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ジャンル別アコギアレンジ①:フォークのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。

今日は、ジャンル別アコギアレンジ第1段として「フォーク」のアレンジ&打込みテクニックを解説していきます。

  • フォークとは?
  • フォークのアレンジ例
  • 各種打込みテクニック

懐かしいイメージの強いフォークですが、現代のJ-POPの土台にもなった非常に重要なジャンル。

今日ご紹介する内容は、フォークはもちろんアコースティック系音楽のアレンジ全般で役立つ知識となります。

その特徴をしっかり理解して、楽曲制作の幅を広げていきましょう!

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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ジャンル別アコギアレンジ①:フォークのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

フォークとは?

あなたは、「フォーク」というとどんなイメージを持ちますか?

長髪にピースサイン、フォークギターに学生運動といった前時代的なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)。

元来「フォーク」とは英国地方の民族音楽のこと。

そこから派生した自作自演のアコースティック系音楽がアメリカに渡り、アメリカの民族音楽「カントリー」の要素も取り入れながら「モダンフォーク」と呼ばれるジャンルへと発展していきました。

「モダンフォーク」は、アコギの弾き語りや2~3人程度の小編成で、社会性&メッセージ性の強い歌詞を場所を問わず演奏するのが特徴。

日本でも70年代にフォーク、フォークロックが大流行しました。

そこから80年代にかけてより洗練されていく過程で「ニューミュージック」と呼び名が変わり、現在のJ-POPの基礎を作ることになります。

エレキギターやシンセサイザーの発展とともに、アコギを主体とした純粋な意味での「フォーク」は時代遅れとなっていきますが、90年代以降、アンプラグド(アコースティック系の楽器を主体としたライブ)の世界的ブームが起こり、再注目されることになります。

このころ国内では、ゆずのようなストリートライブ出身のアコースティックデュオや、山崎まさよし氏などアコギ一本で歌うシンガーソングライターも多数登場しましたね。

現在でも、フォークをルーツとしたシンガーやバンドは数多くみられます。

音楽的特徴

前述の通り、ギター一本での弾き語りやギターデュオなど、アコースティックギターを中心とした小規模な楽器編成で演奏されます。

CDやライブではエレキギターやシンセサイザーなどが入ったバンドスタイルで演奏されることも少なくありませんが、仮にそのような楽曲であっても、作曲段階ではシンガー自身がギターの弾き語り形式で作っている場合がほとんどです。

このことから、アコギ一本の弾き語りだけでも十分成立する楽曲になっている点が大きな特徴といえるでしょう。

フォークのアレンジと打込みテクニック

ひとくちに「フォーク」といってもさまざまなスタイルがあります。

それぞれアコギの使い方も千差万別なので一言で語るのは難しい面がありますが、ここでは独断と偏見で現在のJ-POPシーンでも聴くことのできるフォーク系サウンドを4パターンに分けて解説していこうと思います。

  • ①女性シンガー系楽曲
  • ②男性シンガー系楽曲
  • ③歌謡フォーク系楽曲
  • ④フォークロックバンド系楽曲

① 女性シンガー系楽曲

音源

音源(ギターのみ)

あいみょん『裸の心』のような、女性シンガーソングライター系のバラード~ミドルテンポの楽曲を想定。

前半はAメロ〜Bメロを想定して静か目のアルペジオ、後半はサビを想定してストロークで盛り上げています。

『裸の心』あいみょん

前半部分の解説

コード進行はこのジャンルならダイアトニックコード中心のシンプルなもので問題ありません。

アルペジオのパターンは 「アルペジオ&単音弾きの特徴と打込みテクニック」でご紹介したパターン1と2を使い分けています。

2拍でコードチェンジする所はパターン1、4拍でチェンジする所はパターン2を使った形です。

打込み方もパターン1と2のものをそのまま実践。タイミングやベロシティをバラして打込みましょう。

加えて、以下のおかずを入れています。

  • 1小節目4拍目:全音のハンマリングとプリングを使った3連符のフィル
  • 2小節目3拍目:1弦E音を鳴らすと同時に4弦D音を全音ハンマリング
  • 3小節目4拍目:半音ハンマリング
  • 4小節目3拍目:2小節目と同じ形のハンマリング

和音で鳴らしている場所は、複数の音のうち1音だけを音程変化させることになるので、ピッチベンド用の別トラックを作って打込みましょう。

サビ部分の解説

サビでは「ストロークの特徴と打込みテクニック」でご紹介した16ビートのパターン1を使います。

このパターンは万能で、速いテンポで使うとノリの良い16ビート、今回のようにスローテンポで使えばバラードにもそのまま使えます。

バラードとして使う場合は、16のリズムを強調するよりも4拍それぞれのアタマを強調しウラ拍は弱めに打込む方が大きなノリを作れます。

1拍目ウラはとくに弱くすると効果的ですね。

その他の打込み方についても、ストロークの打込みテクニックをそのまま適用します。

ストロークの向きを意識しながらノートのタイミングをずらし、弦の本数を間引き、ベロシティもランダムにずらして完成です。

 ② 男性シンガー系楽曲

音源

瑛人『香水』、星野源『うちで踊ろう』といった、男性シンガーソングライター系のグルーヴィーなアコースティック曲を想定。

洋楽でもExtremeの『More than words』などで聞かれますね。

「男性だからこういう曲」と括ることは難しいですが、このようなリズムパターンは不思議と男性アーティストに多く見られるものです。

『香水』瑛人


パターンの特徴

「ベース音(p)」→「コード音(i・m・a)」→「ミュート音」→「ベース+コード音」

というパターンが基本となります。

このようなリズミカルなアコギプレイはブルースやブラックミュージックがルーツになっており、コード進行もセカンダリードミナントを使ったり、テンション分数コードなどを取り入れたオシャレなものになっています。

とくにドミナントでは、通常のVではなく分数コードの「IIm7/V」や「IV/V」 を使った方がそれらしくなりますので覚えておきましょう。

打込みのポイント

このパターン最大のポイントは2拍4拍のパーカッシブなミュート

右手の指を弦の上に乗せることでミュートを行いますが、その際やや強めに指を当てることで意図的に打音を出すことができます。

ギター音源にはそのような音もサンプリングされておりキースイッチなどで呼び出すことができます。

お使いの音源にキースイッチが用意されていない場合は、音程が判別できないくらいの極めて短いデュレーションで打込むことで再現できますので覚えておきましょう。

同様に、フレットノイズもキースイッチで入力しています。

「アルペジオ&単音弾きの特徴と打込みテクニック」で解説したアルペジオの打込み同様、タイミングやベロシティ、デュレーションもランダムにズラしましょう。

この時、ベース音をやや強めにしっかり鳴らし、高音弦にかけてベロシティを弱くしてやるとそれらしくなると思います。

また、2小節目1拍目のベース音「B」は、1小節目4拍目ウラの「A」音からハンマリングされています。

このように、半拍前からハンマリングしながらコードチェンジする奏法もよく使われますので覚えておきましょう。

その部分は同時に鳴っている音がないため、トラックを分けずにメインのトラックでピッチベンドを打っています。

一方、2小節目3拍目ウラなどにあるE音の3連ハンマリング&プリングはトラックを分けて打込みました。

③ 歌謡フォーク系楽曲

音源

音源(ギターのみ)

AKB48『365日の紙飛行機』のような、70年代の歌謡フォークを思わせる楽曲を想定しています。

70年代のフォークソングのような懐かしい雰囲気を狙ったこのような楽曲では、スリーフィンガーがピタッとハマります。

当時はフォークこそが最先端の音楽ジャンルでしたので、歌謡曲(現在でいうところのJ-POP)でもスリーフィンガーがよく使われました。

スリーフィンガー奏法はフォーク以外ではあまり使われませんので、スリーフィンガーでアレンジしておくと手軽に「フォークっぽさ」を出すことが出来ます。

『365日の紙飛行機』AKB48


コード進行について

コード進行はダイアトニック中心ですが、一部分数コードも混ぜてあります。

ベースはいわゆる「カノン進行」で、フォーク~ニューミュージックでは非常に多く用いられました。

フォーク系楽曲では、このカノン進行(及び、その変形)と循環進行(I – VI – IV – V)は定番のコード進行です。

打込みのポイント

パターンは「アルペジオ&単音弾きの特徴と打込みテクニック」でご紹介したスリーフィンガーパターン1を使います。

この記事にならって、ベロシティ、発音タイミング、デュレーションをランダムにズラしましょう。

また、今回はトラックを2つ使い、左右に振ってステレオ感を出してみましょう。

2本以上のアンサンブルを行う際、一本はレギュラーチューニングで、もう一本はカポタストを使って移調して弾くことがあります。

今回は、A.G 1(左)をレギュラーチューニングで「G」のキー、A.G 2(右)はカポ=5F(6弦から順に A D G C E A)で「D」のキーで弾いたものを想定して打込んでいます。

この時、左右で少しタイミングをずらしたほうがリアルになりますので、4ティックほど後ろにズラしてあります。

また、①②同様、所々にハンマリングを入れてあります。

こちらは他の音と同時に鳴る部分ですので、トラックを分けてピッチベンドを打込みます。

フレットノイズもこれまで同様、コードチェンジ手前のタイミングでランダムに入れました。

④ フォークロックバンド系楽曲

音源

音源(ギターのみ)

スピッツ『空も飛べるはず』のような、70〜80年代を意識したフォークロックを感じさせるバンド系楽曲を想定しています。

『空も飛べるはず』は90年代半ばの曲ですが、そのルーツであるフォークロックは70年代までさかのぼります。

元々カフェ等で少人数で演奏されていたフォークソングが発展し、大きな会場でバンドを伴って演奏されていくようになったのが「フォークロック」です。

このデモ曲では8ビートを刻むバッキングパートの「A.G」と、リードを奏でる「12st.G」の2パートで作られています。

アコギが目立つスタイルながら、バンドとして歯切れの良い8ビートを奏でるのがフォークロックの真骨頂といえるでしょう。

リードパートはエレキギターやスチールギター、その他いろんな楽器が使われることがありますが、今回の楽曲のように12弦ギターを使うことで、ビートルズやウェストコーストロックを想起させる懐かしいフォークロック感が出せます。

空も飛べるはず / スピッツ

A.Gパートの解説

コード進行は、①同様ダイアトニックコードのみで構成されています。

ストロークのパターンは「ストロークの特徴と打込みテクニック」でご紹介した8ビートのパターン1、2を使います。

コードが4拍で変わる箇所はパターン1、2拍で変わるときはパターン2を使ってシンコペーションさせた形です。

「ストロークの特徴と打込みテクニック」の手順にならって、ダウンストローク/アップストロークを意識しながらタイミングを調整していきましょう。

ベロシティは、ダウン強め、アップ弱め、ただしシンコペーションは強めとなります。

その他、ベロシティ、タイミング、デュレーションのランダマイズ、弦の本数を間引く、コードチェンジ半拍前にフレットノイズ&開放弦の挿入などもストロークの基本にならって打込みます。

12st.Gパートの解説

12弦ギターはフォークロック系のリードの定番楽器です。

リードを演奏する際は、複弦がオクターブになっていて12弦らしいサウンドが出せる低音弦での演奏を意識すると良いでしょう。

また、メロディラインは一発で覚えられるくらいシンプルなものの方がこのジャンルらしくて効果的です。

12弦ギターの音源をお持ちならそちらを使えばOKですが、お持ちでない場合は普通に6弦ギターの音に1オクターブ上の音を加えれば再現できます。

12弦ギターでは、同時に2本の弦をピッキングするので、それぞれの発音タイミングが微妙にズレます。

今回は両者を9~15ティックほどズラしてあります。

リードなのであまりカチカチさせず、ゆるくランダムにズラした方がそれらしく聞こえるでしょう。

この時、ダウンピッキングを想定して打込んだ方が高音弦が聞こえやすくなるため、高音が先、低音が後になるよう調整すると良いですね。

まとめ

というわけで、フォークの代表的なアレンジスタイルと打込みテクニックを解説しました。

現代においてもさまざまな形で取り入れられているフォークスタイル。

そのルーツや特徴をしっかりと理解することで、楽曲に効果的に取り入れることができます。

ぜひ今日の記事をご活用いただければ幸いです。

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