レコーディングデータのエディットテクニック!その手順と作業の概要を一挙解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、レコーディングデータのエディットテクニックについて解説していきます。
- テイク選び
- リズム補正
- ピッチ補正
- 位相を揃える
- ノイズ除去
レコーディングしたデータを磨き上げ、さらに素晴らしい演奏へと昇華させるために必要な作業の手順と概要をご紹介。
丁寧にエディットを行うことで楽曲の完成度はますます高まります。
この時点で行うべき作業をまとめておきますので、しっかりと学んでいきましょう!
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
レコーディングデータのエディットテクニック!その手順と作業の概要を一挙解説!
エディットの流れ
エディットの流れは、以下の通りとなります。
- テイク選び
- リズム補正
- ピッチ補正
- 位相を揃える
- ノイズ除去
それぞれ詳しく解説していきます。
テイク選び
まずは、各パートごとベストなテイクを選定してつなぎ合わせていきましょう。
レコーディングでは、良いテイクが録れるまで何度か演奏をしてもらうことになります。
各テイクがまるまる完璧な演奏であればそれ以上のエディット作業は必要ありませんが、ある一部分だけは別のテイクに差し替えたいなんてこともあると思います。
そんな時は、収録した別テイクの素材を使ってつなぎ合わせていくわけですね!
テイク選びの注意点
テイク選びの際の注意点は、前後の流れに気を配ることです。
いくらその部分の演奏が良かったとしても、元のテイクとの繋がりが悪くとってつけた感じになってしまったら台無しです。
音楽は時間芸術ですから、つなぎ合わせても演奏の流れが変わらないテイクを選びましょう。
もしどうしてもうまくつながらない場合は、後述する「リズム補正」「ピッチ補正」で対応できないかを検討すると良いですね!
リズム補正
テイク選びが完了したら、次にリズムの補正に移りましょう。
- リズムがよれてしまっている場合
- 走ったりモタったりしてしまっている場合
- キメなどのリズムを揃えねばならないところでズレてしまった場合
上記3点のいずれかの問題が発生している場合は、波形を前後にズラして微調整していきます。
リズム補正の注意点
リズムは「正確=正義」ではありません。
こちらの記事でもお伝えしたとおり、生演奏のよさは「ズレ」にこそあらわれます。
各プレイヤーさんの微細なズレが複雑に絡みあって、情報量の多い充実したサウンドに仕上がっているわけです。
ですから、あまりにもきっちり直しすぎるとかえって機械的な演奏になってしまい、生演奏の魅力が損なわれてしまうなんてことも。
パート単体で聴くと気になる箇所も、アンサンブル全体で聴くと全く気にならないなんてこともありますので、常に全体を俯瞰してエディットするよう心がけましょう。
ピッチ補正
リズムの修正が完了したら、次にピッチ補正に移りましょう。
といっても、バンド楽器の場合はピッチが気になることはそこまで多くないと思います。
また、ストリングスやホーンなどアンサンブルで収録しているものの場合は、あとから修正することは不可能です。
(各人がバラバラなピッチで演奏してしまっている以上、それをまとめて上げ下げしたところで正確なピッチは得られませんからね。)
その場合は、別テイクの中でピッチの良いものを探してくるのが最適解となります。
では、どんな場合にピッチ補正が必要になるかというと、やはりヴォーカルやソロパートなど単体で収録したものになります。
ピッチ補正プラグインを使いながら、音程のズレが気になるポイントを丁寧に修正していきます。
ピッチ補正の注意点
リズム補正同様に、「正確=正義」ではありません。
あまりにも正確すぎるピッチは、ロボットのような機械的なサウンドを生み出します。
いわゆるケロケロボイスのように意図的にそのようなサウンドを目指す場合は別ですが、通常は気になるポイントを絞って修正する方が自然な仕上がりになります。
とくにコーラスは要注意!
コーラスは、ストリングス同様に各パートの微細なピッチのズレがもたらすサウンドの厚みが魅力。
せっかくパートを重ねても、それぞれのピッチが正確すぎるとコーラスらしさが失われてしまうんです。
明らかに音程が外れている場合や、他のパートと歌い方が揃っていない箇所など、気になるポイントのみを中心に修正していきましょう。
位相を揃える
つぎに、パートごとに位相を揃えていきましょう。
ドラムやストリングスなどのマルチマイクで収録した楽器、ピアノのオンマイクとオフマイク、ベースのマイクとラインなど、同一パートが複数のトラックで収録されているものは、必ずこの作業を行います。
位相を揃えておかないと、
- 低音がキャンセルされる
- 高域がフランジングを起こす
- 音が引っ込む
- 定位がボケる
など、ネガティブな現象を引き起こす可能性が高くなりますので注意が必要です。
位相がズレている状態
位相を揃えた状態
波形編集による位相の調整については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ合わせてご活用ください。
位相を添える際の注意点
高音パートは波形が細かく目視で揃えるのは難しいため、音を聴きながら気持ちよく聞こえる位置を探っていく必要があります。
その聞き分けは非常に難しいため、慣れないうちは無理に触らない方が無難です。
また、位相を揃える際には、オンマイクなど音源に近い位置のマイクを基準にして、そちらにオフマイクの音を合わせていくようにしましょう。
また、ドラムのように複数のオンマイクが立っている場合は、リズムの根幹となるキック&スネアを先に合わせて、それらを基準にほかのマイクも合わせていくとよいですね。
ノイズ除去
最後に、ノイズの除去を行っていきましょう!
生収録の場合、演奏にともなう様々なノイズが入ることも少なくありません。
その中で、フレットノイズやペダルノイズなどの音楽的なノイズはMix時に調整するとして、ここでは音楽に全く必要のないノイズを処理していきます。
とくに
- ヴォーカルのリップノイズ
- 演奏ミスによって生じた不要なノイズ
- 譜めくり音
- 演奏前後に紛れ込んだ声
などは、この時点で処理をしておくと良いと思います。
マルチレストなど演奏をお休みしている間に発生したノイズならば丸ごと波形をカットしてしまって問題ありません。
一方、ノイズが演奏とかぶってしまっている場合は以下のいずれかの方法で処理を行います。
- 波形をペンシルツールで書きかえる
- ノイズリダクションツールを使う
- ノイズの入っていないテイクに差し替える
波形をペンシルツールで書きかえる
ノイズ除去前
ノイズ除去後
ノイズリダクションツールを使う
iZotope RX8を使ったノイズ除去の様子
ノイズの入っていないテイクに差しかえる
まとめ
というわけで、レコーディングデータのエディットテクニックを解説しました。
丁寧にエディットを行うことで、生演奏の良さがよりいっそう引き立ち、楽曲の仕上がりも格段にアップします。
まずはヴォーカルエディットなど単体のパートのエディットから練習していくと覚えやすいと思います。
ぜひチャレンジしてみてください!
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