サブスティテュートドミナント、ディミニッシュセブンス、オーグメントのコードスケールを理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日でコードスケールの解説も最終回!
今回は、「サブスティテュートドミナント」「ディミニッシュセブンス」「オーグメントコード」のコードスケールについて解説していきます。
- サブスティテュートドミナントのコードスケール
- ディミニッシュセブンスのコードスケール
- オーグメントコードのコードスケール
今日ご紹介する3種類のコードは、いずれもテンションの取り扱いがやや変則的なものであるため、それにともなってコードスケールの選定にもコツがいります。
今日の記事を参考に、しっかり学んでいきましょう!
サブスティテュートドミナント、ディミニッシュセブンス、オーグメントのコードスケール
サブスティテュートドミナントのコードスケール
サブスティテュートドミナントのテンション解説でもお伝えしたとおり、サブスティテュートドミナントでは、そのサウンドの特性を最大限に発揮するために
9th,#11th,13th
の3つのテンションを使用することを推奨しました。
このことから、サブスティテュートドミナントにおけるコードスケールも、自ずと上記3つのテンションを含むものが好ましいでしょう。
したがって、「リディアンb7」がもっとも適したコードスケールとなります。
リディアンb7
ただし、マイナーキーにおけるSubV7/IIのように、ダイアトニックスケールに#11を含まない場合には、通常の「ミクソリディアンスケール」を用いるのも有効です。
ミクソリディアンスケール
ディミニッシュセブンスのコードスケール
ディミニッシュセブンスのコードスケールは、コードトーンとその長九度上のアヴェイラブルテンションのみで構成された、「シンメトリックディミニッシュトスケール」が有効です。
これは、「全音-半音-全音-半音-全音-半音-全音」というインターバルで並んだ8音音階で、ディミニッシュセブンスコードと非常に相性の良いスケールです。
シンメトリックディミニッシュトスケール
また、ドミナントセブンスのコードスケールの際に登場した「シンメトリックドミナントスケール」も使用することができます。
ただしこちらは、コードトーンとその短九度上のノートのみで構成された「半音-全音-半音-全音-半音-全音-半音」という構造のため、アヴォイドノートを多数含みます。
取り扱いには注意しましょう!
シンメトリックドミナントスケール
【参考】日本では、シンメトリックディミニッシュトスケールのことを「ディミニッシュトスケール」、シンメトリックドミナントスケールのことを「コンビネーションオブディミニッシュトスケール」(略してコンディミ)と呼称することも多いです。
ディミニッシュセブンスをV7(b9)/○のルート省略形と見立てた場合
ディミニッシュセブンスの取り扱いについて解説した際に、「パッシングディミニッシュ」という用法をご紹介したのを覚えていますか?
ディミニッシュセブンスは、長三度下のルートを持つセカンダリードミナント(V7(b9)/○)のルート省略形と一致するため、置き換えて使えるよ!というお話でしたね。
これを応用して、以下のようなプロセスでコードスケールを導くことができます。
例えば、上図の場合、Idim7(Cdim7)の転回形であるD#dim7は、V7(b9)/IIIのルート省略形とみなすことができます。
したがって、V7(b9)/IIIで使用することのできる「Bミクソリディアンb9,#9,b13」のスケールをモード化し、各ディミニッシュセブンスコードのルートからスタートさせれば、コードスケールとして使用することができます。
Bミクソリディアンb9,#9,b13スケール
D#から始まるBミクソリディアンb9,#9,b13派生モード
Cから始まるBミクソリディアンb9,#9,b13派生モード
同様に、Idim7(Cdim7)の転回形であるF#dim7についても、同様の手順でコードスケールを導き出すことができます。
F#dim7は、V7(b9)/Vのルート省略形であるため、V(b9)/Vのコードスケールである「ミクソリディアンb9,#9」をベースに、モード化したものを各種ディミニッシュスケール上で使用することができるというわけです。
Dミクソリディアンb9,#9
F#から始まるDミクソリディアンb9,#9派生モード
Cから始まるDミクソリディアンb9,#9派生モード
少々煩雑ではありますが、これにより多様なコードスケールを導入可能になりますので覚えておきましょう!
オーグメントコードのコードスケール
オーグメントコードのコードスケールはとってもシンプル!
コードトーンとその長九度上のテンションを足した「ホールトーンスケール」がコードスケールとなります。
簡単ですね!
まとめ
というわけで、サブスティテュートドミナント、ディミニッシュセブンス、オーグメントコードにおけるコードスケールの選定方法についてお伝えしました!
これまでにご紹介したどのコードスケールも、基本は「コードスケール」と「アヴェイラブルテンション」の関係性を深く理解することで、よりスムーズに使用できるようになるでしょう。
テンションの解説記事と合わせて、繰り返し学習しながら、ぜひご自身のものにしていってください!
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