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モーダルインターチェンジがポイント!ジャズ・ワルツのコード進行を徹底解説!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、ジャズ・ワルツを題材に、ジャズらしいオシャレなコードを作るコツをご紹介!

また、教材曲のコード進行がどのように成り立っているのか、コード理論の観点から詳しく解説していきます。

  • ジャズらしいコードづけに欠かせないテクニック
  • 教材曲のコード進行解説

ついむずかしく考えがちなジャズの和音ですが、仕組みさえわかってしまえば案外シンプルな構造であることがご理解いただけると思います。

オシャレなコードワークを作るためテクニックが満載。

ぜひご活用ください!

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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モーダルインターチェンジがポイント!ジャズ・ワルツのコード進行を徹底解説!

モーダルインターチェンジがポイント!ジャズ・ワルツのコード進行を徹底解説!

ジャズらしいオシャレなコードづけのコツ

ジャズらしいオシャレなコード進行を作りたい場合、とくに現代的でモダンな印象に仕上げたい場合には、以下の3つのテクニックが役立ちます。

  • テンション
  • モーダルインターチェンジ
  • サブスティテュートドミナントとリレイテッドI I

テンション

「9th」「11th」「13th」などのナチュラルテンションや、それらを「#」or「b」させたオルタードテンションの組み込みは、ジャズらしいコードづけには欠かせません。

とくにナチュラル9thは標準仕様だと考えて良いでしょう。

楽曲で使用する全ての和音でナチュラル9thを組み込むくらいの勢いで問題ないと思います。

また、ドミナントコードにはオルタードテンションを積極的に採用して、ジャズらしいアダルトな雰囲気を演出していくと良いですね。

テンションについての詳しい解説はコード理論カリキュラム後半の「上級編」でお伝えしていますのでそちらをご覧ください。

コード理論カリキュラムページ

モーダルインターチェンジ

他のモードから一時的に和音を借用するテクニック「モーダルインターチェンジ」も、ジャズのコード作りには欠かせないテクニックです。

モーダルインターチェンジを活用することで、ダイアトニックコードだけでは実現できない多彩な進行を作り出すことができます。

とくにパラレルキー(同主調)からの借用は頻繁に使用するテクニック。

同主短調や同主長調からの借用はもちろん、パラレルモードからの借用も積極的に使いながらモダンな印象に仕上げていきましょう。

サブスティテュートドミナントとリレイテッドII

「サブスティテュートドミナント(通称:裏コード)」と、それに付帯するリレイテッドIIの活用もよく使われるテクニックです。

通常のドミナントをサブスティテュートドミナントに置きかえるだけで、簡単に大人な雰囲気を作ることができます。

こちらも積極的に活用すると良いでしょう。

教材曲のコード進行を徹底解説

ここからは、教材曲のコード進行がどのように成り立っているかを解説していきます。

イントロ、ヴァース、コーラスの各セクションのコード進行を見ていきましょう。

イントロ

冒頭14小節に含まれる「Gm7/F」について

イントロの前半12小節は「Fm9→Gm7/F→Fm7→Gm7/F」というコード進行になっています。

このうち「Gm7/F」には、楽曲のキーである「Fナチュラルマイナー」には含まれない「Dナチュラル」の音が含まれています。

じつはこの和音、Fナチュラルマイナーのパラレルモードである「Fドリアンスケール」からのモーダルインターチェンジコード(借用和音)となっています。※

ドリアンスケールからの借用は、クールな雰囲気が魅力の定番のテクニックです。

※冒頭12小節が、まるまる「Fドリアン」のダイアトニックコードでできているという解釈もできます。

ラスト2小節のコード進行について

ラスト2小節では、段階でリハーモナイズが行われています。

仮にこの部分をダイアトニックコードのみを使ってシンプルに仕上げるなら以下のようになります。

「Gm7b5(IIm7b5)→C7(V7)」

まずは、ここにテンションを加えていきましょう。

後者の「C7」はドミナントコードですので、オルタードテンション「b9」と「b13」を付け加えて「C7(b9,b13)」にすることができます。

ここからさらに、「C7」をサブスティテュートドミナントに置き換えて「Gm7b5(IIm7b5)→Gb7(b9)(SubV7)」に。

さらに、「Gm7b5」の前にリレイテッドII「Dm7b9」を挿入して「Dm7b9→Gm7b5→Gb7(b9)」にします。

これにより、動きのあるコード進行に仕上げることができました。

ヴァース(Aメロ)

ヴァース前半部分

冒頭12小節に含まれる「Gm7/F」について

こちらは、イントロと同じく「Fドリアン」からのモーダルインターチェンジコードとなります。

ラスト4小節のコード進行について

ラスト4小節では「Bbm9→Cm7→Dbm9→Ebm7」という進行になっています。

このうち前半「Bbm9→Cm7」は、楽曲のキー「Fナチュラルマイナー」から見ると「IVm9→Vm7」という進行です。

しかし同時に、レラティブメジャーキー(平行長調)である「Abメジャー」の「IIm9→IIIm7」だと解釈することもできます。

これを活用して、一時的に「Abメジャー」へ転調したとみなすことで、パラレルマイナーである「Abナチュラルマイナー」からのモーダルインターチェンジコードを借用することができます。

後半2小節の「Dbm9→Ebm7」は、それぞれ「Abナチュラルマイナー」における「IVm9→Vm7」であり、モーダルインターチェンジコードとなります。

また、この後続くヴァース後半冒頭の和音「Fm9」は、楽曲のキーである「Fナチュラルマイナー」における「Im」ですが、同時に「Abメジャー」における「VIm」でもあります。

よって、モーダルインターチェンジコード「Vm7」から偽終始する形で自然に繋がるということになりますね!

ヴァース後半部分

冒頭8小節

この部分は、前半と全く同じ解釈でOKです。

9小節目〜12小節目

「Dbmaj7→Cm7」は、楽曲のキー(Fナチュラルマイナー)のダイアトニックコード「VImaj7→Vm7」なので特段説明はいりませんね!

ラスト4小節

こちらも、前半と全く同じ解釈でOKです。

コーラス(サビ)

コーラス前半部分

こちらは全体的に特筆すべき和音は使っていません。

「Bbm11→Cm7→Bbm9→Cm7」という進行は、楽曲のキー(Fナチュラルマイナー)から見れば「IVm11→Vm7→IVm9→Vm7」となります。

一方で、ヴァースの最後からの流れを汲んで「Abメジャーキー」に切り替わっているという解釈もできます。

その場合は「IIm11→IIIm7→IIm9→IIIm7」という位置づけになります。

コーラス後半部分

冒頭8小節

この区間は、楽曲のキー(Fナチュラルマイナー)からパラレルメジャーキー「Fメジャー」に転調しています。

あるいは、コーラス前半部分を「Abメジャー」だと見なすならば、レラティブメジャーキー(平行長調)への転調と考えることもできますね。

後半8小節

後半8小節は、再び楽曲のキーである「Fナチュラルマイナー」に転調しています。

これは、前半8小節からみればパラレルマイナーキー(同主短調)へ転調したことになります。

同時に、ヴァース最後の4小節同様に「Abメジャー」だと見なすこともでき、この場合はレラティブメジャーキー(平行長調)への転調と考えることも可能になります。

これによって、「Abナチュラルマイナー」からのモーダルインターチェンジコードを使うことができるため、最後2つのコード「Dbm7→Ebm7」を組み込むことができるようになりますね。

 

まとめ

というわけで、ジャズらしいコード進行を教材曲を例に詳しく解説しました。

様々なテクニックをご紹介しましたが、とくにモーダルインターチェンジによる借用和音の取り扱いがオシャレなコード進行には欠かせないポイントであることがお分かり頂けたかと思います。

同じコードでも、どう解釈するかによって使える和音の選択肢が無限に膨らみますので、今日の記事を参考にご自身の好みにあった和音を探してみてください!

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