マスタリングの実践テクニック⑧:リミッター/マキシマイザーの最終設定をマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、マスタリングにおけるリミッター/マキシマイザーの最終設定について解説していきます。
- リミッター/マキシマイザーの最終設定
- 最終音圧調整時のチェックポイント
- リダクション量に注意する
- True Peakの値に注意する
サウンド面の調整では、正真正銘の最終工程となります。
そこまで難しい作業ではありませんが、ここでの調整が最終的な出音を決定する重要なセクション。
ここまでの総仕上げとして、バッチリマスターしていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
マスタリングの実践テクニック⑧:リミッター/マキシマイザーの最終設定をマスターしよう!
リミッター/マキシマイザーの最終設定
コンプにEQ、音像処理や彩度の調整など、ひととおりの作業が済んだら、いよいよ最終的な音圧調整に入ります。
といっても、やることは大きく変わりません。
リミッターやマキシマイザーを使って改めて音圧を調整していく作業です。
これまでの過程で、音圧アップに伴うサウンドの問題が大きく改善されたので、以前よりもラクに音圧が上がるようになっているはずです。
また、各種処理によってリミッター/マキシマイザーに入力される信号レベルが多少なりとも変わっていると思いますので、改めて最終的な音圧を決定していきましょう。
手順としては以下の通りです。
- 楽曲全体を再生してラウドネスを計測する
- 目指すラウドネス値になるようマキシマイズ量を調整する
1. 楽曲全体を再生してラウドネスを計測する
ラウドネスを計測する際には、必ず楽曲全体を再生しましょう。
楽曲の一部分のみ計測しても、正確なラウドネスが測定できません。
楽曲を頭からお尻まで全て再生終えたときに、ラウドネスメーターの「Long Term(Integrated)」の値が目指す値になっているかを確認しましょう。
今回は「-8.0LUFS」を目指して調整をしていきます。
2. 目指すラウドネス値になるようマキシマイズ量を調整する
ラウドネスの計測が終わったら、目指すラウドネス値とのギャップを埋めるべくマキシマイズ量を調整していきましょう。
マキシマイザーのスレッショルド値を変えては再度ラウドネスを計測するという作業になります。
今回の場合は、スレッショルド値を-9.8dBにすることで、ちょうど-8.0LUFSを指し示すようになりました。
マキシマイザーの値
ラウドネスメーターの値
こうして完成した楽曲が以下のものです。
リミッターの初期設定だけ行ったものと比較して聞いてみると、大分サウンドが変わったことがお分かりいただけると思います。
リミッターの初期設定のみ
全工程終了後
最終音圧調整時のチェックポイント
ここからは、最終音圧調整時のチェックポイントについて解説していきます。
マスタリング最終段階で音圧を調整する際には、以下の2点に気をつけましょう。
- リダクション量に注意する
- True Peakの値に注意する
リダクション量に注意する
以前もお伝えした通り、リミッターやマキシマイザーで大きくリダクションが発生してしまうと、楽曲の音質を損ねてしまいます。
したがって、リダクション量には細心の注意を払いましょう。
楽曲全体を通して、おおむね-1dB〜-3dB程度を行き来する程度のリダクション量が理想です。
一時的にそれを飛び出す程度ならば全く問題ありませんが、その場合も-6dB以内のリダクション量に収まるようにしましょう。
どう頑張ってもこれを超えてしまう場合は、リミッター前段階にコンプをインサートして少しずつ音量を圧縮するなどの見直しが必要です。
マキシマイザーのリダクション量が-3.0dBを超えている様子
True Peakの値に注意する
こちらも以前お話ししていますが、ラウドネスメーターが示すTrue Peakの値にも注意しましょう。
CDなどの非圧縮ファイルでリリースする場合は、-0.1dBTP〜-0.5dBTP程度の値に収まればOKです。
一方、配信用のファイルを作る場合は-1.0dBTP以上のヘッドマージンを取ることになります。
といっても、配信用はそこまで音圧を上げる必要はありませんので、これらの値を目指すのはそう難しくないかと思います。
いずれも、基準値を超えてしまうようならば、リミッター/マキシマイザーの「Out Celing」の値を下げて調整しましょう。
まとめ
というわけで、マスタリングにおけるリミッター/マキシマイザーの最終調整について解説しました。
やることはシンプルではありますが、サウンドの音圧、質感を決定する大事な工程です。
今日ご紹介したポイントを参考に、理想のサウンドに仕上げていただければ幸いです。
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