ドラムに自然な残響をプラス!ルームマイクのミキシングをマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ルームマイクのミキシング について解説していきます。
- ルームマイクのパンニング
- ルームマイクのMixに使うエフェクト
- 各エフェクトのセッティング
- ルームマイクの音量バランス
ルームマイクは、空気感や部屋鳴りを含めてドラムサウンドを収録したトラック。
ルームマイクがあることでリバーブのノリもよくなり、他のパートとの馴染みも良くなります。
ドラムに自然な残響をプラスするために必要なルームマイクのMixテクニックを解説していきますので、しっかりマスターしていきましょう!
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
ドラムに自然な残響をプラス!ルームマイクのミキシングをマスターしよう!
ルームマイクのパンニング
まずは、ルームマイクのパンニングについて見ていきましょう。
ルームマイクは、オーバーヘッド同様ステレオで収録されています。
したがって、ドラマー視点なのか客席視点なのかを意識してパンニングする必要がありますね!
基本的に、オーバーヘッドで採用した視点と揃えればOKです。
今回はオーバーヘッドで客席視点を採用していますので、ルームマイクもそれに合わせて左右スワップします。
ルームマイクは広がりを持たせた方が立体感が出ますので、左右の幅は狭めず「L100&R100」のまま使用しています。
ルームマイクの音
客席視点に変更(左右をスワップ)
ルームマイクの音作りに必要なエフェクト
ルームマイクの音作りには、以下の3種類のエフェクターを使用します。
それぞれの役割は以下の通りです。
1. コンプレッサー
主にダイナミックレンジの調整に使用します。
キットマイクほどではありませんが、楽曲全体を通して満遍なくルーム感が付加されるよう比較的しっかり目にかけてOKです。
コンプレッサーの用法は以下の記事をご覧ください。
2. イコライザー
こちらは主に周波数成分の調整に使用します。
ルームマイクにはスネアの音も多分に含まれていますので、オンマイク同様音程感のあるピークも抑えていきましょう。
3. リミッター
こちらはもはや言わずもがなですね。
強すぎるアタックや、時折発生する突発的なピークを抑え込むために使用します。
実際のセッティング
それでは実際のセッティングをみていきましょう。
例によって、コンプレッサーとイコライザーは、チャンネルストリップで設定。
細かい調整はダイナミックEQを使って行います。
コンプレッサーのセッティング
前述のとおり、しっかり目にコンプをかけてダイナミックレンジを狭めていきます。
レシオは「10:1」、スレッショルドはMaxに設定しましたが、それでもかかりが弱かったのでインプットゲインを上げて調整しています。
リリースは「0.4sec」とやや短めにしました。
コンプレッサー適用前
コンプレッサー適用後
イコライザーのセッティング
イコライザーは主にカット方面に使用していきます。
サウンドのアタック感はオンマイクで十分に出ていますので、こちらは自然な部屋鳴りを作ることにフォーカスしましょう。
「270Hz」「378Hz」「666Hz」にある膨らみを除去しているほか、「213Hz」でローカットも入れています。
EQ適用前
EQ適用後
ダイナミックEQのセッティング
次に、ダイナミックEQを使って細かい調整を行います。
前述のとおり、まずはスネアに含まれる音程感のあるピークを抑えていきましょう。
「427Hz」「501Hz」「620Hz」「697Hz」「944Hz」の5箇所をピンポイントでリダクションしています。
さらに、ルームにはそこまで必要ではないローエンドとハイエンドを緩やかにカットしています。
ダイナミックEQ適用前
ダイナミックEQ適用後
リミッターのセッティング
最後に、リミッターで突発的なピークを抑えて完成です。
リミッター適用前
リミッター適用後
ルームマイクの音量バランス
最後に、ルームマイクの音量バランスをみていきましょう。
ルームマイクの音量にもこれといった決まりはありません。
サウンドにどれくらいの空気感、部屋鳴り感を持たせたいかによってバランスを変えるとよいでしょう。
場合によっては、ルームマイクを完全にオフにしてドライなサウンドに仕上げる方法もあります。
目指すサウンドの方向性に合わせて、適宜調整してくださいね!
ルームの音量:ゼロ(ドライ)
ルームの音量:弱(ややドライ目)
ルームの音量:中(自然な部屋鳴り)
ルームの音量:強(たっぷりとした部屋鳴り)
まとめ
というわけで、ルームマイクのミキシングテクニックについて詳しく解説しました。
各種オンマイク、キットマイク、オーバーヘッドだけでは表現しにくい空気感や残響をプラスするのに最適なトラック。
効果的に使用して、自然なドラムサウンドを目指していきましょう!
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