ジャンル別ピアノアレンジ①:ポップス・ロックのピアノアレンジ&打込みテクニック!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日からは、ジャンル別ピアノアレンジについて解説していきます。
初回は、ポップス・ロックのアレンジ&打込みテクニックから。
- ポップス・ロックにおけるピアノの特徴
- ポップス・ロックにおけるピアノのサウンドメイク
- ポップス・ロックのピアノアレンジ例
ポップス・ロックといってもその曲調はじつにさまざまではありますが、ここでは王道のポピュラーテイスト、ポピュラーよりのロックにおけるピアノについて解説していきます。
近年におけるポピュラー音楽で最も多用されるスタイルとなっていますので、バッチリマスターしていきましょう!
ジャンル別ピアノアレンジ①:ポップス・ロックのピアノアレンジ&打込みテクニック!
ポップス・ロックにおけるピアノの特徴
まずは、ポップスやロックにおけるピアノの特徴についてみていきましょう。
冒頭でもお伝えしたとおり、そのスタイルは多岐にわたりますが、その多くはこれまでにご紹介した王道スタイルのアレンジを中心に構成されています。
したがって、本カリキュラム中盤で解説した「キーボードアレンジの基本テクニック」を理解されている方ならば習得は難しくないでしょう。
具体的には、コード弾きやアルペジオといった王道スタイルを中心に、ところどころメロディアスな要素を追加していくことで、それらしいアレンジをすることができます。
なお、ここではポップスとロックをまとめて取り扱いますが、その理由は、ハードロックやヘヴィメタルなどの激しいジャンルでは、ピアノが積極的に用いられることが少ないためです。(もちろん皆無ではありませんが。)
したがって、ロックよりの楽曲であってもピアノアレンジはポピュラー音楽の延長線にあると考えて差し支えないでしょう。
よりハードロックに適したキーボードアレンジとしては、今後ご紹介するハモンドオルガンの項で解説していきます。
ポップス・ロックにおけるサウンドメイク
ポピュラー・ロックにおけるピアノサウンドの特徴は以下の通りです。
- ハイをしっかり立てたヌケの良いサウンド
ポピュラーやロックでは、エレキギターやエレキベース、ドラムなどのバンド楽器とのアンサンブルが基本となります。
したがって、それらの楽器に埋もれないよう、輪郭のはっきりした明るい音色を用いるのが一般的です。
それを実現する上で、イコライザーによる高域成分のブーストを行うとよいでしょう。
また、音源によってはポップスやロック用に明るく硬めの音色に仕上げたプリセットが収録されている場合もあります。
楽曲にマッチするようならば、そのようなプリセットを使うのも問題ありません。
音源の設定
今回は、クラシックなコンサートグランドをイコライジングして程よいヌケ感を表現しました。
また、音源内蔵のイコライザーやトーンコントロールだけで詰めきれない部分は、外付けのイコライザーで調整しました。
アコースティックピアノの設定
エレクトリックピアノ(ローズ)の設定
イコライザーの設定(アコピ&エレピ共通)
ポップス・ロックのピアノアレンジ例
ここからは、ポップス・ロックにおけるピアノアレンジをいくつかご紹介しようと思います。
今日ご紹介するパターンは、いずれも以下のコードを使ってアレンジしています。
(アレンジの違いによって多少コードの構成音が変わる部分もありますが、基本となる進行は同じです。)
「I」→「VIm」→「IIm」→「V7(IV/V)」
同じ進行でも、ピアノのパターンが変わるだけで全く違うイメージに仕上がるのが面白いところ。
1つずつ見ていきましょう!
パターン①
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
キーボードアレンジの基本中の基本ともいえる、4分によるコード弾きパターンです。
シンプルながらも汎用性の高いアレンジスタイルで、古くからポピュラー音楽で多用されてきました。
今回のパターンでは、各小節4拍目にオカズを入れることでさりげない動きを演出しています。
打込みのポイント
基本的には、これまで解説した各種打込みテクニックにならって打込めばOKです。
特筆すべきポイントとしては、オカズの部分を強めのベロシティで打込んでいるところ。
各小節4拍目はメインメロディの邪魔をしにくいため、ピアノのオカズを際立たせるのに最適なポイントとなっています。
パターン②
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらは、アルペジオによる流れるようなフレーズ。
コードに合わせてベース音は変化していますが、右手は終始同じ音程&音型で演奏しているところがミソ。
このように、同じ音程を保続しながら演奏するスタイルを「ペダルポイント」といって、キーボードやギターのアレンジでよく用いられる手法です。
打込みのポイント
こちらも基本的な打込みテクニックに忠実に打込んでいきましょう。
このパターンでは、アルペジオに伴うメロディアスなオカズが3〜4拍目にかけて演奏されます。
パターン①同様、オカズ部分をしっかり聴かせることでメリハリのあるサウンドに仕上がります。
パターン③
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらは、スタッカートの刻みが印象的なパターン。
メリハリのある快活な楽曲にマッチするほか、ロックテイストの楽曲にもぴったりです。
左手のベースはオクターヴでの演奏となっていますが、ベースと同じタイミングで演奏しているのでケンカせず、低音の良い補強になっています。
打込みのポイント
こちらも基本に忠実に打込みましょう。
スタッカートは、短く、歯切れよく打込むことが重要です。
強めのベロシティで、元気よく打込みましょう。
パターン④
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
右手による爽やかなアルペジオが印象的なパターンです。
このように、同じシーケンスを繰り返し演奏する装飾的なアレンジもピアノではよく用いられます。
右手がよく動く分、左手はオープンボイシングによる白玉のコードに徹した方が両者がケンカせずにまとまるでしょう。
打込みのポイント
こちらも基本に忠実にという点は変わりません。
とくに、16分音符のベロシティづけは「オモテ拍 > ウラ拍 >16ウラ」の順に弱くなるという原則をしっかり守ると自然な仕上がりになります。
また、このパターンに限った話ではありませんが、サスティンペダルの扱いも重要です。
右手の流れるようなアルペジオを美しく聴かせるために、サスティンペダルを効果的に使いましょう。
パターン⑤
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらはローズによる白玉を中心としたパターンです。
ローズはアコースティックピアノよりも音の減衰が穏やかで、このような白玉フレーズにぴったりです。
(もちろん、アコースティックピアノで白玉を演奏するのもキレイですよ!)
全体的にトップノートによるメロディアスなラインをちりばめてあるため、飽きのこない仕上がりになっています。
バラードのAメロなど、しっとりと聴かせたいシーンに最適です。
打込みのポイント
全体的にベロシティをソフトに柔らかく演奏するのがポイント。
一方で、メロディアスな動きが埋もれないようトップノートだけは少し強めに設定するとよいでしょう。
また、白玉をよりリッチに聴かせるべくトレモロエフェクトを追加しています。
トレモロはロングトーンに潤いをプラスしてくれますので、このようなゆったりしたフレーズを演奏する場合にはとくに効果的です。
パターン⑥
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらは、ローズによる刻みパターンです。
白玉だけでなく、このような歯切れの良いバッキングにもマッチするのがローズの魅力でもありますね。
右手のリズムの合間に、左手でさりげないスタッカートを配置するとよりグルーヴィーなサウンドに仕上げることができます。
打込みのポイント
こちらのパターンはサスティンペダルを使わないため、デュレーションのコントロールが重要になります。
長めに演奏するノート、歯切れよく切るノートを見極め、それぞれ適切なデュレーションを設定していきましょう。
全体を何度も聞きながら、心地よい長さを探ってみてください。
まとめ
というわけで、ポップス・ロックのピアノアレンジについて詳しく解説しました。
世界には今日ご紹介した以外にも実にたくさんのパターンが溢れています。
さまざまな楽曲を聴いて、どのようなアレンジになっているかを研究することで引き出しが広がっていきますので、ぜひチャレンジしてくださいね!
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