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ジャンル別アコギアレンジ②:ポップス〜ロックのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。

今日は「ポップス~ロック」におけるアコースティックギターのアレンジ&打込みテクニックについて解説していきます。

  • ポップス〜ロックとは?
  • ポップス〜ロックのアレンジ
  • 各種打込みテクニック

ひとくちに「ポップス」「ロック」といってもその音楽スタイルは多岐にわたります。

そこで今回は、両者に共通するアコースティックギターの奏法に着目して解説していきます。

その特徴を理解して、自在に扱えるよう学んでいきましょう!

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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ジャンル別アコギアレンジ②:ポップス〜ロックのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!

ポップス、ロックとは?

「ポップス」の語源は「ポピュラー」で「有名な」「人気のある」という意味です。

つまり、時代ごとに流行している音楽の総称が「ポップス」であるといえますね。

一方、エレキギターやアンプ、PAシステム(コンサートで大音量を出すための音響機材一式)の発達に伴い、より激しく大音量の音楽が演奏されるようになって誕生したのが「ロック」です。

「ロック」における主要なギターパートはエレキギターを使うことが大半で、アコギの出番は比較的少ないといえるでしょう。

このような背景から、「ポップス」や「ロック」において、固有のアコギアレンジスタイルがあるわけではありません。

そこで今回は、昨今のポピュラーミュージックの中で「フォーク」系のジャンルを除いたものを「ポップス〜ロック」と定義して解説を進めていきます。

「フォーク」と「ポップス〜ロック」の音楽的な違い

「フォーク」と「ポップス〜ロック」の音楽的な違いも見ていきましょう。

以下の3つの観点で見ていきます。

  • 編成
  • コード進行
  • 演奏スタイル
編成

フォークは1人でも演奏が成立するジャンルでしたが、ポップスやロックはほとんどがバンド形式で演奏されます。

ドラム、ベース、ギター、ヴォーカル、場合によってキーボードも加えた4~6パートで構成されるものが主流です。

コード進行

フォークではダイアトニックコードが多用されたのに対して、ポップスやロックではより複雑なコードが使われます。

演奏スタイル

フォークではアルペジオやスリーフィンガーといった落ち着いた奏法が使われることが多かったのに対して、ポップス~ロックではストロークを中心とした激しめの奏法が多くなります。

その要因としては、前述の通りバンドの中で使われることから、アンサンブルの中で埋もれないようパワーのあるストロークが好んで使われるためです。

もちろんアルペジオも使われますが、ストロークに比べると頻度は少ないと考えていいでしょう。

ポップス〜ロックのアレンジ

今回も独断と偏見でポップス〜ロック系で比較的よく使われそうなパターン、奏法を3つご紹介しようと思います。

  • ①ポップロック系楽曲
  • ②スタンダード系楽曲
  • ③洋楽シンガー系楽曲

① ポップロック系楽曲

音源

音源(ギターのみ)

YUI『CHE.R.RY』の様な軽快な16ビートのバンドサウンド内でのアコギパターンを想定しています。

リファレンス曲はJ-POPとしての完成度も高く、バンドサウンドとアコースティックさがよくマッチしています。

『CHE.R.RY』YUI


パターンの特徴

今回は「ストロークの特徴と打込みテクニック」でご紹介した16ビートのパターン1を使いました。

バラードでもこのパターンを使いましたが、本来は今回のようなミドル~ハイテンポのポップス、ロックでこそ本領発揮されるパターンです。

コード進行は以下の通りです。

Aadd9 → Bsus4 → Cm7 → E

シンプルな進行ですが最初の3つはトライアド以外の音を含んでいて、4つのコード全てに1、2弦の開放弦「E」「B」の音が含まれています。

このように、常に一定の音が鳴り続けることをペダルトーンといいます。

この曲ではコードの高音部がペダルトーンとなります。

ペダルトーンを入れて演奏することで、トライアドのみで演奏するよりもオシャレな響きになります。

打込みのポイント

「ストロークの特徴と打込みテクニック」の手順にしたがって、タイミングやベロシティなどをランダムにズラして打込んでいきます。

コードの押さえ方の都合上、1小節目3拍目〜の「Bsus4」は3弦4fの「B」と、2弦開放弦の「B」が重音で鳴ります

1トラックでこの状態を再現することは難しいため、トラックを分けてそちらに「B」音だけ追加で打込みましょう。

この時、ただ重ねるだけでは「B」音が大きくなるだけなので、追加したトラックのピッチを少しずらすと本物っぽくなります。

4小節目2拍目は右手でミュートして音を切る奏法を使っていますので、音源のキースイッチでミュート音を打っています。

② スタンダード系楽曲

音源

音源(ギターのみ)

ベン・E・キング の『Stand By Me』のようなスタンダードなポップス~ロック系の楽曲を想定しています。

この曲のギターパートでは、8ビートのリズムにブラッシングを混ぜてリズムを強調しています。

ミディアムテンポにしてありますが、テンポの早い曲や激しい曲に使ってもマッチします。

ブラッシングを入れる場所によってさまざまなリズムが作れますので色々試してみるといいでしょう。

『Stand By Me』ベン・E・キング


打込みのポイント

例によって、「ストロークの特徴と打込みテクニック」の手順にしたがって打込みましょう。

8ビートの場合は8分のオルタネートを想定して、ダウン/アップの違いや、タイミング、ベロシティのランダム具合を調整していきます。

ブラッシングは、音源に用意されているキースイッチで打込んであります。

こちらもダウン、アップ別々にサンプルが用意されているので、ストロークの向きに合わせて使い分けます。

③ 洋楽シンガー系楽曲

音源

John Mayer『NEON』のような、洋楽のシンガーソングライターが作るアコースティック楽曲を想定しています。

『NEON』のアルペジオパターンはかなり高難易度なフレーズですが、こういった16分音符主体のリズミカルなアルペジオパターンは、洋楽のシンガーソングライターの楽曲でよく耳にすることができます。

Taylor Swiftを一躍有名にした大ヒット曲『We Are Never Ever Getting Back Together』でもこのようなパターンのサンプリングが使われていました。

『NEON』ジョン・メイヤー


パターンについて

1拍目に16分音符4音使ってコードトーンを上昇、2拍目は頭をミュートして下降(最後は8分音符)となっています。

コード進行は、トライアドのみではなく「7th」「add9」「add4」などトライアド以外の音や、分数コードなどを使いました。

2小節目に出てくる「Dadd4」はコードフォームとしてはCコードの形をそのまま2F右にずらした形になっています。

その結果、4弦4Fの「F#」と3弦開放弦の「G」が半音のテンションになっていて独特の響き方をします。

ギターではこのように開放弦を利用した半音のテンションがよく使われますので覚えておくとよいでしょう。

打込みのポイント

8分音符のアルペジオ同様、ウラ拍を弱目に打ちますが、とくにベース音はしっかり強めに打ち、2音目が弱くなる傾向にあります。

ミュート音は音源に用意されたアーティキュレーション をキースイッチで打込みました。

前述の通りベース音はとくにしっかり弾かれる傾向がありますが、その際にベースのスラップ奏法における「プル(弦を引っ張ってバチンと鳴らす奏法)」のようにアタッキーに弾くことがあります。

これを再現するために、別トラックでスラップ音を薄く混ぜています。

アコギのスラップ音

キースイッチで切り替えることもできたのですが、それだと急に音色が変化して唐突な感じがしたため、実音とスラップ音と混ぜることにしました。

メイン側でベロシティを強めにしてありますので、しっかり低音も出しつつアタッキーさが加わり中々リアルなトラックになったと思います。

まとめ

というわけで、今回はポップス〜ロックの代表的なスタイルについてアレンジと打込みテクニックを解説しました。

ポピュラー音楽には多様なスタイルがあるため、全てを網羅出来たわけではありませんが、前回と今回の内容をマスターすることで、アコギの基本的な打込みのテクニックは押さえられたはずです。

ぜひ色々なリズム、スタイルのアコギを打込んでアレンジの引出しを増やしていただければ幸いです。

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