ジャンル別ピアノアレンジ④:ジャズのピアノアレンジ&打込みテクニック!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ジャズにおけるピアノアレンジ&打込みテクニックについて解説していきます。
- ジャズにおけるピアノの特徴
- ジャズにおけるピアノのサウンドメイク
- ジャズのピアノアレンジ例
ジャズは、バンド形式の楽曲の中で最もピアノが活躍するといっても過言ではないジャンル。
読者の皆様の中にも「ジャズピアノを作れるようになりたい!」という方も多いのではないでしょうか。
そんなジャズのピアノアレンジ&打込みについて解説していきますので、ぜひご活用ください!
なお、ジャズというジャンルそのものの特徴やリズムパターンについては以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご活用ください。
ジャンル別ピアノアレンジ④:ジャズのピアノアレンジ&打込みテクニック!
ジャズにおけるピアノの特徴
2ビートや4ビートを基調とした独特のスウィング感が特徴のジャズ。
アドリブ色の強いジャンルであることから、そのピアノアレンジにも実に多様なスタイルが存在します。
そこで今回は、ジャズピアノにおける最も基本的なバッキングスタイルについて取り上げてみます。
その特徴は以下の通りです。
- ハイポジションによるルートレスボイシング
- 3連ウラを中心としたコードコンピング
ジャズは少ない楽器編成で演奏されることも多く、ベースとの明確な役割の住み分けが行われます。
そのため、ハイポジションによるルートレスボイシングがよく使われます。
また、コードをリズミカルに刻むコンピングは、スウィングのビートを感じやすい3連ウラを中心に組み立てるのも大きな特徴です。
この2点をおさえておくだけで、途端にジャズピアノらしいアレンジができるようになりますので覚えておきましょう。
ジャズにおけるサウンドメイク
結論からいうと、ジャズピアノのサウンドに明確な定義はありません。
というのも、酒場でアップライトピアノを使って演奏することもあれば、大きなライブ会場ではグランドピアノを使って演奏されることもあり、そのサウンドの幅が非常に広いからですね。
強いていうなら、以下の2点に気をつけると良いでしょう。
- 明るすぎず暗すぎず、クリアなサウンド
- 比較的ドライな空気感
クラシックピアノよりは明るく、ポップスのピアノよりは若干暗い程度の音色。
また、コンピングを明瞭に聴かせるために、適度に高域が含まれるクリアなサウンドを目指しましょう。
リバーブは、そこまで残響の多くない屋内空間をイメージしてややドライ目のセッティングにするとそれらしくなります。
音源の設定
今回も、スタジオ録りのようなドライな空気感を持つグランドピアノを使って音作りしていきます。
サウンドのキャラクターは「CLEAR」に設定し、ブルースよりも高域成分のキラキラ感が程よく出てくるようなセッティングにしました。
アコースティックピアノの設定
ジャズのピアノアレンジ例
ここからは、ジャズのピアノアレンジ例をご紹介していきます。
1つずつ見ていきましょう!
パターン①
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
先ほどご紹介した特徴を最も色濃く反映させたシンプルなコードコンピングです。
3連ウラを中心に、ハイポジションによるルートレスボイシングでコードを刻むだけで途端にジャズらしくなります。
ここで、譜面上のコード記号とピアノのコードチェンジのタイミングに着目してみましょう。
上記の例では、2小節目のコード「D7」に対して、ピアノは1小節目4拍目3連ウラのタイミングですでにコードチェンジしています。
3小節目の「G7」も同様に半拍食ってますね。
このように、ジャズピアノではコード記号が記載された場所の半拍前(実際には3連ウラ)のタイミングで、コードを先取りして演奏することも少なくありません。
ジャズのコードコンピングにおける大きな特徴となっていますので覚えておきましょう。
打込みのポイント
基本的には、これまで解説した各種打込みテクニックにならって打込めばOKです。
やはり、スタッカートは歯切れよく打込むことがノリの良いサウンドのポイントとなります。
また、スタッカート部分はややソフト気味に、長いノートの部分はややアクセント気味に演奏するとメリハリがついて良いでしょう。
パターン②
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらは、白玉を中心とした落ち着きのあるコンピングパターンです。
例によって、コードチェンジ前には半拍食って演奏している点がポイントとなります。
今度は、テンションに着目してみましょう。
3小節目のコード「G7」に対して、ピアノはテンション「#9」や「b13」を含むコードを演奏していますね。
同様に、その他の部分においても、コード記号に記載のないテンションが入っていることがお分かりいただけると思います。
このように、ジャズでは基本的なコードのみを記載してテンションの入れ具合は奏者に委ねられることが多くなります。
打込みのポイント
こちらも基本的な打込みテクニックにならって打込んでいきましょう。
後半部分の右手は高域のノートを効果的に使ってややメロディアスなアレンジに仕上げています。
このような高域のトップノートは、ベロシティを強めに設定ししっかり聞かせることでメロディラインが際立ってきます。
パターン③
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらは、クールなマイナー系モダンジャズのパターンです。
楽曲のイントロでみられるような、ベースとピアノのリズムを揃えたキメのリズムが際立つアレンジになっています。
シンプルなパターンではありますが、3連ウラのリズムを効果的に使って勢いのある雰囲気に仕上がっていますね。
最後はベースとのユニゾンによるオカズフレーズで締めました。
打込みのポイント
こちらも基本に忠実に打込みましょう。
例によってスタッカートは歯切れよく、ベースとのキメが際立つよう調整しましょう。
また、最後のオカズは魅せ場でもありますので、強めのベロシティでしっかり聴かせましょう。
パターン④
ピアノ&ベース&ドラム
ピアノのみ
フレーズの特徴
こちらは、3/4拍子によるジャズ・ワルツパターンです。
右手をオクターブのボイシングにして、煌びやかで豪華なサウンドに仕上げています。
また、転回形を使ってトップノートを動かすことで、メロディアスな仕上がりにもなっていますね。
こちらのパターンでは、コード記号とピアノのコードチェンジを同一に揃えていますが、もちろん半拍食って演奏しても問題ありません。
打込みのポイント
こちらも基本に忠実にという点は変わりません。
メロディアスな動きがしっかり聞こえるよう、トップノートのベロシティを強めに設定しましょう。
また、伸ばす音とスタッカートのメリハリも重要です。
デュレーションをコントロールしながら、気持ちの良い演奏を目指しましょう。
まとめ
というわけで、ジャズのピアノアレンジ&打込みについて解説しました。
とにもかくにも、3連ウラによるシンコペーションと独特のボイシングがポイントでしたね。
この点を踏まえて様々なジャズピアノを聴いてみると、特徴をより深く理解できると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください!
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