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EDMのMix実践編⑥:FXパートのイコライジング&ダイナミクス!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、フューチャーベースを題材に、FXパートの音質調整実践テクニックをお伝えしていきます。

  • FXの音質調整に関する基本的な考え方
  • ライザー系FXの音質調整
  • ヒット系FXの音質調整

FXパートの処理は、使用する素材とその目的によって大きく変わってきます。

あくまで賑やかしであるという前提を忘れず、目的に応じて適切な処理を選択していくことが求められます。

イコライザー&コンプレッサーの基本テクニック」を念頭におきながら、それぞれの素材の適切な処理方法をケーススタディ的に学んでいきましょう!

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

こちらの楽曲のパラデータをダウンロードできます。

 

EDMのMix実践編⑥:FXパートのイコライジング&ダイナミクス!

フューチャーベースのMix実践編⑥:FXパートのイコライジング&ダイナミクス!

FXの音質調整に関する基本的な考え方

FXの音色は、あくまで楽曲を盛り上げるための引き立て役。

決して主役になることはありません。

以前、音量バランスの解説記事でもお伝えしたとおり、他のパートの邪魔にならないよう調整をする必要があります。

そう考えた場合、最も重要なことは「そのFXが入ることでどんな効果をもたらしたいのか?」ということです。

例えばヒット系FXならば、いずれも楽曲に迫力を持たせることが一番の役割となりますが、

  • ドーンと重低音を効かせて腹にくるサウンドを作りたいのか?
  • ジャーンと派手なサウンドで賑やかさをプラスしたいのか?

で、処理する内容が変わってくるわけですね。

その点を踏まえて、各トラックの音質調整テクニックについて解説していきます。

ライザー系FXの音質調整

今回の教材曲では、大きくわけて2種類のライザーを使用しています。

  1. 各セクション頭に向けた盛り上がりを作るライザー
  2. ビルドアップの盛り上げ役を担うライザー

前者はほぼ全てのセクション前に配置して、次のセクションへの橋渡しを担っています。

一方後者はビルドアップの盛り上がりを強調するためのもので、前者よりさらに大げさなテンションアップが求められます。

それぞれの音質調整を見ていきましょう。

各セクションの頭に向けた盛り上がりを作るライザー

こちらは、セクション前に配置して次のセクションの頭を盛り上げる役割

リバースシンバルの代わりにFX素材を使っている感覚と考えるとわかりやすいですね。

今回は単一の素材を使ったので、中低域から高域までの周波数帯域を満遍なく聴かせる方向で調整しています。

というわけで、EQのセッティングは以下のとおりです。

  • 98Hz付近の低域の膨らみをカット
  • 62Hz以下をローカット
98Hz付近の低域の膨らみをカット

低音がブーミーになりすぎて他のパートを邪魔しないよう、98Hz付近にあった膨らみをカットしました。

62Hz以下をローカット

各セクション前に配置するライザーに重低音が入りすぎるとセクション頭の迫力が相対的に減ってしまうため、ローカットで処理しています。

元のサウンド

EQ処理後

ビルドアップの盛り上げ役を担うライザー

こちらは、ドロップへ向けた強烈な煽りを強調することが目的のFXですので、その分ライザーも3種類の音をブレンドして作っています。

  • メインのライザー
  • 高域を強調するノイズ
  • ノコギリ波リードのポルタメント

それぞれ、以下のような処理を行っています。

■ メインのライザー

ビルドアップで使用したライザーの中核をなすメインの素材。

EQセッティングは以下の通りです。

  • 中低域の膨らみを2箇所カット
  • 75Hz以下をローカット
中低域の膨らみを2箇所カット

この音が中核となるため、上下を必要以上に切りすぎず、不要な膨らみのみをカットしています。

75Hz以下をローカット

各セクション前のライザー同様に、重低音がなりすぎないよう調整しています。

元のサウンド

EQ処理後

■ 高域を強調するノイズ

メインのライザーに高域の成分をプラスする素材。

フィルターでスウィープしたノイズを使用しています。

こちらは、あくまで高音の補強が役割となりますので、ガッツリローカットを入れて高域成分のみを抽出しました。

元のサウンド

EQ処理後

■ ノコギリ波リードのポルタメント

こちらは、音程の上昇にともなってビルドアップの煽りがさらにエキサイティングになるよう使用しています。

ですから、その音程の変化がしっかりとわかるよう必要以上に切り過ぎないように調整しました。

不必要な重低音と182Hz付近の膨らみだけカットし、それ以外は元のサウンドのまま使用しています。

元のサウンド

EQ処理後

ヒット系FXの音質調整

ヒット系FXは3種類使用しています。

  • 高音のノイズ系ヒット
  • 大人しめのバスドラム系ヒット
  • 派手めのバスドラム系ヒット

それぞれの役割と音質処理を見ていきましょう。

高音のノイズ系ヒット

楽曲冒頭とドロップ部分で賑やかし的に使用しているヒットです。

こちらはクラッシュシンバルと同じ役割と考えていただけるとイメージしやすいかと思います。

シャーン!という高域の派手さを強調することが目的なので、主に高域成分のみを取り出して使用しています。

長い余韻を作るためにディレイリバーブで処理しているので、EQもリバーブの中でかけてしまいました。

1787Hzを起点に、緩やかなローカットを入れています。

元のサウンド

EQ(リバーブ内)処理後

なお、ディレイとリバーブの使用法については、また後日「空間系エフェクト」の記事でご紹介します。

大人しめのバスドラム系ヒット

こちらはイントロやヴァースのセクション頭に「ドーン」という印象深い低音を鳴らす役割で配置しています。

元の素材はただのキックで、それにテールのながいリバーブをかけることでこのような音を実現しています。

主な処理内容は以下の通りです。

  • コンプで低域をガッツリリダクション
  • EQで不要なピークと高音を除去してマイルドな音に
  • リバーブで長い余韻をプラス
  • リバーブで生じた不要な膨らみをEQで除去

■ コンプで低域をガッツリリダクション

深いリバーブをかけると中低域が想像以上にモワモワと濁ってしまいますので、まずはコンプで低音をガッツリと抑えています。

元のサウンド

コンプ処理後

■ EQで不要なピークと高音を除去してマイルドな音に

中高域の不要なピークや「バチン」というアタック音があると、これまたリバーブによって必要以上に強調されてしまいますので除去しています。

EQ処理後

■ リバーブで長い余韻をプラス

WAVESの「Rverb」を使って長い余韻をプラスしました。詳しくは後日「空間系エフェクト」の記事で解説します。

リバーブ処理後

■ リバーブで生じた不要な膨らみをEQで除去

コンプやEQで下処理を行なっていても、やはりリバーブによって膨らんでしまう帯域が出てきます。

そちらをさらにEQでカットしていきます。

EQ処理後

派手めのバスドラム系ヒット

ビルドアップ以降で使用しているハデなバスドラム系のヒットです。

こちらはもともとテールの長いFX素材を使用しているので、リバーブで引き延ばすような処理は行なっていません。

通常通りEQコンプで処理を行なっています。

■ コンプでアタック感を強調

「ドシーン!」というアタック感を強調するべく、コンプでアタック成分とボディ成分のバランスをとっています。

とはいえ、あまりにもバチンというアタック音が出過ぎると他のパートの邪魔になってしまうので、主にボディ成分を押さえ込む形で調整しました。

リリースを長めに設定して、テールの低音を継続的に押さえ込むセッティングです。

元のサウンド

コンプ処理後

■ EQで不要な中低域のダブつきを抑える

こちらは以下のようなセッティングです。

  • 142Hz付近のダブつきをカット
  • 738Hzを中心に中域をしっかりカット
  • 45Hz以下をローカット
142Hz付近のダブつきをカット

低音のモヤモヤした成分を抑え、すっきりさせました。

738Hzを中心に中域をしっかりカット

他のパートとバッティングする可能性のある中域を抑え、邪魔にならないサウンドを目指しました。

45Hz以下をローカット

ドラムのキックとバッティングする可能性があるため、必要以上に低音がならないよう調整しています。

EQ処理後

 

まとめ

というわけで、FXパートの音質調整テクニックをガッツリ解説しました。

いずれの場合も、他のパートとの兼ね合いをみながら、必要な音とそうでない音をしっかりと見定めることで答えが見えてきます。

今日ご紹介した手法はあくまで一例にすぎず、どんな音をどのように使いたいのかで取るべき手段は変わってきます。

常に「イコライザー&コンプレッサーの基本テクニック」を念頭におきながら、パートごとに適した設定ができるよう訓練していきましょう!

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