も持ち合わせています。
ソロ音源を用いてその短所を補うことで、よりリアルなサウンドを目指していくテクニックというわけですね。
両者を重ねる際の音量バランスとしては、ユニゾン音源をメインに据えつつ、ソロ音源は軽めにその存在感が感じられるくらいに混ぜるとよいでしょう。
ソロ音源の有無を比較できる音源を用意してみました。
ユニゾン音源のみ
ユニゾン音源+ソロ音源のレイヤー
ゴージャスさと細やかな演奏表現が同居した仕上がりになりましたね!
まとめ
というわけで、金管のモックアップテクニックについて3回にわけてお届けしてきました。
今回ご紹介したユニゾン音源の扱いをマスターすることができれば、よりゴージャスな金管サウンドを思い通り作ることができるようになります。
ソロ音源とユニゾン音源それぞれに利点がありますので、その特徴をよく理解して上手に使いこなせるよう試行錯誤していきましょう!
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