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エフェクターの基礎知識⑥:コーラス&フランジャーの基礎を理解しよう!

こんにちはOTOxNOMA認定講師の鎧都万雄大です。

今日は、コーラス&フランジャーの基礎知識について解説していきます。

  • コーラス&フランジャーとは?
  • コーラスとフランジャーの違い
  • コーラス&フランジャーの使用例
  • 各種パラメータの解説

音に揺らぎや厚みを出したり、フランジング効果を付加することのできるエフェクター。

効果がわかりやすい反面、はっきり意図を持って使わないとただただ聴きづらい音になってしまいます。

どんなケースで使われるのか?そのためにはどんな調整をしたら良いのか?

それらを正しく判断できるようしっかりと解説していきますので、ぜひご活用ください!

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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エフェクターの基礎知識⑥:コーラス&フランジャーの基礎を理解しよう!

コーラス&フランジャーとは?

コーラスとフランジャーは、どちらも音をわずかに遅延させて揺らぎや厚み、フランジング効果を付加するエフェクターです。

音を遅延させるエフェクターといえば「ディレイ」が代表的ですが、遅延のさせ方を変えると全く違う効果が生まれ、それがコーラスやフランジャーのサウンドを形作っています。

まずは、それぞれの違いを聴き比べてみましょう。

ディレイをかけた音

コーラスをかけた音

フランジャーをかけた音

このような効果の違いは、遅延する時間の違いによって起こります。

ディレイは明確に遅延の効果を得るために「数百msec以上(0.1秒以上)」のディレイタイムを設定するのが一般的です。(もちろん例外もあります。)

それに対し、コーラスは15〜30msec、フランジャーは0.5〜5msec程度と、ごく短い間隔で遅延させるのが特徴です。

さらに、コーラスやフランジャーでは低周波発振器(=LFO)を使い、遅延間隔を周期的に変調(=モジュレーション)させることで音の揺らぎを作り出すことができます。

これにより、より複雑な揺らぎや特徴的なサウンドを生み出しています。

コーラスとフランジャーの違い

コーラスとフランジャーの違いについてより詳しく解説していきます。

コーラス(Chorus)

コーラスは、原音に15〜30msecほど遅延したエフェクト音を重ねて鳴らすことで、ダブリングしたような効果を得るエフェクトです。

ダブリングとは、同じフレーズ同一楽器(または歌)で複数テイク収録し、それらを重ねて鳴らすことで音に厚みを出す手法です。

ストリングスセクションや合唱などでは1パートを複数人で演奏することで音に厚みを持たせていますが、それと同じ原理ですね。

また、副次的な効果として定位感をぼかすこともできます。

フランジャー(Flanger)

フランジャーは、原音に0.5〜5msecほど遅延したエフェクト音を重ねて鳴らすことで、フランジング効果を得るエフェクトです。

フランジング効果とは、全く同じ波形を少しズラした状態で同時再生することで得られる周波数特性の変化です。

その変化は、櫛の歯状のフィルター(=コムフィルター)がかかったようなサウンドになり、さらにLFOを用いて周期的に変化させることで「ジェットサウンド」と呼ばれる特徴的な音を作り出すことができます。

コーラス&フランジャーの使用例

コーラスやフランジャーはどのようなケースで使われるのか、例を取り上げて見てみましょう。

コーラスを使うケース

  • ケース1: ダブリングのような厚みを出す
  • ケース2: 定位感をぼかす
  • ケース3: ギターやエレクトリックピアノの音作りに使う
■ ケース1: ダブリングのような厚みを出す

ボーカルやコーラスパートで厚みを出したいけど、1テイク分しか素材がないという場合、単純に素材をコピーしただけでは厚みは出ません。

そんな時は、コピーした素材にコーラスをかけることで、複数テイクを重ねたような厚みを出せる場合があります。

① 元トラック

② トラックのコピー+コーラス

① + ② 同時再生

■ ケース2: 定位感をぼかす

パートの役割によっては、定位感をぼかして背景に徹してもらった方がメリハリがつく場合があります。

例えば、楽曲に奥行き感や空気感をプラスする役割を持ったシンセパッドなどでは、前述の厚みを出す効果もあいまって効果的な手法といえるでしょう。

コーラスなし

コーラスあり

■ ケース3: ギターやエレクトリックピアノの音作りに使う

ケース1や2のようなさりげない使い方のほかに、積極的な音作りに使うことも少なくありません。

とくにギターやエレクトリックピアノではよく用いられます。

コーラスなし

コーラスあり

フランジャー使うケース

フランジャーを使うケースは、おおよその場合フランジング効果やジェットサウンドを付加することに限定されると考えていただいて問題ないかと思います。

そのため、コーラスのケース3のようにギターなどの積極的な音作りに利用されることがほとんどです。

フランジング効果は倍音成分が多ければ多いほど顕著に現れるため、ディストーションギターと併せて用ると非常に効果的です。

フランジャーなし

フランジャーあり

各パラメータについて

コーラスやフランジャーには以下のようなパラメータがあります。

  • レート(Rate)
  • デプス(Depth)
  • ボイス(Voice)
  • フィードバック(Feed Back)
  • ミックス(Mix)

それぞれのパラメータでどんな変化が起こるのか解説していきます。

以下の素材にエフェクトをかけてみますので、変化を聴き比べてみましょう。

エフェクトなし

レート(Rate)

LFOの変化周期を決めるパラメータです。

機種によって設定できる周期に差はありますが「Hz(ヘルツ)」で表され、値が高いほど高速で変化します。

レートが低い

レートが高い

デプス(Depth)

LFOの変化幅を決めるパラメータです。

こちらも機種によって差はありますが、値が大きいほどハッキリとした変化が聴き取れるようになります。

そのため、さりげない効果が欲しい時には小さめに設定するよう心がけましょう。

デプスが低い

デプスが高い

ボイス(Voice)

エフェクト音をどれだけ重ねるかを決めるパラメータです。

コーラスの中でも「マルチコーラス」と呼ばれるエフェクターでは、遅延させる回路が複数個搭載されており、そのうちいくつ使用するかを決めることができます。

ボイスが多いほど、原音とエフェクト音だけではなく、エフェクト音同士の差でも効果が出るので、より複雑な揺らぎを得ることができます。

ボイスが3

ボイスが6

フィードバック(Feed Back)

遅延した音をどれくらい繰り返すのかを決めるパラメータです。

ディレイのフィードバック同様、一般的にゼロから+(プラス)方向に設定でき、値が高いほどエフェクト音が繰り返されながら減衰していきます。

フィードバックが大きいほど音のクセが強く出るため、目立たせたくない場合はゼロ、もしくは極めて低く設定しましょう。

フィードバックがゼロ

フィードバックが高い

ミックス(Mix)

原音とエフェクト音のバランスを決めるパラメータです。

0%から100%までの間で指定することができ、値が大きいほどエフェクト音が大きく、原音が小さく聴こえるようになります。

コーラスもフランジャーも原音との差によって効果が出るため、0%では原音のみ、100%ではエフェクト音のみとなり、効果がない状態となります。

ミックスが0%

ミックスが50%

ミックスが100%

まとめ

というわけで、コーラスとフランジャーについて詳しく解説しました。

音をわずかに遅延させて、揺らぎや厚み、フランジング効果を付加することができるエフェクター。

とくにコーラスはミックスから音作りまで幅広く使うことができるので、その特徴を理解していろいろな使い方を試してみてくださいね!

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