ジャンル別エレキアレンジ⑦:ジャズのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。
今日は「ジャズ」におけるエレクトリックギターのアレンジと打込みテクニックを解説していきます。
- ジャズとは?
- ジャズの特徴
- ジャズのバッキングパターン
- 各種打込みテクニック
4ビートによる独特のグルーヴ感とテンションを多用したオシャレなサウンドが魅力のジャズ。
ギターのサウンドやバッキングパターンにもそれらの特徴が色濃く反映されています。
そんなジャズギターの特徴やアレンジ&打込みテクニックを解説していきますので、バッチリマスターしていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ジャンル別エレキアレンジ⑦:ジャズのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!
ジャズとは?
ラグタイムやブルースをルーツに、アメリカ南部のアフリカ系黒人たちの間で生まれたのが「ジャズ」です。
ビッグバンドからモダンジャズまでそのスタイルは多岐に渡りますが、現代のようなジャズギターを聴くことができるようになるのは1940年代のこと。
その後、ビバップ〜モダンジャズが流行し、ケニー・バレル、ウェス・モンゴメリ、ジョー・パスといったプレイヤーたちが独自のスタイルを築きました。
70年代に入ると、電気楽器やバンド楽器を取り入れポップに味付けされた「フュージョン」と呼ばれるインストルメンタルが流行し、ラリー・カールトン、リー・リトナーといったスタープレイヤーたちが脚光を浴びることになります。
その流れはAORやポップスにも影響を与え、スティーリー・ダンのように明らかにジャズに影響を受けた歌モノバンドなども登場しました。
モダンジャズ以降のギタースタイルがよく分かる名演をいくつかご紹介しておきますのでぜひお聞きください。
『How About You』ケニー・バレル
『Full House』ウェス・モンゴメリー
『My Funny Valentine』ジョー・パス
ジャズの特徴
ここからは、ジャズの音楽的特徴を解説していきます。
ジャズのコード進行
ジャズにもさまざまなコード進行がありますが、今回はもっとも基本的な「ジャズブルース」と呼ばれる進行をご紹介します。
まず、通常のブルースの進行をみてみましょう。
続いて、ジャズブルースの進行をみていきます。
ジャズでよく使われるFのキーで記譜しました。
両者はいずれもブルースが基調となっているため非常に似た進行ではありますが、ジャズブルースの方は所々にツーファイブが挿入されていたり、8小節目に「VI7」に進行するなどの違いがみられます。
また、9小節目以降はブルース特有の「V-IV-I」を用いず、「IIm-V-I」と進行しているところもジャズらしいですね。
今回はこの進行をベースに解説を進めていこうと思います。
なお、ジャズはあらゆるジャンルの中で最もコード進行のバリエーションに富んだジャンルといえます。
より多様なコード進行を習得されたい方は、ぜひコード理論カリキュラムも合わせてご活用いただければ幸いです。
ジャズギターの特徴
これまでにご紹介したエレキギターの解説ではソリッド・ギターを前提として話を進めてきましたが、ジャズでは圧倒的にホロウ・ギターが使われます。
また、使用する弦も他のジャンルに比べて太い弦が使われるため、ほとんどチョーキングをしない点、さらに、フラットワウンド弦(巻線の表面が平らになっている弦)を指弾きすることが多いため、柔らかく甘いサウンドが得られる点も大きな特徴といえるでしょう。
音作りにおいても強く歪ませることは珍しく、仮に歪ませても軽めのクランチ程度までとなります。
エフェクターもそれほどは使わずにアンプに直刺ししたサウンドが一般的です。
また、バンド形式で演奏されることやテンションを多用するジャンルであることから、ジャズギターではルートを省略して演奏するスタイルもよく用いられます。(ギターに限らずピアノもそのように演奏しますね。)
キーについては、元々ビッグバンドなど管楽器主体の音楽だったこともあり、管楽器の演奏が容易なフラット系のキーで演奏されることが多くなります。
ジャズのサウンドメイク
ここでは50〜60年代近辺のオーソドックスなジャズギターサウンドを作ってみましょう。
ギターはセミアコやフルアコなどのホロウ・ギターを使いたい所ですが、お持ちでない方もいらっしゃると思いますので、今回はレスポールのフロントピックアップを使って代用してみることにします。
アンプはFender系が定番となりますが、今回はGuitarRigの中でも最も甘い低音が出せるTwang Reverbを使用しました。
同じくGuitarRigに収録されているJAZZ AMPは、一見するとジャズ用のアンプと勘違いしてしまいそうですが、トランジスタアンプということもあり高域が強く出過ぎるためジャズには不向きです。
設定は至ってシンプル。
Brightスイッチはオフ、BASSとMIDを強めに、TREBLEを弱めに設定します。
使用するギターによって得られるサウンドも変わってきますので、実際の出音を確認しながら調整しましょう。
TREBLEを弱めに設定してもハイが出過ぎる場合には、ギター本体のトーンを少し絞るのも良いですね。
Guitar Rig の設定
サウンド(レスポール フロントピックアップ)
ジャズのアレンジパターン
ここからは、ジャズにおけるエレキギターのバッキングパターンを2つほどご紹介していきます。
パターン①
音源
音源(ギターのみ)
パターンの特徴
ジャズブルース進行をキー「Bb」で演奏したものになります。
スウィングジャズの基本的なバッキングパターンである「4つ打ち」をイメージして作りました。
すべてダウンピッキングで演奏するのが基本となりますが、後述するブラッシングやゴーストノートのみアップで演奏します。
ポジションは5〜8F付近のハイフレットで、低音弦側を使って弾くのが一般的です。
同じ音域をローフレットで弾くと音が明るくなりすぎるため、音源側で設定できる場合はハイフレット&低音弦を指定して打込みましょう。
打込みのポイント①:発音タイミング、デュレーション、ベロシティ
発音タイミングは、これまで同様ダウンピッキングを意識しながら適度にタイミングをバラして打込みます。
ジャズはテンポが速いため、ズレ幅も大きく設定して問題ないでしょう。
また、グルーヴィーな表現にはデュレーションも重要です。
譜面の音価よりも短く、シャッフルの3連ウラのタイミングで音を切るとそれらしくなります。
このとき、1、3拍はやや短めに、2、4拍をやや長めに調整するとジャズらしいオフビート感がでるのでオススメです。
ベロシティは全体的に弱目にしつつ、こちらもオフビート感を出すために2、4拍をやや強めに打込みます。
打込みのポイント②:ブラッシング、ゴーストノート
シャッフル3連ウラのタイミングにはアップストロークのブラッシングを入力してあります。
とくにコードチェンジ直前の4拍目ウラに入れると一気にグルーヴが増してオススメ。
基本はオケ中では聞こえないくらいのさりげない音量で入力しますが、4拍目ウラだけは強めに聞かせてもよいでしょう。
さらに、2小節目の4拍目ウラと4小節目の2拍目ウラでは、ブラッシングの音色ではなく3つの音をパラパラっと手打ちしています。
これはギタリストがコードチェンジ前によく使う技で、ダウンで下ろした手をピッキング位置まで戻すときにアップストロークしながらゴーストノートを鳴らすテクニックです。
こちらはコードチェンジのタイミングなので左手で弦をミュートしていません。
その様子を表現するために、ごく短いデュレーションでノートを打込んであります。
パターン②
音源
音源(ギターのみ)
パターンの特徴
パターン①と同じ進行なのですが、4つ打ちではなくリズムをつけたパターンになります。
1小節目1拍目、4拍目などを見ていただくと、シャッフル裏でリズムを強調しているのがおわかりいただけると思います。
このようにリズムを刻むことをコンピングといって、ジャズギターやジャズピアノのバッキングではよく使われますので覚えておきましょう。
また、コードチェンジの際に前拍シャッフル裏のタイミングで早めに演奏するのもジャズの大きな特徴といえます。
その際、2小節目4拍目や3小節目2拍目ウラのように、半音下や半音上からスライドさせて次のコードに移ることをクロマチックアプローチといい、こちらもよく使われる手法ですね。
とくに2小節目4拍目のような2和音の動きは、「I7」と「IV7」を半音差で行き来できるためギターではよく使われる音遣いです。
4小節ではルートを省略する一方テンションを追加して演奏しています。
コード「Cm7」を「Cm9」に、「Bb7」を「Bb7(b13)」に、「Eb7」を「Eb9」にした形ですね。
このとき「Bb7(b13)」の構成音が「Eb9」の構成音のちょうど半音上になるため、クロマチックアプローチがスムーズに行えるというわけですね。
打込みのポイント
ジャズではウラ拍もダウンストローク中心で演奏されることが多くなります。
その理由としては、親指も交えてコードを演奏する都合上アップが弾きにくいことや、コンピングを強調する上でダウンの方が音量が出せて都合がいいことが挙げられます。
したがって、基本はダウンストロークの形にならって低音弦から高音弦にかけてタイミングをズラしましょう。
また、シャッフルのウラは気持ち遅めにする方がジャズらしいグルーヴが表現できます。
パターン①同様、ベロシティは全体的に低めに設定、コンピングの中で強調したい音を強めに設定していきます。
休符部分にはミュートのアーティキュレーションを、さらに4小節目にはパターン①と同じブラッシングのアーティキュレーションを入力しグルーヴ感を増強しています。
実際の演奏と比べるとミュートやブラッシングを多目に盛り込んでいますが、打込みの場合はこれくらい入れても問題ありません。
まとめ
というわけで、ジャズのバッキングアレンジと打込みテクニックをご紹介しました。
まろやかな音色と独特のグルーヴ感が魅力的なジャズギター。
プレイヤーによってもその演奏スタイルは千差万別ですので、これを機にさまざまなギタリストの演奏を分析してみるのも面白いと思います。
ぜひあなたの楽曲にそのエッセンスを取り入れてみてください。
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