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ヴォーカルのミキシング①:EQ&コンプレッサーのセッティングをマスターしよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日からはいよいよヴォーカルのミキシングに入ります。

初回はヴォーカルのEQ&コンプ処理について解説。

  • ヴォーカルのMixに使用するエフェクト
  • ヴォーカルのEQ&コンプセッティング

ヴォーカルは楽曲の主役。バンド内のどのパートよりも繊細に取り扱わねばなりません。

サウンドの質感を損ねることなく自然に問題を解決していくためにも、よりデリケートなエフェクトのセッティングが求められます。

そんなヴォーカルに対するEQ&コンプのテクニックを詳細にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』

 

ヴォーカルのミキシング①:EQ&コンプレッサーのセッティングをマスターしよう!

ヴォーカルのミキシング①:EQ&コンプレッサーのセッティングをマスターしよう!

ヴォーカルのミキシングに必要なエフェクト

まずは、ヴォーカルのミキシングに必要なエフェクトを見ていきましょう。

  1. コンプレッサー
  2. イコライザー
  3. ディエッサー
  4. ディレイ
  5. リバーブ

それぞれの役割は以下の通りです。

1. コンプレッサー

ダイナミックレンジの調整に使用します。

ヴォーカルは楽曲の主役となるパート。

他のパートに埋もれることなく、均一な存在感で聞こえるようコンプレッサーを使って調整していきます。

2. イコライザー

周波数バランスの調整に使用します。

他の楽器同様、不要な中低域のふくらみ&高域のピークをカットして聴きやすい音色に。

また、特定の帯域をブーストすることで前に迫り出してくるような立体感をプラスすることもできます。

3. ディエッサー

歯擦音による鋭い高音の除去に使用します。

「サ行」と初めとした耳につく子音をリダクションすることで、聴きやすくマイルドな歌声に調整していきます。

4. ディレイ

ヴォーカルに残響を付与したい場合、ディレイを併用すると効果的です。

リバーブだけでは音が奥に引っ込んでしまうため、ディレイを併用して距離感を保ちながら残響を付与することができます。

ヴォーカルに対するリバーブとディレイの合わせ技は以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

5. リバーブ

前述のディレイと組み合わせて、ヴォーカルに豊かな残響をプラスしていきます。

リズム感に影響の出にくいプレートリバーブを使用するのが一般的ですが、目指すサウンドの方向性によって適宜選択するのもよいでしょう。

ヴォーカルのEQ&コンプのセッティング

ここからは、EQとコンプレッサー (&ディエッサー)のセッティングについて詳細を解説していきます。

今回は、以下のような順番でエフェクトを適用しました。

コンプ① → ダイナミックEQ① → コンプ② → EQ → ダイナミックEQ② → コンプ③

なんと、コンプを3回もかけているほか、ダイナミックEQも2回かけていますね。

それぞれ役割が違いますので詳しく解説していきます。

コンプ①のセッティング

まずは、オプトタイプ(光学式)のコンプレッサーでアナログの質感をプラスしながらダイナミックレンジを調整していきます。

今回は、WAVESの「CLA-3A」を使用しました。

オプトコンプはコンプの効きがゆるやかで、ヴォーカルをはじめ音の質感を大きく変えたくないトラックにぴったり

また、アナログならではの適度な倍音をプラスしてくれるので、ヴォーカルの存在感もアップします。

今回は音の大きなところを-3dB〜-6dBほどリダクションして、全体的なダイナミックレンジを整えています。

コンプ①適用前

コンプ①適用後

ダイナミックEQ①のセッティング

つぎに、ダイナミックEQで細かい周波数バランスを調整していきます。

ヴォーカルは主役ですから、過度なイコライジングは避けたいもの。

そんな時は、問題が発生した時だけピンポイントで処理が行えるダイナミックEQが最適

また、ディエッサーとしての役割もこなしてくれるので一石二鳥ですね!

今回は「246Hz」「445Hz」「733Hz」付近にあらわれる中域のふくらみと「4278Hz」にある高域のピークをリダクション。

さらに、「11000Hz」付近を軽めにブーストしてヌケ感をプラスしつつ、同じバンドを使って歯擦音が発生した時のみディエッシングを行っています。

ダイナミックEQ①適用前

ダイナミックEQ①適用後

コンプ②のセッティング

次に、デジタル系コンプを使ってさらなるダイナミックレンジ調整を行っていきます。

コンプを2度がけすることで、よりも自然なサウンドを維持したままダイナミックレンジを狭めることができます。

今回は、レシオ「4:1(3.99:1)」に設定し、音量の小さなところも含めて満遍なくコンプがかかる程度のスレッショルドを設定。

小さな音がしっかり持ち上がるようセッティングしました。

コンプ②適用前

コンプ②適用後

EQのセッティング

今度は、EQを使ってヴォーカルのカラーを調整していきましょう。

とくに、コンプをかけることで失われがちなハイのヌケ感をプラスするイメージでかけると良いでしょう。

今回は「330Hz」ブーストして声の太さをプラスしつつ、「8.2kHz」をブースト&「15kHz」以上をシェルフでブーストしてヌケ良く仕上げました。

EQ適用前

EQ適用後

ダイナミックEQ②のセッティング

2度目のダイナミックEQでは、前段のEQでハイをブーストしたことにより目立ってきた高域の問題を処理していきます。

「3991Hz」「4331Hz」にあるキンキンしたピークをピンポイントでリダクション。

加えて、「11157Hz」付近をディエッシングしてよりマイルドな聴き心地に仕上げています。

また、「1045Hz」付近をブーストして音にハリをプラス。

より前面に迫り出したヴォーカルを目指しました。

ダイナミックEQ②適用前

ダイナミックEQ②適用後

コンプ③のセッティング

最後に、もう1度コンプをかけて仕上げます。

このコンプは、他のパートでいうところのリミッターに相当する役割を担います。

突発的に飛び出た部分だけをリダクションするのが目的ですね。

リミッターの代わりにコンプを使うことで、声の質感を損ねることなくマイルドにピークを抑える戦法です。

レシオは「25:1(24.98:1)」と強め、アタックとリリースも最速に設定して、突発的に飛び出た部分がリダクションされるようセッティングしました。

コンプ③適用前

コンプ③適用後

 

まとめ

というわけで、ヴォーカルのEQ&コンプ処理についてお届けしました。

自然なサウンドを維持しながらも、オケ中でも埋もれない存在感のあるヴォーカルに仕上げるためには、各エフェクトの役割をしっかりと切り分けることが重要。

どんな問題を解決するために、どのような処理が適切なのか?

それを見極める上でも、今日の記事は大いに役立つはずです。

ぜひお役立ていただければ幸いです。

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