フルオーケストラアレンジの基本テクニックを理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、「弦楽器」「木管楽器」「金管楽器」を総動員したフルオーケストラアレンジの基本テクニックを解説していきます。
- フルオケ総動員時のパート別オススメの役割
- フルオーケストラアレンジのポイント
今回は、楽曲のクライマックスをイメージした大音量のアレンジテクニックを解説。
音量を抑えた繊細なオーケストレーションに比べて、各パートの割り振りもシンプルで導入しやすいものとなっています。
オーケストレーション初心者にもオススメのテクニックとなっていますので、ぜひご活用ください!
フルオーケストラアレンジの基本を理解しよう!
フルオケ総動員時のパート別オススメの役割
まず、フルオーケストラを総動員したド派手なアレンジを行う際に、各パートがどのような役割を担当すべきか明確にしておきましょう。
ここを抑えておくことで、「何をやらせたらいいかわからない!」といった悩みから解放されることになります。
各パートにオススメの役割は以下の通りです。
ストリングス
- 1stヴァイオリン:メロディ
- 2ndヴァイオリン:メロディ(1stのオクターブ下が多い)
- ヴィオラ;メロディ(2ndヴァイオリンと同度orオクターブ下)
- チェロ:メロディorベースライン
- コントラバス:ベースライン
ヴァイオリン〜ヴィオラまではオクターブユニゾンでメロディを担当。
弦楽器によるユニゾンのパワーは凄まじく、美しさと力強さを両立した圧巻のサウンドをもたらします。
ドラマティックで説得力あるサウンドを作りたいならストリングスのユニゾンはとってもオススメです。
場合によってはチェロまでメロディにしてもいいくらいです。
金管楽器
- ホルン:メロディ(オブリガート含む)orハーモニー
- トランペット:メロディ(オブリガート含む)
- トロンボーン:メロディ(オブリガート含む)orハーモニー
- チューバ:ベースライン
高音域を担当するトランペットは、主メロやオブリガートなどのメロディ要素を。
中音域のホルン&トロンボーンは、メロディ要素またはハーモニーを。
低音域のチューバはベースラインを担当するといった具合です。
トランペットは、音量・音色・音域全ての観点から非常に目立ちやすいサウンドを持っています。
したがって、トランペットにメロディを演奏させる場合は、フレーズの後半から登場させるという部分的な使い方もオススメです。
また、ホルンとトロンボーンは2者択一で役割を検討するのが良いでしょう。
どちらかがメロディ要素を担当するなら、もう片方はハーモニーを演奏するということですね。
両者は音域が近く、オーケストレーションに不慣れなうちは明確に役割分担したほうが扱いやすいでしょう。
木管楽器
- フルート(ピッコロ):メロディor装飾フレーズ(高音域)
- オーボエ:メロディ
- クラリネット:メロディor装飾フレーズ(フルートのオクターブ下)
- バスーン:メロディ(オブリガート含む)orベースライン
木管は原則として、メロディ要素または合いの手的な装飾フレーズを担当するとよいでしょう。
セクション全体でメロディをユニゾンさせるのもアリです。
とくに、弦&金管と合わせてメロディを演奏する場合は、両者をしっかり接着して一体感あるサウンドをもたらしてくれます。
バスーンにはベースを任せる形でも問題ありませんが、個人的にはメロディやオブリガートなどの旋律要素が強い役割を任せるのが好きです。
一方、フルート&ピッコロはその高音域を活かした装飾フレーズを演奏するのも定番の手法です。
駆け上がり(下がり)やトリルなど、その運動力を生かした装飾フレーズは、木管ならではの華やかな色彩感をプラスしてくれることでしょう。
この装飾フレーズは、フルート&ピッコロのみで行う場合と、クラリネットなど他の木管をオクターブ下などに加える場合とでサウンドのニュアンスが変わってきます。
前者は軽やかさが強調され、後者はゴージャスさが増す印象になります。
フルオーケストラアレンジのポイント
各パートのオススメの役割が理解できたところで、今度は実際にサウンドを割り振ってみましょう。
オーケストラを総動員したゴージャスなアレンジを行う際のポイントは以下の2点です。
- ユニゾンを主体に役割を割り振る
- 木管を積極的に活用する
順に解説していきます。
ユニゾンを主体に役割を割り振る
フルオーケストラでのアレンジでは、それぞれのパートに個別の役割を任せたところで埋もれて聞こえなくなってしまいます。
ですから「メインメロディ」「ハーモニー」「ベース」「リズム」「オブリ&装飾」の5つ要素のいずれかに複数パートを割り当てる形で考えていきましょう。
いわば、各役割ごとに「ユニゾン」させている状態と言いかえても良いですね。
例えば、以下のような割り当てが考えられます。
【ストリングス】
- 1stヴァイオリン〜ヴィオラ:メロディのユニゾン(オクターブやハモリも含む)
- チェロ&コントラバス:ベースラインのユニゾン(オクターブ含む)
【金管】
- ホルン:オブリガート(4パート全てユニゾン)
- トランペット:メロディのユニゾン(オクターブやハモリも含む)
- トロンボーン:ハーモニー+リズム
- チューバ:ベースライン
【木管】
- フルート&ピッコロ、クラリネット:装飾フレーズ
- オーボエ:メロディのユニゾン(オクターブやハモリも含む)
- バスーン:オブリガート
【打楽器】
- ティンパニ、シンバル:要所の盛り上げサポート
- スネアドラム:リズム
サポートの打楽器とトロンボーンを除けば、前述の5つの役割に複数のパートが割り当てられていることがお分かりいただけると思います。
ハーモニーの役割はトロンボーンだけが担当している状態ですが、トロンボーンのパワーならユニゾンせずとも十分にバランスがとれるでしょう。また、メロディやそのハモリ、ベースラインにもコードを感じさせる要素が含まれていますので、それらと複合的に考えるのがオススメです。
大音量のアレンジを施す場合はこれくらいシンプルに割り当てるのが吉。
場合によっては、木管セクション全体で同じ役割を任せるといった大胆な割り振りも全然アリです。
下手に分散させると、よほどうまくアレンジしない限り金管にかき消されてしまいます。
ですから、オーケストレーションに不慣れなうちはこれくらいシンプルに考えるところから取り組むことをオススメします。
そんな単純で良いのかな?手抜きじゃないのかな?と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、下手に凝ったことをしようとしてもごちゃごちゃするだけ。
ユニゾン主体のすっきりしたオーケストレーションの方が説得力のあるサウンドを作りやすいのでオススメです。
木管を積極的に活用する
最大音量の小さな木管楽器は、大音量のアレンジ、とくに金管がガッツリ鳴っている場合ははっきりと聞き取れない場合も少なくありません。
ならば木管はいなくてもいいのでは?と思ってしまいますが、じつはそんなことはありません。
木管は以下の2点において大事な役割を持っています。
- 弦楽器と金管楽器を結ぶ
- サウンドに色彩感をもたらす
いずれも、オーケストレーションにおいて重要な役割ですので、木管を積極的に活用していきましょう。
■ 弦楽器と金管楽器を結ぶ
これまで何度か解説をしていますが、弦楽器と金管楽器はサウンドの相性が良くありません。
それらの仲を取り持つのが木管。
仮に木管がよく聞こえなかったとしても、その裏で弦楽器と金管楽器を接着するという重要な役割を担ってくれているのです。
ホルン以外の金管楽器を弦楽器と馴染ませる場合には必須のテクニックとなりますので覚えておきましょう。
弦楽器+金管のみ、木管抜きでメロディ
弦楽器+金管+木管でメロディ
※違いをわかりやすくするために先ほど解説した割り当ての例よりも木管の数を増やしています。
■ サウンドに色彩感をもたらす
ストリングスと金管は、セクション全体のサウンドに統一感があります。
各楽器の音色にそこまで大きな差異がないからです。
一方木管は、楽器ごとにじつに多様なサウンドを持っています。
その木管がいるのといないのとでは、オーケストラサウンドの色彩感は段違い。
やや大げさな表現になりますが、弦と金管のみで演奏した場合は「単色」だったサウンドが、木管が加わることで「フルカラー」になるイメージと考えていただけるとわかりやすいかと思います。
弦と金管だけでは表現しにくい色とりどりの色彩感を生み出すには、木管が重要な役割を担っているのですね。
弦楽器+金管だけのサウンド
木管まで加えたサウンド
まとめ
というわけで、フルオーケストラアレンジの基本についてお届けしました。
例によって、今日ご紹介した割り当てはあくまで一例とはなりますが、オーケストレーション初心者でも簡単に実践できるオススメテクニックです。
迷った時はこれを採用する!くらいの気持ちでのぞむと良いでしょう。
慣れてきたら、様々な楽曲を研究してその他のバリエーションにもチャレンジしてみてくださいね。
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