ハイブリッドコード実践編:さまざまなコードをハイブリッドコード化してみよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、「ハイブリッドコード」の実践編ということで、さまざまなコードをハイブリッドコードに置き換える方法を考えていきます。
- ダイアトニックコードのハイブリッドコード化
- ノンダイアトニックコードのハイブリッドコード化
これによりあらゆるコードをハイブリッドコード化することができるため、リハーモナイゼーションの幅も大幅にアップすることでしょう。
前回の記事でご紹介した「ハイブリッドコードの選定方法」を理解できていればスムーズに理解できると思いますので、まだお読みになっていない方は先にそちらをご覧くださいね!

ダイアトニックコードのハイブリッドコード化
まずは、もっとも基本となるダイアトニックコードをハイブリッドコード化していきましょう。
前回の記事でご紹介した、
- コードスケールを選出する
- コードスケールから「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除外し、残りのノートでトライアド(またはテトラッド)を作る
- 2で作ったコードに、ベース音としてルートを加える
というハイブリッドコード化の手順にしたがって選定すればOKです。
今回はメジャーダイアトニックコードを例にご紹介しますが、マイナーキーにおいても考え方は全く一緒です。
それではいってみましょう!

Imaj7のハイブリッドコード
Imaj7で使用できるコードスケールは「イオニアンスケール」です。
このうち、「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除くノートは、「D,G,A,B」となります。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「G/C」
ひとつだけです。
G/C
IIm7のハイブリッドコード
IIm7で使用できるコードスケールは「ドリアンスケール」です。
IIm7上のドリアンスケールにアヴォイドノートはありませんので、「ルート」「3rd」のみを除外しましょう。
すると、残るノートは「E,G,A,B,C」となります。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「C/D」「Cmaj7/D」「Em/D」「Am/D」「Am7/D」
の5つとなります。
C/D
Cmaj7/D
Em/D
Am/D
Am7/D
IIIm7のハイブリッドコード
IIIm7で使用できるコードスケールは「フリジアンスケール」です。
このうち、「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除くノートは、「A,B,D」の3つのみとなります。
「A,B,D」のみではトライアドもテトラッドも作ることができませんので、IIIm7と置換できるハイブリッドコードはないということになります。
IVmaj7のハイブリッドコード
VImaj7で使用できるコードスケールは「リディアンスケール」です。
こちらもアヴォイドノートはありませんので、「ルート」「3rd」のみを除外すると、残るノートは「G,B,C,D,E」となります。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「C/F」「Cmaj7/F」「Em/F」「Em7/F」「G/F」
の5つとなります。
C/F
Cmaj7/F
Em/F
Em7/F
G/F
V7のハイブリッドコード
V7の場合は、前回お伝えしたとおり「V7sus4」と解釈した方が使用できるハイブリッドコードが広がります。
「V7sus4」のコードスケール「ミクソリディアンスケール」から「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除くと、残るノートは「A,C,D,E,F」の5つ。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「Dm/G」「Dm7/G」「F/G」「Fmaj7/G」「Am/G」
の5つとなります。
Dm/G
Dm7/G
F/G
Fmaj7/G
Am/G
さらに、「#9」を除く「b9」「#11」「b13」の3つのオルタードテンションを加えることで、数多くのハイブリッドコードを使用することができるようになります。
詳しくは前回の記事をご覧ください。

VIm7のハイブリッドコード
VIm7で使用できるコードスケールは「エオリアンスケール」です。
このうち、「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除くノートは、「B,D,E,G」となります。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「Em/A」「Em7/A」「G/A」
の3つとなります。
Em/A
Em7/A
G/A
VIIm7(b5)のハイブリッドコード
VIIm7(b5)で使用できるコードスケールは「ロクリアンスケール」です。
このうち、「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除くノートは、「E,F,G,A」となります。
「E,F,G,A」のみではトライアドもテトラッドも作ることができませんので、VIIm7(b5)と置換できるハイブリッドコードはないということになります。
ノンダイアトニックコードのハイブリッドコード化
次に、ノンダイアトニックコードのハイブリッドコード化をみていきましょう。
こちらも、基本的な考え方はダイアトニックコードの場合と同じですので、共通する部分は簡単な説明程度にとどめていきます。
セカンダリードミナント&エクステンデッドドミナントのハイブリッドコード
セカンダリードミナントの場合
セカンダリードミナントのコードスケールは、いずれもV7を基調としたミクソリディアン系となります。
したがって、ミクソリディアンスケール、またはそれにオルタードテンションを付加したコードスケールから導きだせばOKです。
例えば、V7/IIならば、デフォルトのコードスケールは「ミクソリディアンb13」となりますので、そこから「ルート」「3rd」「アヴォイドノート」を除いた、「B,E,F,G」の4つが候補となります。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「Em/A」
です。
Em/A
他のセカンダリードミナントに関しても同様に、それぞれのコードスケールから導きだせば問題ありません。
エクステンデッドドミナントの場合
エクステンデッドドミナントは、その特性からすべて「V7/V」とみなすため、セカンダリードミナント「V7/V」と同様の考え方で導き出すことができます。
「V7/V」のコードスケールは「ミクソリディアンスケール」となりますので、ハイブリッドコードの選出は、事実上ダイアトニックコード上の「V7」と全く同じと考えて差し支えありません。
リレイテッドツーのハイブリッドコード
リレイテッドIIm7の場合
「リレイテッドIIm7」はメジャーキーのIIと同様の働きをしますので、「ドリアンスケール」がコードスケールとなります。
したがって、前項でご説明した「IIm7」と全く同じ考え方でハイブリッドコードを選出すればOKです。
リレイテッドIIm7(b5)の場合
「リレイテッドIIm7(b5)」は、マイナーキーのIIと同様の働きをしますので、「ロクリアンスケール」がコードスケールとなります。
これは、レラティブメジャーキー(平行長調)の「VIIm7(b5)」と全く同じコードとなりますので、ハイブリッドコードを使用することはできません。
サブスティテュートドミナントのハイブリッドコード
サブスティテュートドミナントは、そのサウンドの特性を活かすために「9,#11,13」のテンションを積極的に組み込むことをおすすめしました。

したがって、サブスティテュートドミナントのコードスケールは「リディアンb7」となります。
ドミナントコード上でのリディアンb7にアヴォイドノートはありませんので、「ルート」「3rd」のみを除外すればOKです。
例えば「SubV7」である「Db7」を例に考えるならば、ハイブリッドコードとして使用できるノートは「Eb,G,Ab,Bb,Cb(B)」となります。
そこから導き出されるハイブリッドコードは、
「Eb/Db」「Abm/Db」「Abm(maj7)/Db」「Baug/Db」「Baug(maj7)/Db」
の5つとなります。
Eb/Db
Abm/Db
Abm(maj7)/Db
Baug/Db
Baug(maj7)/Db
モーダルインターチェンジのハイブリッドコード
モーダルインターチェンジのコードスケールは、
- メジャーセブンスコードなら「リディアンスケール」
- マイナーセブンスコードなら「ドリアンスケール」
- マイナーフラットフィフスなら「ロクリアンスケール」
- ドミナントコードなら「リディアンb7」または「ミクソリディアンスケール」
となります。
したがって、それぞれ以下のケースと同じように考えればOKです。
- 「リディアンスケール」= ダイアトニックのIVmaj7
- 「ドリアンスケール」= ダイアトニックのIIm7
- 「ロクリアンスケール」= ダイアトニックのVIIm7(b5)
- 「リディアンb7」= サブスティテュートドミナント
- 「ミクソリディアンスケール」= ダイアトニックの「V7」
簡単ですね!

まとめ
というわけで、ダイアトニックコードおよび、ノンダイアトニックコードをハイブリッドコードに置き換えるための考え方をお伝えしました。
テンションやコードスケールについて正しく理解した上で、ハイブリッドコードの選出手順にそって取り組めば、習得はまったくもって難しくありません。
ハイブリッドコードは、コードのバリエーションを増やすためにあらゆるシーンで活躍してくれますので、なんども繰り返し復習しながらぜひマスターしていってくださいね!
ここまで読んだあなたへ

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