EDMのMix実践編②:パンニングで定位を決めよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、EDMを題材に、パンニンングの実践テクニックについて解説していきます。
EDMのようなシンセ主体の楽曲では、バンド編成の楽曲とちがってステレオ音源の取り扱いがポイントとなります。
そこで今日は、以下の3点を中心にバランスよく広がりのあるサウンドを作っていくためのテクニックをお伝えします。
- パンニングの基本
- パンニングのポイント
- 実際の作業の流れ
EDMはもちろん様々なジャンルに応用可能ですので、ぜひご活用いただければ幸いです。
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
こちらの楽曲のパラデータをダウンロードできます。
EDMのMix実践編②:パンニングで定位を決めよう!
パンニングの基本
まずは、基本となるパンニングのテクニックについて解説していきます。
- モノラル音源のパンニング
- ステレオ音源のパンニング
モノラル音源のパンニング
モノラル音源は、左右のスピーカーの間にある空間のうちどこか一か所に配置することになります。
特定の場所にピンポイントで配置することができるので、音がどこから鳴っているのかが明瞭に聞き取れます。
制御はいたって簡単で、DAWミキサーについているパナーをいじればOKです。
ステレオ音源のパンニング
ステレオ音源をパンニングする際には、少し注意が必要です。
元々左右に広がった音像を持っていますから、モノラルのようにある一点から音を鳴らすことはできません。
常に左右の広がりを持ったままパンニングすることになります。
そんなステレオ音源を配置する場合には、
- ステレオ幅
- その傾き
の2種類をコントロールして配置します。
ProToolsのように左右のチャンネルをそれぞれ独立してコントロールできるパナーがあればベスト。
あるいは、ステレオイメージャーを使ってコントロールするのも直感的でわかりやすいのでオススメです。
WAVES「S1」を使用してステレオ幅や傾きをコントロールしている様子
パンニングのポイント
パンニングを行う場合は、以下の4点を意識しましょう。
- 大事なパートはセンターに
- そのほかのパートは全体に満遍なく配置
- 左右のバランスを考える
- 位置だけでなく広がりも考慮する
大事なパートはセンターに
キックやベースなどの楽曲の土台を支えるパートや、ヴォーカルをはじめとしたメインメロディは原則センターに配置しましょう。
そのほかのパートは全体に満遍なく配置
そのほかのパートはステレオ空間を上手に使いながら満遍なく配置するのがポイントです。
どこか一か所に音が固まってしまわないよう考慮しましょう。
左右のバランスを考える
パンニングする際には、左右いずれかに重心が偏らないよう配慮しましょう。
楽器を左に1つ配置したら、同様に右にも1つ配置するという具合に、常に左右のバランスが釣り合うようにするのがポイントです。
位置だけでなく広がりも考慮する
左右に振るだけがパンニングではありません。
ステレオの真価はその広がりにあります。
とくに、パッドをはじめとしたシンセ主体のコードパートは元から広がりのある音像を持つものが多いです。
そのようなパートは、ステレオ感を活かしながら空間を満遍なく埋め尽くすイメージで配置すると良いでしょう。
実際の作業の流れ
それでは、実際に音源を配置していきます。
パンニングの作業は、音量バランスを取る際にまとめてやってしまうのが良いでしょう。
なぜかというと、大事なパートほど先に着手することになり、必然的に「センター定位のパート→左右に振り分けるパート(または広がりを持たせるパート)」という順番で着手することになりますからね。
今回は、以下の順番で解説していきます。
- キック、ベース
- ヴォーカル
- スネア
- ハイハット
- ドラム全体
- コード系パート
- フレーズ系パート
- FXパート
キック、ベースのパンニング
こちらはいうまでもなく、どセンターに配置です!
左右どちらかに偏ってしまうと重心が傾いてしまいますからね。
ステレオ感のあるベースをプラスする場合は、ステレオ幅を狭めてあげると良いかと思います。
ヴォーカルのパンニング
こちらもいうまでもなくどセンターでOKです。
デュエット曲など複数人で歌うような曲は多少左右に振り分けますが、今回はヴォーカルチョップ1本なのでセンターで問題ありません。
スネアのパンニング
スネアも問答無用でセンターに配置してしまって構いません。
モノラルはもちろんのこと、ステレオ音像を持つスネアの場合も、左右いずれかに偏らないよう真ん中から聞こえるように調整しましょう。
ハイハットのパンニング
ハイハットに関しては、いくつかの考え方があります。
- 左右いずれかに軽く振る
- センターに配置する
アコースティックドラムの場合は、実際のドラム配置にならって左右いずれかに振ることが多いです。
一方、ダンスミュージックの場合はセンターに配置してしまうことも珍しくありません。(今回の教材曲ではセンターに配置しました。)
逆に、EDMではハイハットが複数個使用される場合もありますので、その場合は左右バランス良く配置してあげると良いでしょう。
ドラム全体
タムやパーカッションは、原則として左右に振り分けます。
タムに関してはあくまで好みもありますが、ぼくは右から順に
ハイタム→ミッドタム→ロータム→フロアタム
と配置するのが好きです。(逆でもオッケーです。)
タム、パーカッション類については、今回はリズムループしか使用していないのでステレオ感を狭めてセンターを中心に配置しました。
コード系パート
コード系パートは、基本的に左右にバランスよく配置していくことになります。
例えばバンドものなら、ギターを1本ずつ左右に振り分けたり、キーボードのステレオ幅を狭めて左右いずれかに配置するといった具合です。
一方、EDMの場合はコードパートは全てシンセ。
前述の通りいずれもステレオ音像を持っているものなので、ステレオ感を保ったまま左右に広がって聞こえるよう配置します。
シンセコードやプラックなど、音像のはっきりしたものはステレオ幅を少し狭めてセンター配置。
逆に、パッドのような空間をたっぷりとりたい音色は、ステレオ幅を広めにしてセンター配置することで、音に立体感がでます。
フレーズ系パート
こちらも、モノラル音源を使用している場合は左右いずれかに程よくパンを振ります。
フレーズ系パートはメインメロディと同じ周波数帯域で演奏されることが多いため、センターに配置してしまうと邪魔になってしまうからですね。
例えば、ヴァイオリンのオブリガートが入るような楽曲であれば、センターより少し右(または左)に配置してメインメロディとのバッティングを避けます。
また、ステレオ音像を持っているフレーズ系パートの場合は以下の2種類の方法が考えられます。
- ステレオ幅を狭めて左右どちらかに振る
- ステレオ感を活かしてセンター配置する
ステレオ音源の中に元々含まれるセンター成分が弱い場合は、仮にセンター配置してもメインメロディとのバッティングは回避できるという寸法です。
今回は、ヴァース〜ビルドアップのピアノを中心に、チェレスタやプラックリードなどのオブリはステレオ感を活かしたままセンター配置しています。
FXパートのパンニング
こちらは素材によってまちまちですが、いずれの場合も左右どちらかに寄って聞こえてくることはマレです。
インパクト系ならばセンターに配置する方がバランスが良くなりますし、ライザーや高音のヒットなどステレオ音像を持つものも、左右いずれかに寄せるよりは中心をセンターにおいた方がバランスよく聞こえるでしょう。
逆に、ギミック的に使用したい特殊な効果音ならば、演出目的で左右に振り分けるのは全然OKです。
こちらはあなたのセンス次第となりますので、楽曲の雰囲気に合わせてちょうど良い場所を探ってみてください。
まとめ
というわけで、パンニングの実践テクニックをお伝えしてきました。
とくにシンセ主体の楽曲の場合は、ステレオ音源の取り扱いが重要なポイントになってきます。
ステレオ感を活かしつつ、センター付近で複数の楽器の音がバッティングしないよう心がけながらバランスの良い配置を目指していきましょう!
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