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ジャンル別エレキアレンジ③:ロックのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。

今日は、「ロック」におけるエレクトリックギターのアレンジと打込みテクニックについて解説していきます。

  • ロックとは?
  • ロックの特徴
  • ロックのバッキングパターン
  • 各種打込みテクニック

その誕生から現代に至るまで、ポップミューシックのメインジャンルとして君臨してきたロック。

ギターが最も活躍するジャンルということもあり、その演奏スタイルも多岐に渡りますが、今回は往年のロックギターから現代のアニソンまで幅広くカバーできるようまとめてあります。

それらの特徴をしっかりと学習して、かっこいいロックギターをあなたの楽曲に取り入れていきましょう!

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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ジャンル別エレキアレンジ③:ロックのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

ジャンル別エレキアレンジ③:ロックのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

ロックとは?

いささかざっくりとした説明にはなりますが、ブルースやカントリーからロックンロールが生まれ、ロックンロールからロックが誕生しました。

録音技術が発達していく60年代、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーといったイギリスのバンドを中心に最新の機器を用いた革新的なサウンドが作り出されるようになっていきます。

それらがロックの始まりとなって、今日まで続くロックの原点となっていきます。

やがてPA機器の発達に伴い大音量での演奏が可能になると、ディープ・パープル、レッド・ツェッペリンなどようなハードロックバンドが次々登場するようになります。

70年代に入るとそのジャンルも枝分かれし多様なロックが生み出される中で、クイーンやイーグルス、ポリスなど様々なバンドが時代を彩りました。

元来ロックは、そのサウンドや演奏スタイルだけではなく、労働階級の若者たちが社会や体制に対して反抗するような歌詞、髪型、ファッションも重要な要素でした。

しかし、ロックシーンがビジネスとして巨大になっていくなかで「売れる」ことが重要視されるようになり、より聴きやすいサウンドやラブソング的な歌詞によるマイルドな楽曲も増えていきます。

その後、シンセサイザーの発達などもあいまって、80年代にはよりポップで華やかな雰囲気をもつバンドが流行することになります。

ジャーニーやボン・ジョヴィなどがその代表といえるでしょう。

とはいえ、80年代末期に登場したガンズ・アンド・ローゼズは、原始的で暴力的なロックのアイデンティティを取り戻しながらも、セールス面でも偉大な記録を打ち立てるなど、元来のロックのあり方とビジネスの両立を成功させた貴重な事例となりました。

90年代には音楽の流行がガラッと変わりましたが、その中でもニルヴァーナやオアシスなどがロックの新しい時代を築いていくことになります。

現在では、さまざまなポピュラー音楽の中でロックを源流とするギタープレイを聴くことが出来ますね。

このように、多様な変化を遂げてきたロックですので、その代表曲を少し多めにご紹介しておこうと思います。

ぜひ聴いてみてください!

『Strawberry Fields Forever 』ザ・ビートルズ



『Jumpin’ Jack Flash』ザ・ローリング・ストーンズ



『Highway Star』ディープ・パープル



『Good times, Bad Times』レッド・ツェッペリン



『Bohemian Rhapsody』クイーン



『Hotel California』イーグルス



『Don’t Stop Believin’』ジャーニー



『Livin’ On A Prayer』ボン・ジョヴィ



『Welcome To The Jungle』ガンズ・アンド・ローゼズ



『Smells Like Teen Spirit』ニルヴァーナ



『Don’t Look Back In Anger』オアシス



ロックの特徴

ここからは、ロックの音楽的特徴について解説していきます。

ロックの音楽的特徴

やはりロックといえば、シンプルだけど力強いリズム歪んだサウンドの豪快なギター野性的なボーカルこそが大きな特徴といえます。

60年代後半、ハードロックが台頭していくにしたがって、より荒々しいサウンドと、ハイトーンでシャウトするボーカルが主流となりました。

ギターにおいては、時代を追うごとに歪み量が増えていき奏法もテクニカルなっていきます。

アンプメーカーもこのようなニーズに応えて、より歪むアンプを開発していくことになります。

ロックのコード進行

ロックといってもその曲調は多岐にわたるため特定のコード進行があるわけではありません。

その中でも、とりわけロックらしいコード進行をひとつご紹介しておきます。

今回はわかりやすいよう、キー「C」で表記します。

サウンド

この進行は、ビートルズ『ヘイ・ジュード』、ローリングストーンズ『悪魔を憐む歌』、ガンズ・アンド・ローゼズ『スウィート・チャイルド・オブ・マイン』など、非常に多くの楽曲に使われており、ブルースでは使われない「bVII」というコードを含んでいることもあってロック独自の進行といえるでしょう。

特徴的な「Bb」のコードは「Cm」のキーから借用したモーダルインターチェンジコードですが、ブルースでよく使われるミクソリディアンスケールとも相性が良く、「F」から「C」への終始もブルースと共通している点からもブルースの影響を受けて生まれた進行と考えることもできます。

ブルースやロックで使われるメロディは、メジャーとマイナーの区別が曖昧なものが多く、マイナーキーからのモーダルインターチェンジコード(とくに「bIII」「bVI」「bVII」など)がよく使われますので覚えておくといいでしょう。

モーダルインターチェンジについては、以下の記事でも詳しく解説していますので合わせてご活用ください。

ロックのサウンドメイク

ロックの全盛期といえる70〜80年台では、アンプやエフェクターなどさまざまな機材が発達し、ロックのサウンドも多様化していきました。

したがって、サウンド面においても「ロックといえばこれ!」といえるようなものはありません。

しかし、ロックのギターサウンドの変遷にはMarshallの様な大型のスタックアンプの進歩が密接に関係していたのは確かです。

今回は、Marshallの中でも最もオーソドックスな「JCM 800」を使ったストレートなドライブサウンドを目指しました。

Guitar Rigで「LEAD 800」を選び、前段にSkreamerをインサートしています。

使用ギターはロックの定番、レスポールリアピックアップです。

ドライブ(Pre Amp)は11時くらい、ブーストスイッチ(これを押すとさらに強く歪む機能)はオフです。

中域〜高域がよく出るアンプなので、EQを使ってやや下げ目に、ベースはやや上げ目にしました。

ストレートで粘り気のあるドライブサウンドが出来あがりました。

Guitar Rig の設定

サウンド(レスポール リアピックアップ)

ロックのアレンジパターン

ここからは、ロックにおけるエレキギター のバッキングパターンを4つご紹介していきます。

パターン①

音源

音源(ギターのみ)

パターンの特徴

ローリング・ストーンズなど、ロックバンド黎明期のギターバッキングをイメージしました。

歪みはそれほど強くなく、こういう曲ではテレキャスターやシングルコイルのギターもよく使われますが、今回はレスポール音源のハーフトーンがハマったのでそちらを使ってみました。

Skreamer、ブーストスイッチはいずれもオフ、ゲインは下げ目(9時方向)で調整しています。

コード進行は、先ほどご紹介したロックの代表的なコード進行を使いつつ、最後は「I」に戻らないパターンにしています。

特徴的な音遣いとして、以下の2点が揚げられます。

  • ルートを省略していること
  • それぞれのコードから見たIVの音が経過音として使われていること

前者については、アンサンブルにベースがいる場合はルートが省略されることも多いので覚えておきましょう。

後者については、例えば「E」なら「A」、「D」なら「G」、「A」なら「D」が使われるといった具合です。

その瞬間、「A/E」などの分数コードにチェンジしたと解釈することもできますが、ギタリストはコード上にない音を刺繍音のように混ぜて変化をつけながら弾くことも多いので覚えておきましょう。

打込みのポイント

今回のパターンでは8分音符をオルタネイトで弾いていますので、これまで通りダウン/アップに合わせてタイミングをズラしましょう。

休符で音を切るタイミングや、4拍目に入るブラッシングは、音源に収録されているアーティキュレーション用いて入力しています。

ベロシティは全体的に強めではありますが、その中でも「ダウン強め、アップ弱め」を基本に調整していきます。

パターン②

音源

音源(ギターのみ)

パターンの特徴

70年代後半ごろから徐々に盛り上がってくる、アメリカンハードロックバンドのポップなコード進行をイメージしました。

こちらはレスポール音源のリアピックアップに、Skreamerもブーストスイッチもオンにした「Lead 800」を組み合わせています。

このようなパターンが見られる年代からは録音できるトラック数も増え、ギターのバッキングを左右ダブルで録音することが増えてきました。

左右のギターで異なるプレイをすることもありますが、今回のパターンのように左右同一のバッキングを行うこともロックギターらしい手法といえます。

コード進行は、ロックで良く使われるパワーコードを基本としつつも、所々「B/D#」「A/C#」といった分数コードを含んでいます。

このような分数コードの場所ではパワーコードにすると音がぶつかってしまうため、コードトーンにならって増5度の音程を使っています。

分数コードを含む進行ではよく使われる音遣いですので覚えておくと良いでしょう。

打込みの特徴

まず、ダブリングを打込みで再現する場合の注意点を解説しておきます。

打込みの場合、音源を全く同じセッティング、かつ同じMIDIデータでダブルにしようと思っても、両者が同一のサウンドになってしまうためうまくいきません。

したがって、ここでは左右でキャビネットの設定を変え、左パートでは通常の「Lead 800」のキャビネットを、右パートでは「Jump」のキャビを使って音色を変えています。

加えて、2本あるトラックのうち片方のMIDIデータを数ティックずらすとよいでしょう。

今回は右Chを7ティック分前倒ししました。

このズレ幅はテンポによって変わってきますので、耳で聴きながら程よい位置を探っていきましょう。

その他のポイントについては、原則としてブリッジミュートを使った一般的なロックギターのバッキングにならえばOKです。

「エレキギターのバッキング打込みテクニック」で解説している、「ブリッジミュートを使ったリフ」を参考にして打込んでみてください。

基本的にベロシティは強めで打込みますが、ブリッジミュート部分のみ、音源の仕様によりベロシティを強く設定するとサスティンが長くなるため弱めで打ってあります。

4拍目のオブリ部分ではハンマリングが出てきますので、これまで同様ピッチベンドで入力しましょう。

パターン③

音源

音源(ギターのみ)

パターンの特徴

比較的最近のJ-ROCKやアニソン系のバンドサウンドをイメージしました。

サウンドメイクはパターン②と同じにしています。

昨今の日本のバンド系ギターサウンドでは、オーソドックスなMarshall系を使ったナチュラルな歪みサウンドがよく聞かれます。

一方、今回は左右でプレイが異なるパターンにしてみました。

  • Gt.1(左):パワーコードによるプレイ
  • Gt.2(右):Gt.1と絡むようなオクターブ奏法によるプレイ

オクターブ奏法とは、ルートとオクターブ上の2音のみを演奏する奏法

コードを押さえるフォーム自体はパワーコードと変わらず、必要な2音以外はカッティングの要領でミュートしながら演奏します。

オクターブ奏法を使ったオブリやソロは邦楽の中でもよく使われるテクニックですので、アレンジの際に取り入れてみてください。

その際、Gt.1で演奏しているルートと5度を除いたそれ以外の音を使うと、2つのパートで和音が形成されてカッコよくなります。

邦楽ロックの定番スタイルなので覚えておくとよいでしょう。

打込みのポイント

こちらも、「エレキギターのバッキング打込みテクニック」で解説している「ロック系ストローク」にならって打込んでいけばOKです。

前述の通り、オクターブ奏法はパワーコードと同じ押さえ方をしていますので、Gt.1、2ともにパワーコードでのストロークと考えて打込めば問題ありません。

今回のパターンでは8分のオルタネイトで演奏していますので、これまで同様ダウン/アップを意識しながら弦のタイミングをずらしましょう。

なお、今回はオクターブ奏法の音の入りを全てスライド(グリッサンド)で初めています。

これを表現する際は、例によってピッチベンドを使って打込みましょう。

テンポが速いので、16分音符1個分か、それよりもやや短いくらいのインターバルでスライドさせています。

楽曲のテンポに合わせて心地よいタイミングを模索しましょう。

パターン④

音源

音源(ギターのみ)

パターンの特徴

パターン③に続き、こちらも邦楽アニソン系ロックをイメージしました。

サウンドメイクもパターン②③と変わらず、プレイも左右のユニゾンです。

ただし、こちらはダウンチューニングの「ドロップD」を使いヘヴィなサウンドを意識しています。

ドロップDはシンプルに低い音が出るということの他に、パワーコードを指1本で押さえられるという利点もあり、通常のパワーコードよりも素早い動きが可能になります。

4小節目に登場する半音の動きなどはドロップDならではの素早い動きといえますね。(通常のパワーコードでも演奏不可能ではないものの。)

打込みのポイント

今回も、これまでの基本にならってピッキングの向きでノートのタイミングをズラしていきます。

パターン①〜③までとちがい、こちらは16ビートのパターンとなっています。

通常、ピッキングの向きは16分音符の表裏で決めることが多いのですが、今回のパターンのようにシンコペーションによる「間」があるリズムを演奏する場合は、オルタネイトで弾くよりダウンのみの方が弾きやすいためそのようにしてあります。

ただし、2小節目のブラッシングや4小節目の半音階など、細かいフレーズは通常通りオルタネイトにしましょう。

なお、2小節目4拍目のブラッシングや4小節目の休符位置は音源に収録されているブラッシングのキースイッチで入力しています。

休符のようにピッキングをしない箇所でも、右手や左手でミュートする際にわずかな音が出ますので、ブラッシングを入れておいた方がリアルに聞こえます。

まとめ

というわけで、今回はロックのバッキングスタイルと打込みテクニックについて解説しました。

幅広いジャンルなので全てを網羅できたわけではありませんが、基本的な考え方は今日ご紹介した通りです。

基本を押さえた上で、さまざまな楽曲を聞くことでさらに多くの引き出しを増やしていけると思いますので、ぜひご活用いただければ幸いです!

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