ジャンル別オルガンアレンジ④:ジャズのオルガンアレンジ&打込みテクニック!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ジャズのオルガンアレンジ&打込みテクニックについて解説していきます。
- ジャズにおけるオルガンの特徴
- ジャズにおけるオルガンのサウンドメイク
- ジャズのオルガンアレンジ例
ジャズといえばピアノのイメージが強いかもしれませんが、オルガンによる演奏も味があって良いものです。
ジャズのオルガンではどのようなアレンジスタイルが考えられるのでしょうか?
詳しく解説していきますので、楽しく学んでいきましょう!
ジャンル別オルガンアレンジ④:ジャズのオルガンアレンジ&打込みテクニック!
ジャズにおけるオルガンの特徴
まずは、ジャズにおけるオルガンの特徴についてみていきましょう。
ジャズのオルガンの特徴は以下の通りです。
- 3連ウラを中心としたコードコンピング
- バッキング系リフも多用される
前者については、ジャズのピアノアレンジでも同様の特徴が見られましたね。
その際、ハイポジションによるルートレスボイシングがよく使われるという点も同じになります。
一方、リフレイン風のアレンジもよく聴くことができるのがオルガンの特徴となります。
左手によるゴースティングを交えながら、ノリの良いパーカッシブなリフを演奏するスタイルもとてもカッコ良いものです。
3連ウラを中心としたコードコンピング
バッキング系リフ
ジャズにおけるオルガンのサウンドメイク
次に、サウンドメイクについて見ていきましょう。
オルガン本体の設定
オルガン本体の設定は以下のような形になっています。
ドローバー
ドローバーは、上鍵盤が「88 8000 000」の「デフォルト・ジャズ」セッティングになっています。
下鍵盤は「80 8000 000」という設定になっていますが、これは「ホロウ・コンピング」というセッティングで、基音とそのオクターヴ下の音のみで構成されたサウンドになります。
デフォルト・ジャズよりもおとなしめのサウンドで、右手の演奏を邪魔することなく和音を補強するのに役立つほか、左手によるベースラインの演奏にもマッチします。
ビブラート・コーラス
上図左上のビブラート・コーラスセクションでは、「C-3」のコーラスを上下の鍵盤双方に適用しています。
これにより、サウンドに適度なゆらぎがプラスされ、厚みのある温かいサウンドになります。
ちなみに、「VIBRATO SWELL」が上鍵盤用、「VIBRATO GREAT」が下鍵盤用のスイッチとなっていますので覚えておきましょう。
パーカッション
上図右上のパーカッション機能は、以下のような設定になっています
- PERC VOLUME(打音の強さ):SOFT
- PERC DECAY(打音の減衰スピード):FAST
- PERC HARM SEL(打音に含まれる倍音):SECOND
ブルースとほぼ同様のセッティングですが、倍音成分のみ「THIRD」ではなく「SECOND」にしてより素直なサウンドに仕上げています。
それぞれのスイッチの役割については以下の記事をご参照ください。
レスリー・スピーカー&アンプの設定
次に、レスリー・スピーカーの設定をみていきます。
今回も、ブルース同様軽く歪ませたノスタルジックなオルガンサウンドに仕上げました。
ゲインを上げて軽く歪ませた状態から、ボリュームツマミで出力レベルを調整していきます。
レスリー・スピーカーの設定
ジャズのオルガンアレンジ例
ここからは、ジャズにおけるオルガンのアレンジ例をご紹介していきます。
パターン①
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、ジャズのピアノアレンジの際にご紹介した「パターン①」と全く同様のものとなっています。
前述の特徴の1つ「3連ウラを中心としたコードコンピング」という観点から、ジャズピアノで演奏可能なスタイルは全てオルガンでも演奏することができます。
コードチェンジのタイミングが半拍(実際には3連ウラ)食って演奏される点もピアノと同じです。
打込みのポイント
譜面上ではピアノと全く同じ演奏スタイルですが、打込みにおいてはオルガン独自の観点で調整していく必要があります。
長く伸ばす音符はエクスプレッションを使ってイキイキとしたアクセントを表現していきましょう。
また、スタッカートは歯切れよく演奏する点においてもこれまでと同様、デュレーションのコントロールに気を配りましょう。
パターン②
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、比較的長めの音符を用いたバッキング系リフです。
キーボードの中で唯一長い持続音を演奏可能なオルガンならではの特徴を活かしたパターンですね。
とくに最後の白玉は、レスリー・スピードを「Fast」に切り替えて音色に変化をつけてみました。
また、グリッサンドも効果的ですので、適度に取り入れていくと良いでしょう。
打込みのポイント
こちらも、1つ1つの音符にエクスプレッションでアクセントをつけていきましょう。
このような、丁寧なエクスプレッションの表現こそが、イキイキとしたオルガンサウンドを作るための最大のヒケツです。
最後の白玉は、モジュレーションホイール(CC#1)を使ってレスリー・スピードを「Fast」に切り替えましょう。
パターン③
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、コードの演奏を伴うバッキング系リフです。
例によって、コードのトップノートが順次進行するように2度ずつ動かすだけでメロディアスなリフに早変わりしますね。
左手のゴースティングがグルーヴ感の決め手となっていますので、軽く音を添えるような気持ちでさりげなく散りばめましょう。
打込みのポイント
スタッカートのついていない音は全てエクスプレッションを使ってアクセントをつけていきましょう。
また、左手のゴースティングはデュレーションを短く打ち込んでメリハリをつけるのもお忘れなく。
パターン④
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、パターン③と全く同じリズムで単音のフレーズ系リフを演奏したものです。
オルガンの演奏では、このような単音のリフもサマになります。
それ以外の点においてはパターン③と同様になります。
打込みのポイント
打込みにおいてもパターン③と同様の点に着目すればよいでしょう。
スタッカートのついていない音は全てエクスプレッションを使ってアクセントを。
また、左手のゴースティングはデュレーションを短く打ち込んでメリハリをつけます。
まとめ
というわけで、ジャズのオルガンアレンジ&打込みテクニックについて詳しく解説しました。
コードコンピングから各種リフに至るまで、さまざまなアレンジスタイルが魅力のジャンルでしたね。
ここでご紹介したもの以外にもさまざまなアレンジ例が考えられますので、名プレイヤーたちの演奏を聴きながら研究を重ねていってください!
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