ジャンル別オルガンアレンジ②:ファンクのオルガン&クラビアレンジ&打込みテクニック!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ファンクにおけるオルガン&クラビネットのアレンジ&打込みテクニックについて解説していきます。
- ファンクにおけるオルガン&クラビの特徴
- ファンクにおけるオルガン&クラビのサウンドメイク
- ファンクのオルガン&クラビアレンジ例
軽快な16ビートでノリの良いグルーヴが特徴のファンク。
バッキング系リフの多用など、オルガンやクラビネットのアレンジにもその特徴が色濃く現れています。
バッチリマスターしていきましょう!
ジャンル別オルガンアレンジ②:ファンクのオルガン&クラビアレンジ&打込みテクニック!
ファンクにおけるオルガン&クラビの特徴
まずは、ファンクにおけるオルガン&クラビネットの特徴についてみていきましょう。
- リフレインの多用
- ゴースティングの多用
ロック同様、エレキギターやエレキベース、ドラムなどのバンド楽器との共演が前提となりますが、ロックに比べてキーボードの比重が大きくなります。
というのも、ファンクのギターはカッティングを中心としたリズム要素の演奏に専念することも多く、コード感は主にキーボードが担うことも少なくないからです。
その中で、よりアグレッシブな動きを実現するべくリフレイン系のプレイが好まれる傾向があります。
とくに、バッキング系リフとファンクの相性はバツグンで、オルガンでもクラビネットでも多用されるので覚えておきましょう。
また、左手の演奏に「ゴースティング」と呼ばれるテクニックが多用される点も大きな特徴です。
「ゴースティング」とは、ごく短い音を刻むことで、ゴーストノートのようなパーカッシブなサウンドを得る奏法です。
グルーヴィーな演奏に仕上げるために欠かせないものとなっていますので、覚えておいてくださいね!
ファンクのオルガンアレンジ例
ファンクのクラビアレンジ例
ファンクにおけるオルガン&クラビのサウンドメイク
次に、サウンドメイクについて見ていきましょう。
ハモンドオルガンとクラビネットでそれぞれパラメータや考慮すべき点が異なりますので、別個に解説していきます。
ハモンドオルガンのサウンドメイク
オルガン本体の設定
オルガン本体の設定は以下のような形になっています。
ドローバー
ドローバーは「84 7000 008」の設定を基本にアレンジを加えていきました。
(上図「UPPER(上鍵盤)」参照。)
どっしりと基音を聴かせつつ、高域のきらびやかさもプラスしたものとなっています。
下鍵盤はその状態から調整を入れて「83 7000 666」という設定にしています。
高域の倍音をプラスすることで、ゴースティングの歯切れよさを際立たせる作戦です。
ビブラート・コーラス
上図左上のビブラート・コーラスセクションは全てオフにしていますが、これは完全にお好みで設定してしまってかまいません。
ストレートなサウンドが欲しければオフに、揺らぎを加えた厚みのあるサウンドが欲しければオンに設定すると良いでしょう。
一般的に、コーラスを加える場合は「C-2」または「C-3」のセッティングが好まれます。
パーカッション
上図右上のパーカッション機能もオフになっています。
パーカッション機能は、リズミカルなコードコンピングを明瞭にする効果がありますが、今回は比較的長めの音価で演奏するパターンもご紹介したかったのでオフにした形です。
スタッカートが中心のコンピングであれば、この機能をオンにするのも良いでしょう。
レスリー・スピーカー&アンプの設定
次に、レスリー・スピーカーの設定をみていきます。
今回は、全体的にクリーンなサウンドを目指すべくゲインは比較的控えめの値になっています。
ゲインは入力レベルを決めるものですので、ここが下がると全体的なボリュームも下がります。
したがって、その分出力レベルを決めるボリュームツマミで補いましょう。
レスリー・スピーカーの設定
クラビネットのサウンドメイク
クラビネットは、VINTAGE VIBE社のバイバネットを選択。
リズミカルなバッキングにマッチするピックアップを選択しました。
その上で、オートワウをかけてファンキーなクラビサウンドに仕上げています。
(もちろん、ワウペダルを使って任意のタイミングでワウ効果を得ることも可能です。)
オートワウは入力レベルに応じて自動的に作用するワウですので、「Sensitivity」をコントロールして適度なかかり具合に調整しましょう。
ピックアップの選定
オートワウの設定
ファンクのオルガン&クラビアレンジ例
ここからは、ファンクにおけるオルガン&クラビのアレンジ例をご紹介していきます。
ハモンドオルガンのアレンジ例
パターン①
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
典型的なバッキング系リフによるパターンです。
1小節パターンのリズムをコードに合わせて4回刻む形ですね。
左手の単音スタッカートはゴースティングによる演奏を想定していますので、音程がわかるかわからないか程度のごく短い長さで演奏します。
これにより、パーカッシブなグルーヴをプラスすることができます。
打込みのポイント
この手のバッキング系リフで最も重要になるのが、デュレーションのコントロールです。
同じスタッカートでも、右手のコードコンピングと左手のゴースティングでは長さが異なりますので注意しましょう。
前述のように、ゴースティングは音程がわかるかわからないかくらいのごく短い音で打込むのがポイントです。
また、エクスプレッションによるアクセントの表現も重要です。
各小節2拍目の付点8分音符にはアクセントをつけて、イキイキとした演奏を目指しましょう。
パターン②
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは比較的長めの音符で構成されたバッキング系リフです。
2小節目&4小節目の白玉はレスリー・スピードを「Fast」にして動きをプラスしています。
また、ほんの少しだけ登場する左手の16分音符はゴースティングによる演奏です。
こちらも極めて短く、歯切れの良い演奏を心がけましょう。
打込みのポイント
こちらはとくにエクスプレッションに注意しましょう。
1つ1つの音にアクセントをつけてイキイキとした音に仕上げていきます。
白玉はフォルテピアノ+クレッシェンドによる動きをつけつつ、モジュレーションホイールを使ってレスリー・スピードを「Fast」 に切り替えましょう。
パターン③
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、超シンプルなコードコンピングによるバッキングです。
ファンクのグルーヴ感を際立たせる意味で、このようなスタッカートのコンピングを用いるのも有効な手段です。
例によって左手のスタッカートはゴースティングになりますので、短くパーカッシブに演奏しましょう。
打込みのポイント
こちらも、右手のスタッカートと左手のゴースティングで長さが異なりますので、デュレーションを丁寧にエディットしましょう。
終始スタッカートが続くのでエクスプレッションは一定でもかまいませんが、最後の4分音符からのグリッサンドのみフェードアウトで自然な減衰をつけると良いでしょう。
クラビネットのアレンジ例
パターン①
クラビ&ベース&ドラム
クラビのみ
フレーズの特徴
こちらはクラビネットを用いたバッキング系リフとなっています。
基本的な考え方はオルガンと同じで、右手はコードをしっかりと聴かせつつ、左手のスタッカートはゴースティングの要領で演奏します。
打込みのポイント
クラビネットのバッキングにおいても、デュレーションのコントロールが非常に重要となります。
楽譜上は同じ音価であっても、1つ1つ長さが異なりますので丁寧にエディットしていきましょう。
例によって、左手のスタッカートはゴースティングの要領で歯切れ良く演奏するのがポイントです。
パターン②
クラビ&ベース&ドラム
クラビのみ
フレーズの特徴
以前もご紹介したパラディドルパターンです。
同じコードでも、右手を左右にスライドさせることでメロディアスなラインに仕上げることができます。
クラビネットでは非常によく使うテクニックですので覚えておきましょう。
左手のスタッカートは、ゴースティングの要領でパーカッシブに演奏します。
打込みのポイント
こちらも考え方は同じですね。
各音符ごとにデュレーションが微妙に異なりますので、細心の注意を払ってエディットします。
楽譜に書き表すことのできない細かいデュレーションの設定こそが、ノリの良いキーボードを打込む重要なポイントです。
パターン③
クラビ&ベース&ドラム
クラビのみ
フレーズの特徴
こちらは、メロディアスなフレーズ系リフレインです。
コードではなくフレーズでのリフレインもクラビネットではよく用いられるテクニックとなっていますので覚えておきましょう。
譜例では左右の手でオクターヴユニゾンしていますが、片手による単音の演奏でも成立します。
打込みのポイント
もはや言わずもがなかと思いますが、デュレーションには細心の注意を払ってエディットしましょう。
今回は右手左手いずれも同じフレーズを演奏しており、ゴースティングは用いていませんので、スタッカート部分はしっかりと音程が聴き取れる程度の長さに調整するのが良いでしょう。
まとめ
というわけで、ファンクのオルガン&クラビネットアレンジについて詳しく解説しました。
リフレインやゴースティングなど、ファンキーでグルーヴィーなキーボードに欠かせないテクニックが満載でしたね。
とにかくデュレーションの調整が重要なジャンルでもありますので、今日ご紹介した例を参考に、さまざまなパターンを打込みながらコツを掴んでいってください!
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