ギターのミキシング②:アコギソロのミキシングをマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、アコースティックギターによるソロのMixについて解説していきます。
- アコギソロの音作りに使用するエフェクト
- 各エフェクトのセッティング
- アコギソロのパンニング
- アコギソロのレベル書き
- アコギソロの音量バランス
バッキングと共通する部分も多いですが、一方でソロならではの考え方&お作法も存在します。
ギタリストさんにとって一番の魅せ場ともいえるソロパート。
より魅力的に聴かせるためのテクニックをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね!
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
ギターのミキシング②:アコギソロのミキシングをマスターしよう!
アコギソロの音作りに必要なエフェクト
バッキング同様、アコギのソロでは以下のエフェクトを使用していきます。
基本的な考え方はバッキングと全く一緒ではありますが、おさらいのためにそれぞれの役割を再度解説していきます。
1. コンプレッサー
ダイナミックレンジの調整、アタック感のコントロールに使用します。
また、コンプをかけることで音の密度を上げ、太く体格の良い音に仕上げる目的でも使用します。
2. イコライザー
周波数バランスの調整に使用します。
中域の不要な膨らみを抑えるほか、ピッキングノイズやフレットノイズなどの金属音を軽減させるためにも使用します。
3. リミッター
突発的なピークの抑制に使用します。
4. リバーブ
ルームリバーブとプレートリバーブの2種類を使用します。
前者は他の楽器との一体感のため、後者は残響をプラスする目的で使います。
実際のセッティング
各エフェクトのセッティングを見ていきましょう!
こちらもバッキング同様、チャンネルストリップを使ってコンプレッサーとEQを設定していきます。
コンプレッサーのセッティング
強すぎるアタックを抑え、ボディの鳴りを持ち上げて太さを出すセッティングはソロにおいても有効です。
レシオ「5:1」、スレッショルドは「-8.0dB」に設定。
リリースタイムも「0.1sec」と最速に設定しています。
スレッショルドの値自体は浅めに見えますが、元の音量が大きいのでかなりしっかりめにかけています。
アコギのソロはダイナミックレンジが極めて広いため、しっかりコンプをかけて音量のバラつきを整えていきましょう。
コンプレッサー適用前
コンプレッサー適用後
イコライザーのセッティング
まずは、ピッキングノイズやフレットノイズなど必要以上に入り込んでしまった高域成分をEQでケアしていきます。
「3.0kHz」付近のキンキンした金属音をカットし、さらに「9.0kHz」以上をシェルフでカットしてマイルドなサウンドに。
また「447Hz」付近にある中域のダブつきも軽くカットしています。
低域は「85Hz」以下をシェルフで押さえ、「116Hz」でローカットを入れてすっきりとさせました。
EQ適用前
EQ適用後
ダイナミックEQのセッティング
さらに、ダイナミックEQで細かい周波数の問題を解決していきます。
まず、「105Hz」「244Hz」「475Hz」付近に現れる中低域の膨らみをリダクション。
加えて、「3642Hz」付近のキンキンしたピークをしっかり目にリダクションして耳あたりを改善。
さらに、ディエッサーの要領で「5150Hz」以上をシェルフでリダクション。
フレットノイズをはじめとした金属音系のノイズをガッツリ抑え込みました。
単体で聞くとちょっとやりすぎかなぁとも思いますが、オケ中で聞くとこれくらいでもちょうど良かったので臆せず採用!
ダイナミックEQ適用前
ダイナミックEQ適用後
リミッターのセッティング
一通りの調整が完了したら、リミッターで突発的なピークを抑えこみましょう。
リミッター適用前
リミッター適用後
リバーブセッティング
ギターソロといえば派手なリバーブやディレイがおなじみですが、今回はジャズらしく自然な仕上がりにすべく過度な演出はしていません。
バッキングとまとめてバスからリバーブへ送っているため、詳しくはバッキングの解説記事をご覧ください。
アコギソロのパンニング
ギターソロのパンニングについては、以下の3つのパターンがあります。
- パターン1:バッキングと同じ位置に配置する
- パターン2:センターに配置する
- パターン3:バッキングよりややセンター寄りに配置する
ライブ感のある自然なサウンドにしたかったらバッキングと同じ位置に。
主役としてガッツリ目立たせたかったらセンターに。(ロックのギターソロなんかはこれですね。)
ライブ感は残しつつも、少しだけ目立たせたいという場合はややセンター寄りに配置するとよいでしょう。
今回はパターン3を採用しました。
パンニング前
パンニング後
パンニングの基本的なテクニックについては、以下の記事をご覧ください。
アコギソロのレベル書き
前述の通り、アコギのソロはダイナミックレンジが極めて大きいため、コンプで音量を揃えてもオケに埋れてしまう箇所がでてきます。
音量が小さくて聞き取りにくい部分はボリュームオートメーションを書いて埋れないよう調整しましょう。
アコギソロはもちろん、ヴォーカルほかあらゆるパートで有効な方法ですので覚えておいてください。
※その他伴奏パートのレベル書きについては、本カリキュラム終盤でお伝えします。
オートメーション無し
オートメーション有り
アコギソロの音量バランス
最後に、音量バランスをとっていきます。
アコギソロは、下図でいうところの「フレーズ系」に該当します。
とはいえ、オブリガートなど伴奏の一部分としてのフレーズではなくそれ自体が主役級の役割を持っているため、通常のフレーズ系よりは大きめのバランスにすると良いでしょう。
イメージ的にはスネアと同じくらいの存在感、あるいはスネアよりも少し前面に出てくるくらいでちょうど良いです。
一方、ヴォーカルよりは前に出過ぎないよう注意しましょう。
アコギソロの音量:中(自然なバランス)
アコギソロの音量:弱(小さすぎ)
アコギソロの音量:強(大きすぎ)
まとめ
というわけで、アコギソロのMixについて詳しく解説してきました。
あくまでアコギを例に解説を進めてきましたが、パンニングやレベル書きなどのテクニックはギター以外のソロパートにも有効な考え方です。
今日の記事を参考に、さまざまなソロのミキシングに応用してみてください。
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